この記事をまとめると
■トヨタの新型プリウスPHEVを公道で試乗
【試乗】新型プリウスはカッコイイだけじゃなくて走りも相当いいぞ! まだ発売前のPHEVはさらに衝撃だった
■フラッグシップモデルという位置付けでスポーツカーのようなパフォーマンスを発揮する
■補助金などを利用すると車両価格はかなり抑えられるので手が届きやすいのも魅力だ
話題のプリウスPHEVを公道で乗ってみた
2023年の超注目車として紹介できる新型プリウス。先にHEV(ハイブリッド)が発売され、いよいよ3月には、先代とは違い、” 新型プリウスの走りのトップエンド、ハイパフォーマンスモデル”としてラインアップされるPHEVモデルが登場した。
PHEVはプリウスの最上級グレード、Zの1グレードで、かつスポーティ方向に振られた2WDモデルのみ。車両本体価格は460万円、つまりHEVモデルのZグレードに対して90万円高となる。
ハイブリッドシステムは2リッターエンジンに大容量バッテリーを搭載したモーターの組み合わせで、そのスペックはエンジンが151馬力(HEVは152馬力)、19.2kg-m。モーターは163馬力、21.2kg-m(HEVは113馬力、21.0kg-m)となり、システム出力は先代の122馬力に対してなんと倍近い223馬力を発生する! WLTCモード燃費は標準の19インチタイヤ装着車の場合、ハイブリッドモードで26.0km/L、EV走行可能距離87km。ちなみにタイヤを17インチへとダウンサイズすることもでき、その場合はWLTCモード燃費がハイブリッドモードで30.1km/L、EV走行可能距離105kmへと向上する。なお、EV走行可能上限速度は先代同様の、日本の高速道路の120km/hにも余裕で対応する135km/hである。
先代プリウスのHVとPHEVは、エクステリア、インテリアデザインともに差別化が図られていたが、この5代目では、エクステリアではちょっとした加飾、ホイールデザイン、エンブレム(HEVとPHEVの”P”があるかないかの違いだが)ぐらいのもの。先代のようにリヤデザインが別物、ということはない。
一方、インテリアも基本的にHEVとPHEVの差はない。メーター、ディスプレーの表示、EV/HVモード切替スイッチの有無が主となる。ただし、リヤ骨格の違いから、ラゲッジルームの容量はHEVの410リットル(Z、Gグレード。1.8リッターエンジンを積むKINTO専用車のUグレードは422リットル)に対して345リットルまで減少。フロアがかさ上げされ、重い荷物の出し入れ性にかかわる開口部段差はHEVの約160mmから約70mmになっている。
また、HEVとの目の見えない違いとして、足まわりのPHEV専用チューニング、具体的にはバネ、ダンパー強化、およびリヤスタビライザー径UP、ロール剛性UPが挙げられ、いわゆるスポーツサスペンションを装着していることになる。
パフォーマンスはもはやスポーツカー!
WEB CARTOPではすでに新型プリウスPHEVの概要、HEVモデル、先代PHEVとの違いをリポートしているので、ここでは横浜周辺の一般道、高速道路を走った公道試乗記にフォーカスしてお届けする。
かけ心地のいいフロントシートの運転席に着座すれば、プリウスとしていきなり低全高、それに伴うパッケージになったことで、着座位置はスポーツカーのように低く(当然、前後席の乗降性は悪化している)、メーターはbZ4X同様の先進感あるアウトホイールメーターとなる。
HEVモデル比+150kgのPHEVモデルで市街地へと走り出せば、HEVよりさらに強い電動感とともに静かに、ウルトラスムースに、そして車重増がもたらす重厚感を伴ってEV走行を開始する。HEVモデルでも発進、そして多くの場面でEV走行をするのだが、よりトルキーで上級感あるフィーリングである。そしてより静か。これは、バランサーシャフトを加えた2リッターエンジン、フロントウインドウのアコースティックガラス(遮音ガラス)の採用によるところが大きいはずだ。
流れのいい一般道でアクセルペダルをちょっと深めに踏んだとしても(HEVならエンジンがかかりそうな場面)、PHEVモデルは淡々とEV走行を継続する。ほぼ電気自動車の感覚と言っていい(だから補助金が出るのだが)。それは、バッテリーに余裕がある限りモーター走行に徹するHVモードだけでなく、EV走行とHV走行を自動で行うAUTO EV/HVモードでも同様だった。
乗り心地はやや硬め。路面によってはゴツゴツとしたタッチが伝わってくる。が、それは鋭利なショックではなく、HEV+150kgの車重増が効いた、角の丸められたものと言っていい。言い方を変えれば、HEVモデルもそうだが、プリウス史上、もっともスポーティな乗り味ということだ。それも当然で、繰り返すが、新型プリウスのPHEVモデルはプリウスの走りのトップエンド、ハイパフォーマンスモデルとして位置付けられているのである。
