現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.04 スバル「レガシィグランドワゴン」

ここから本文です

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.04 スバル「レガシィグランドワゴン」

掲載 2
1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.04 スバル「レガシィグランドワゴン」

運営元:旧車王
著者 :木谷 宗義

1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.03 ホンダ「ロゴ」

レガシィグランドワゴン――。この名前を知っている人は、よほどのスバル通かRV好き(当時はSUVをこう呼んだ)でしょう。

それもそのはず、たったの3年しか使われなかったモデル名なのですから。

でも、「レガシィグランドワゴン」が、今に続く重要な役割を果たしたモデルであることは間違いありません。

その姿から想像がつく人もいるでしょう。

そう、現在の「アウトバック」の原型となるモデルなのです。

▲1995年「レガシィグランドワゴン」

■ハリアーやフォレスターの誕生より前にセダンの「レガシィB4」が国内市場から姿を消した今、スバルのフラッグシップとしての位置づけを担うアウトバック。

先代まではレガシィB4も存在しており、その姿からも“レガシィの派生モデル”であることは、容易に想像がつきます。

では、いつレガシィから派生し、そして独立したモデルへとなっていったのでしょうか。

その起源を辿っていったときに行き着くのが、1995年に誕生したレガシィグランドワゴンです。

レガシィグランドワゴンは、レガシィツーリングワゴンをベースに車高(最低地上高)をあげ、大型フォグランプを埋め込む専用デザインのフロントマスクと2トーンボディカラー、オールシーズンタイヤの装着によりRV仕様としたもの。

エンジンは、レガシィよりも余裕をもたせた2.5リッターを搭載し、「フォレスター」誕生以前のスバルでオフロード色を強めたモデルとして登場しました。

▲インテリアも専用のシート生地などを採用

1995年という時代は、1980年代後半から巻起こったRVブームの余波が残っていた時代。

前年の1994年にはホンダ「オデッセイ」が誕生し、レガシィツーリングワゴンGTが開拓したステーションワゴンの台頭もあったものの、街中では三菱「パジェロ」やトヨタ「ランドクルーザープラド」、日産「テラノ」、いすず「ビッグホーン」といったRV車が数多く走っていたものです。

レガシィツーリングワゴンGTによって“走りのワゴン”というジャンルを確立したスバルがRVをラインナップに加えたかったことは、想像にかたくありません。

実際に、いすずからビッグホーンのOEM供給をうけ、スバル ビッグホーンとして販売していたこともあります。

▲スバル「ビッグホーン ハンドリング・バイ・ロータス」

しかし、スバル ビッグホーンは、いすず ビッグホーンのエンブレムを六連星に変えただけのクルマ。

スバルらしさは皆無で、“売れるクルマ”となるわけはなく、1993年に販売を終了します。

グランドワゴンが実質的なビッグホーンの後継者だと言うと少し乱暴ですが、スバルとしては待望の自社製RVだったのです(余談ですが、グランドワゴンと同じ1995年には同じ手法でインプレッサベースのインプレッサグラベルEXを発売しています)。

■ランカスター、そしてアウトバックへなぜ、レガシィグランドワゴンを「名車&迷車」として取り上げるのか。

それは、クルマそのもののデキや希少性などではなく、ネーミングにあります。

レガシィグランドワゴンという名称は、わずか3年しか使われなかったのです。

しかも、グランドワゴンからすぐに現在のアウトバックへと改称したわけではなく、なんとマイナーチェンジで名称変更されたのですから、不遇な話。

新名称は、イングランド北部、ランカシャー州北西部の都市名に由来する「レガシィランカスター」となりました(改称後、わずか1年でフルモデルチェンジを実施するので、BG型ランカスターもなかなかの不遇モデルに……)。

▲わずか1年の販売となったBG型「レガシィランカスター」

とはいえ、レガシィグランドワゴンが残した功績は、小さくありません。

実はアウトバックの名で販売された北米でこのクルマはヒット。

1998年にはボルボが「V70XC」を発売し、1999年にはアウディが「オールロードクワトロ」を投入するなど、多くの追随車を生み出しました。

初代トヨタ「ハリアー」が誕生したのも、グランドワゴン登場以後の1997年です(フォレスターも1997年に登場)。

この流れは現在も続き、今ヨーロッパのワゴンモデルを見てみると、メルセデス・ベンツ「C/Eクラス オールテレーン」にフォルクスワーゲン「ゴルフ/パサート オールトラック」、ボルボ「V60/V90クロスカントリー」と、ステーションワゴンベースのクロスオーバーSUVのラインナップは多岐にわたります。

▲2023年ボルボ「V60クロスカントリー」

その元祖がレガシィグランドワゴンだったと考えると、存在感は希薄でも残した功績は非常に大きなものだったと言えるのではないでしょうか。

なお、レガシィグランドワゴンはランカスターへと改称後、レガシィシリーズは3代目へとフルモデルチェンジ。そして、次のフルモデルチェンジで4代目となるとともにグローバルネームである「アウトバック」を名乗るようになり、現在へと至ります。


▲BH型「レガシィランカスター」
 

▲BP型「レガシィアウトバック L.L.Bean EDITION」

個人的には、BH型ランカスターに追加された水平対向6気筒エンジン搭載モデル(ランカスター6と名乗った)や、BP型アウトバックに設定された「L.L.Bean EDITION」も気になりますが、レガシィツーリングワゴンのRV仕様であると同時に、2.5リッターエンジン搭載の上級仕様として大人の雰囲気をまとったグランドワゴンに大きな経緯を評したいと思います。

