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アジアを制したレクサスの「高級ミニバン」公道での印象は? 贅沢を極めた新型「LM」は日本の創造力が認められた「価値ある1台」

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アジアを制したレクサスの「高級ミニバン」公道での印象は? 贅沢を極めた新型「LM」は日本の創造力が認められた「価値ある1台」

一度その魅力を味わうとセダンのリムジンには戻れない

 ついに日本でも、レクサス「LM」を買えるようになりました。その価格(消費税込)は、4人乗りの2列シート仕様である「エグゼクティブ」が2000万円、6人乗りの3列シート仕様である「バージョンL」が1500万円。なんともキリがいいプライスタグですね。

【画像】「えっ!…」アジアを制覇した高級ミニバン! これがレクサス「LM」です(60枚)

 本記事でフォーカスするのは、より「LM」らしい“上位モデル”の「エグゼクティブ」。その魅力はなんといっても、贅を極めた移動空間でしょう。本来、セカンドシートとサードシートで“分け合う”はずのリアキャビンをセカンドシートだけに割り当て、より広々と使っています。このスペースの使い方からして贅沢です。

 リアシートは見た目が立派なだけでなく、ヒーターやベンチレーションはもちろんのこと、マッサージ機能まで内蔵したひたすら豪華なつくり。さらに乗員の目の前には、48インチという車載用とは思えない大型ディスプレイが鎮座しています。これら上等な装備が織りなすリアキャビンは、まさに“極楽移動空間”といってもいい仕上がりです。

 そんな「エグゼクティブ」は、ショーファードリブンの用途を意識した仕立てで、運転はドライバーに任せ、オーナー自身はリアシートに座って移動するという、リムジンとして使い方を前提としています。

 なかには、「リムジンといえばセダンでしょ?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。しかし、ミニバン由来の箱型ボディを持つレクサス「LM」には、セダンにはない魅力が備わっているのです。

 それはなんといっても、キャビンの広さです。ミニバンのリアキャビンは、セダンには真似できない大空間ならではのゆとりがあり、この広い空間を活かしてリアシートをフルラットにできるのも、ミニバンならではの美点です。一度このゆとりを味わってしまうと、セダンのリムジンには戻れないかもしれません。レクサス「LM」のリアシートに実際に座ってみると、そんなことを強く感じます。

 加えて、ミニバン型のボディには、乗り降りしやすいという美点もあります。正確にいえば、これはスライドドアの特徴ですが、開口部が大きく、楽な姿勢で乗り降りできる点は、大きなメリットといえるでしょう。

 欧州でリムジンといえば、これまではセダンがその中心的存在でした。その主な理由として、高速巡航性能の高さが挙げられます。高速道路を速く、しかも安定して走るには、やはり背の低いセダンの方が有利だからです。

 しかし、レクサス「LM」のメインマーケットであるアジア圏は、高速道路の巡航速度がそれほど高くなく、しかも、移動の中心となる街中では渋滞が激しい上に平均速度が低いという現実があります。

 そう考えたときに「巡航性能は少し犠牲にしてもいいから、室内が広くて快適なリムジンが欲しい」と考える人が出てくるのは当然のことでしょう。そういうニーズが多かったことから、アジア圏において先代「LM」は登場するやいなや大ヒットモデルとなったのです。

●デザインも仕立ても心臓部も完全なる別物

 ご存じの人も多いでしょうが、レクサス「LM」はトヨタの「アルファード」、「ヴェルファイア」と車体の基本設計を共用するモデルです。そのため、なかには「『アルファード』の2倍以上という価格は高すぎる」なんて人がいるかもしれません。

 しかし、レクサス「LM」とトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」の間には、3つの大きな違いがあります。

 ひとつ目はルックスです。日本で発売されることがなかった先代の「LM」は、「アルファード」「ヴェルファイア」との違いが車体の前後とスライドドアのデザインだけだったのに対し、新型「LM」はすべての外板パネルが専用のデザインとなりました。その影響もあり、車体サイズからして異なります。新型「LM」のスタイリングは、先代以上に差別化が図られているのです。