高速道路に入っても粘り強くEV走行を行ってくれるのだが(巡行時なら、たとえエンジンが始動しても、そうとは気づきにくいほど)、合流路、追い越しでアクセルペダルを深々と踏んだハイブリッドモードでは、走り好きなら思わず頬がゆるむ、システム出力223馬力の「速すぎる」とも感じさせる、HEVモデルを圧倒する強力な加速力を、じつに静かにスムースに発揮してくれるのだから、驚くしかない(ハイブリッドモードでの0-100km/h加速は2リッタースポーツカー並みの6.7秒)。
そして、エンジン回転の上昇と加速感が一致するところもなかなかだ。ついでに言えば、エンジンを高回転までスムースにまわした際の、適度なボリュームで聴かせてくれるサウンドは、これまでのトヨタの実用2リッターエンジンにありがちな、あの「ふん詰まり感」あるものとは別物。サウンドと呼べる、気持ちいいとさえ表現できる快音と言っていい。ここはエンジンのクランクシャフトにバランサーを加えたことが功を奏しているというわけだ。このコダワリもまた、PHEVが”プリウスの走りのトップエンド、ハイパフォーマンスモデル”であることの証明ではないか。
乗り心地の硬さは高速走行でも気にならないと言えばウソになるが(速度を増すほどにフラットになる)、このハイパワー×19インチタイヤの組み合わせで、フワフワな乗り心地は似合わない。プリウスのスポーツモデルに乗っていると思えば、むしろ歓迎すべきスポーティな乗り心地とも表現できる。
操縦性も極めてスポーティだ。今回は山道での試乗は叶わなかったが、つい最近、袖ヶ浦フォレストレースウェイのサーキットで試乗した経験(プロトタイプ)も踏まえれば、先代との比較として、最新の第2世代TNGAプラットフォーム、195/50R19サイズのタイヤの採用もあって、曲がりの性能は格段にレベルアップ、というか大容量バッテリーを先代の荷室下から後席下に移動し、重心が下がり、前後重量バランスが新型プリウスHEVモデルの約6:4から5:5になったことで得られた、先代PHVとは別格のスポーティカーを思わせるリニアなステアリングレスポンス、曲がりやすさ、コーナーに飛び込んでいってもオン・ザ・レールに近い抜群の安定感を見せつけてくれるのだからたまらない。カッコだけじゃない、充電できるだけじゃない、新型プリウスPHEVモデルのかつてない尖った!? イケイケなキャラクターがそこにある。
と、新型プリウスPHEVモデルの素晴らしさを中心にリポートしてきたが、もちろん、低全高パッケージによる前後席の乗降性の悪さ(高身長の高齢者は辛いだろう)、リヤウインドウの視界の狭さ、ドライブモードスイッチが小さく操作しづらい……などの弱点もある。そして、前席ではロードノイズを含め、かなり静かに走ってくれる印象なのだが、じつは、後席ではロードノイズがけっこう耳につくことも報告しておきたい。
自宅、自宅周辺の充電環境が整っていれば、新型プリウスのPHEVモデルは、先代までの実用車に徹したプリウスでは面白味がない……と拒絶していたスポーティカーを好むユーザーにも、息を飲むほどのスポーツカー並みの速さを含め、うってつけのスタイリッシュクーペ、スポーティカーと言っていい。しかも、車両本体価格460万円、つまりHEVモデルのZグレードに対して90万円高となるものの、PHEVには国からの補助金55万円がある。これでHEV ZとPHEV Zの価格差は35万円に縮まる。さらにたとえば東京都在住であれば、都からの補助金45万円が加わり、補助金総額は100万円! もし、補助金を受けられれば(限度あり)、なんとHEVモデルに対してPHEVのほうが10万円お得に乗れる計算になったりするのだ(原則、4年間の保有条件あり)。
筆者もかなり興味津々の新型プリウスPHEVだが、HEV(ハイブリッド)の4WDモデルの乗り心地、高速走行、ロングドライブ、山道などで発揮される4WDならではの安定感による運転疲労の少なさ、スポーティハイブリッド車としての完成度の高さも大いに気になっているところだ。お薦めのボディカラーは艶ありブラックのホイールアーチモールやPHEVならではのグレースモーク×ホワイトレンズのテールランプ、大径タイヤをより際立たせるプラチナホワイトパールマイカがイチオシ。次にマスタードだ。
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みんなのコメント
Aピラーの傾斜がきつすぎて運転しにくい
と書いてあったぞ。
柄物を着てはいけない好例。