[画像:スバル・Volvo/ライター:木谷宗義]

こんな記事も読まれています

どこから? 三菱自動車の敷地で環境基準を超えるフッ素…使用履歴はなし 愛知県岡崎市
どこから? 三菱自動車の敷地で環境基準を超えるフッ素…使用履歴はなし 愛知県岡崎市
レスポンス
グラフィットが四輪型特定小型原動機付自転車を用いた実証実験を7月からスタート
グラフィットが四輪型特定小型原動機付自転車を用いた実証実験を7月からスタート
バイクブロス
【今日発売】BYDシールに国内最速試乗 AWDで537ps・航続およそ600kmにして実質537万円の戦略価格
【今日発売】BYDシールに国内最速試乗 AWDで537ps・航続およそ600kmにして実質537万円の戦略価格
AUTOCAR JAPAN
「感動を疑似体験」ヤマハ発動機と楽器のヤマハ、体験型インスタレーション「e-plegona」がデザイン賞
「感動を疑似体験」ヤマハ発動機と楽器のヤマハ、体験型インスタレーション「e-plegona」がデザイン賞
レスポンス
新型SUVクーペ、ハイブリッドも設定…長城汽車の「HAVAL」が南アフリカで発売
新型SUVクーペ、ハイブリッドも設定…長城汽車の「HAVAL」が南アフリカで発売
レスポンス
バス会社「待合室が落ち込んだので閉鎖中です」衝撃投稿に反響多数!? 「えらいこっちゃ」「北海道は異世界」バス停の無惨な風景が話題に
バス会社「待合室が落ち込んだので閉鎖中です」衝撃投稿に反響多数!? 「えらいこっちゃ」「北海道は異世界」バス停の無惨な風景が話題に
くるまのニュース
KTM Japanがモトクロス&クロスカントリーのMY2025モデルを発表! KTM Factory Racing譲りの進化を実現
KTM Japanがモトクロス&クロスカントリーのMY2025モデルを発表! KTM Factory Racing譲りの進化を実現
バイクのニュース
スズキの[新しい軽SUV]はワイルド&イケメンになっても176万円!! 走りも優秀なのよ!
スズキの[新しい軽SUV]はワイルド&イケメンになっても176万円!! 走りも優秀なのよ!
ベストカーWeb
20歳女子レーサーがホンダ「ビート」で軽MT初体験!「エンジン回すとめちゃくちゃ気持ちイイです!」【令和女子旧車に乗る】
20歳女子レーサーがホンダ「ビート」で軽MT初体験!「エンジン回すとめちゃくちゃ気持ちイイです!」【令和女子旧車に乗る】
Auto Messe Web
飲酒運転を絶対にしない! させない!【運転初心者ための交通ルール&運転マナー】
飲酒運転を絶対にしない! させない!【運転初心者ための交通ルール&運転マナー】
くるくら
「ベントレー マリナー イスタンブール シルエットコレクション」限定3台が登場。トルコ イスタンブールの景観と歴史をリスペクトしたエクスクルーシブなモデル
「ベントレー マリナー イスタンブール シルエットコレクション」限定3台が登場。トルコ イスタンブールの景観と歴史をリスペクトしたエクスクルーシブなモデル
Webモーターマガジン
トヨタ新型「カローラ“FX”」公開! 純正ローダウン&ド迫力「リアスポ」採用! レトロで“スポーティ”な「スペシャルエディション」! アメリカに登場した「新セダン」どんなモデル?
トヨタ新型「カローラ“FX”」公開! 純正ローダウン&ド迫力「リアスポ」採用! レトロで“スポーティ”な「スペシャルエディション」! アメリカに登場した「新セダン」どんなモデル?
くるまのニュース
[car audio newcomer]ダイハツ アトレー・デッキバン(岩田達也さん)by ピットハウスコスギ 前編
[car audio newcomer]ダイハツ アトレー・デッキバン(岩田達也さん)by ピットハウスコスギ 前編
レスポンス
『いとうみゆきのクルマのおうち旅』が電子書籍化…ホンダアクセス「カエライフ」連載
『いとうみゆきのクルマのおうち旅』が電子書籍化…ホンダアクセス「カエライフ」連載
レスポンス
重量わずか48g! 最大120時間点灯するポーチランタン「HEXAR UL1.5」が登場
重量わずか48g! 最大120時間点灯するポーチランタン「HEXAR UL1.5」が登場
バイクブロス
“軽トラック”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
“軽トラック”の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
Merkmal
「知らなきゃ損!?」 スマートキーの“意外な”便利機能! 「車内にカギ忘れた!」うっかり“インキー”の原因は?
「知らなきゃ損!?」 スマートキーの“意外な”便利機能! 「車内にカギ忘れた!」うっかり“インキー”の原因は?
くるまのニュース
ミニバンやSUVの形は「クルマの原点」! ゆえにセダン人気が復活することはないが存在価値はある
ミニバンやSUVの形は「クルマの原点」! ゆえにセダン人気が復活することはないが存在価値はある
WEB CARTOP

みんなのコメント

2件
  • この映像を見ると

    車高をHIにしたレオーネツーリングワゴンを思い出す...
  • レオーネツーリングワゴンを思い出す...
    レオーネツーリングワゴン
    こういうのでいいんだよ
    安くてシンプルでほどほど
    もったいなくて林道いけねえ
    高級ワゴンばっかにして
    どうすんだよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村