 また、インテリアもダッシュボードのデザインも「アルファード」「ヴェルファイア」とは別物です。現時点において、「アルファード」「ヴェルファイア」には2列シート仕様が存在しないため、「LM」のリアシートは専用品であるのはもちろんのこと、3列シート仕様でも、インテリアのつくり込みなどで差別化が図られています。

 さらに「LM」は、パワートレインも別物です。「アルファード」「ヴェルファイア」のハイブリッドシステムは、レクサスの「RX350h」と同等の2.5リッター自然吸気エンジン+モーターですが、「LM」のそれは「RX500h」に相当する2.4リッターターボエンジン+モーターとなっています。燃費は多少劣るものの、走りの力強さが魅力です。

 しかも「LM」は、車体剛性も強化されており、「アルファード」「ヴェルファイア」とは味つけが異なるサスペンションにより、ドライバビリティも向上しています。今回試乗した「エグゼクティブ」は、ドライバーの操作に対する路面追従性が高く、峠道や高速道路でのしっかり感がアップしているのが印象的でした。

 1500万円~2000万円という「LM」のプライスタグには驚かされますが、レクサスのブランド力やその細やかな仕立てを考慮すると、決して高価だとは思いません。

 例えば、ハイブランドのウエアなどを購入する際、ベーシックなブランドが手がける同様のアイテムと、コストパフォーマンスのよし悪しを比べる人はいないでしょう。ハイブランドの品を手に入れるのは、コスパ云々ではなく、そのブランドの魅力に惹かれたからこそ。ホテルだって、ラグジュアリーなホテルに泊まる人は、下のクラスのホテルとコスパを比較することはないでしょう。

 ここへきてレクサスは、「LM」だけでなく「LX」や「GX」など、1000万円オーバーのモデルを続々と市場投入しています。それはいい換えれば、レクサスというブランドが「高価でも欲しい」と思えるブランドに成長したことを意味しているのです。

 トヨタの「アルファード」「ヴェルファイア」ではなく、レクサス「LM」が欲しいから選ぶ。最上級ミニバンだから購入する。そういう人たちのために開発されたモデルがレクサス「LM」なのです。

新しいレクサス「LM」はヨーロッパでどのように評価されるか?

 実はこのレクサス「LM」、高級ミニバンのカテゴリーの中では異色の存在です。

 というのも、ライバルは商用車向けに開発されたモデルをベースに、上級装備を追加したモデルが多いのに対し、レクサス「LM」は車体もサスペンションも完全に乗用車ベースの設計が施されているからです。これにより、乗り心地はライバルよりもしなやかで、低いフロア高によって乗降性にも優れています。

 レクサス「LM」が大ヒットを記録している中国や東南アジアでは、かつてはライバル車を移動用リムジンとして愛用する富裕層が多くいました。

 しかし、レクサス「LM」が発売されて以降(正確にいえば「アルファード」「ヴェルファイア」が正規輸入されてから)、ライバル車の人気はすっかり衰えてしまいました。一度乗ってみると、快適性の違いが歴然だからです。レクサス「LM」はアジア圏を制覇したといってもいいでしょう。

 このレクサス「LM」の成功には、大きな意義があると筆者(工藤貴宏)は考えます。それは、アジア発祥のプレミアムブランドとして、新たな価値を創造したことです。

 レクサスはこれまでずっと、メルセデス・ベンツやBMWといったドイツ勢に追いつけ追い越せと新車を開発してきました。しかし、レクサス「LM」は、ドイツのプレミアムブランドにはない新しい価値観を身につけています。ここ日本から、リムジンの新たなスタイルを世界へと提唱したのです。

 アジア発のプレミアムブランドが、欧州のライバルとは異なる独自路線を歩み始めたことは、自動車業界にとって大きなトピックといえるでしょう、

 新しいレクサス「LM」は、ヨーロッパにも輸出されます。欧州に上陸することで、果たして現地のショーファードリブン市場はどのように変化するのでしょう? その行方が実に楽しみです。

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みんなのコメント

15件
  • pjh********
    日本で40系アルヴェルが全然 お目にかかれないのは、
    円安で東南アジアに輸出した方が儲かるから
    日本は後回しになっているんだろうな。
  • トンネル
    同じメディア・ヴァーグの別記事では、アジアを制しているの中国製のアルヴェルのパチモン。
    意識づけぐらい統一しろよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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