ドイツで開催されているフランクフルトモーターショー2019で、ホンダは初の量産電気自動車となる「ホンダe」の市販仕様をお披露目しました。
ドイツでの価格はエコ補助金を含めて2万9470ユーロ(約360万円)。欧州では受注もスタートしています。
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このホンダeは欧州に続いて日本でも発表される見込みですが、はたしてどんな狙いで作られているのでしょうか。
パッケージングは全長3.9mの車体へ、35.5kWhのバッテリーと最高出力154馬力/最大トルク315Nmを発生するモーターを組み合わせて搭載。
驚くことに、駆動方式は前輪駆動ではなく後輪駆動です。ホンダが乗用車(軽自動車を除く)で後輪駆動を採用するのは、スポーツカーの「S2000」以来です。
ホンダeの開発責任者・人見康平氏は、後輪駆動を採用した理由を、「径の大きなタイヤを履いてもハンドルがしっかり切れて最小回転半径を小さくするため。また走りの楽しさを味わうため」と教えてくれました。
タイヤは17インチを組み合わせています。また、前後50:50の重量配分を達成しているのも特徴といえるでしょう。
1回の充電での航続可能距離が220kmというのは、昨今の電気自動車としては短めに思えます。
これに関して人見氏は、「EVありきではなく、次世代のスモールカーとして作ったクルマです。シティコミューター(都市内移動のためのクルマ)であり、長距離移動は前提としなかったので航続距離は200km程度と考え、バッテリー容量を大きくしませんでした」といいます。
航続距離を伸ばすためにはバッテリーを多くしなければならず、そのためには車体サイズを大きくする必要があります。結果として車体が重くなり、エネルギー効率が悪化するのは避けられません。
また、「そして航続距離を200kmと割り切ることで実現できたこともあります」と人見さんは続けます。
そのひとつが、タイヤ。銘柄はスポーツタイヤの「ミシュラン・パイロットスポーツ4」で、もちろんエコタイヤではありません。
「タイヤで航続距離を稼がなくてもいいから、転がり抵抗性能よりも楽しく走れるタイヤを選んだ」といいます。
また、後輪駆動としたのも「エネルギー回生では前輪駆動より効率が悪い面もあるが、楽しく走れることを優先した」と教えてくれました。
「前後重量配分50:50に加えて、バッテリーを床下にした低重心とリアドライブで、スポーツカーのように走れますよ」というから、試乗が待ち遠しい1台です。
ちなみに、ホンダeの停止状態から時速100kmまでの加速タイムは8秒。クルマとして遅い加速ではありませんが、昨今の高性能EVのなかではゆっくりめです。
「ですが、アクセルを踏んだ瞬間にパワーが立ち上がって気持ちよく加速するので、ドライバーはしっかりと速さを感じられますよ。
静かで驚くほどスムーズな加速と、質の高い走りを実感してほしいですね。それができるのがEVならではで、コンパクトカーとは思えない世界が実現できました」といいます。
■デザインはなぜ初代シビック似?
実車のホンダeを見た多くの人は「デザインがとても魅力的」といい、筆者(工藤貴宏)も実際にそう感じています。
丸いヘッドライトで愛くるしい表情なだけでなく、全体的な雰囲気がどことなく古いホンダ車を感じさせる親しみのあるものだからです。
人見氏は「デザインがこのクルマの道を開いてくれた」とスタイルの高い評価を感じているそうですが、いっぽうで「デザインは古いホンダ車をイメージしているわけではない」と説明します。
また、デザインについては「『次世代のコンパクトカーにふさわしいのはどんなデザインか。最高のものを描いてくれ』とデザイナーにオーダーしたら、大胆なスケッチを描いてきました。市販車もそのイメージを忠実に再現できていると思います。日本だけでなく欧州においてもホンダ車の懐かしい雰囲気があるという声をもらいますが、それは狙っていたことではなく偶然ですね」
ところで、ホンダは2017年に「アーバンEVコンセプト」というコンセプトモデルをモーターショーに出展し、「将来的にはこれをベースにした小型EVとして販売される」とアナウンスしていました。
人見氏によると「あまりにも斬新なデザインだったので、世の中からどんな評価を受けるのか不安でした。そこでホンダeのデザインをモチーフにし、ショー用モデルとしてモデファイしたコンセプトカーを展示して、世の中に受け入れられるのか探ったのです」とのことです。
もしかすると、アーバンEVコンセプトが評価を得られなかったら、ホンダeはデザインが変わっていたのかもしれません。
ホンダeは、これから本格的な生産がスタートし、欧州においては2020年からデリバリーがはじまるといいます。果たして、世界の電気自動車の勢力分布図を換えることができるでしょうか。
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