■数多くの伝説を生んだバブル期にデビューしたクルマ
バブル経済絶頂期だった平成初期は、巷に輸入車や高級国産車が溢れていました。また、国産車の性能も飛躍的に向上した時代です。
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そんなバブル経済に後押しされるように、超高性能なモデルや、特殊なモデルが国内外のメーカーから多数輩出されました。
なかでも限定車や世界中で人気となったモデルが、プレミア価格で取引されるような異常な状況が当たり前の世の中でした。
そこで、1980年代から1990年代に著しく価格高騰したクルマを5車種ピックアップして紹介します。
●フェラーリ「F40」
フェラーリが創業40周年を迎えた1987年に発売された「F40」は、まさにバブルを象徴する1台です。
F40はノーマルの状態でもレースに出られるくらいの性能と装備が与えられたスパルタンなモデルで、フェラーリの「スペチアーレ(特別な限定車)」として、いまでは伝説的なモデルになっています。
シャシは、当時、最新の複合素材や接着剤などが使われた軽量・高剛性のセミモノコック構造とされ、リアミッドシップに搭載されたエンジンは、最高出力478馬力を誇る3リッターV型8気筒ツインターボです。
このエンジンは同じく1984年に販売されたスペチアーレの「288GTO」用エンジンをベースにチューニングが施され、公称の最高速度は324km/hと、発売当時の市販車では世界最速をマークしました。
公道を走れるレーシングカーであるF40には、パワーステアリングはもちろんブレーキサーボすらも装備されず、快適装備も一切無く、とても一般人が運転できるものではありませんでしたが、発表されると世界中のフェラーリ正規ディーラーに注文が殺到。
ちょうどバブル景気に湧いていた日本でもプレミアが付いて、新車価格4650万円だったものが最高で2億円以上にハネ上がったといわれています。
●ポルシェ「959」
ポルシェはグループBレース車両のベースとなる新世代のフルタイム4WDシステムを搭載した「959」を、1986年に限定生産しました。
外観は「911」の全幅を拡大したようなフォルですが、ほぼすべてのパーツが959専用になっており、アラミド系繊維強化プラスチックなど、当時、最先端の素材が使われています。
搭載されたエンジンはシリンダーヘッドを水冷化し、シリンダーが空冷の半水冷式2.85リッター水平対向6気筒シーケンシャルツインターボを採用。
最高出力は450馬力を誇り、エアロダイナミクスを追求したボディによって公称最高速度300km/h以上とされていました。
トランスミッションはスノーモードを含む6速MTで、駆動方式は前後の駆動力を路面状態やコーナーリング時に合わせて自動で制御する可変トルク式4WDを搭載しています。
内装も911のデザインに準じていましたが、車高調整やダンパー調整のスイッチ、駆動力配分を可視化するメーターなどが追加されていました。
足まわりはツインダンパーとコイルスプリングを用いた前後ダブルウィッシュボーンを採用するなど、これも911とは完全に別物です。
グループBホモロゲーション取得のために200台の生産予定でしたが即完売となり、最終的に292台まで増産されました。
発売当時は日本にも数台の正規輸入と、並行輸入でも入っており、定価が42万ドイツマルク=約3000万円のところ、なかには1億円以上の価格で取引されていたといいます。
ただし、複雑な駆動システムに起因するトラブルもあったようで、日本で修理できない場合はドイツ本国に戻されたそうです。
●ホンダ「NSX」
1990年、F1で常勝となっていたホンダは、世界に通用するスポーツカーを目指して開発した、初代「NSX」を発売しました。
世界初のオールアルミボディのリアミッドシップに、最高出力280馬力(MT車)を発揮する3リッターV型6気筒自然吸気エンジンを搭載し、1350kg(MT車)と軽量な車体と相まってピュアスポーツカーとして国内外で高い評価を得ます。
また、地を這うような低いフォルムから「和製スーパーカー」とも呼ばれますが、品質は欧州のスーパーカーを凌駕しており、後に欧州メーカーのクルマづくりに多大な影響を与えたといいます。
話題性や性能から国内外で大人気となり、日本では発売時点で3年分のバックオーダーを抱え、中古車販売価格が新車価格を大きく上回る状態が続きました。
当時は国内に比べて納期が短かった、左ハンドルの北米仕様が逆輸入されたほどです。
■「プレミア価格」を世に知らしめたクルマとは!?
●日産「Be-1」
1982年に発売された日産「マーチ」は、当時人気絶頂だったアイドル歌手の近藤真彦をCMキャラクターに起用し「マッチのマーチ」や「スーパーアイドル」のキャッチコピーも話題となり、国内コンパクトカー市場で大ヒットを記録。
そして1987年に日産は、マーチのコンポーネントを流用して、遊び心を持ったレトロ調なデザインの内外装の「Be-1」を台数限定で発売。後に「パイクカー」とも呼ばれました。
愛嬌のあるフロントマスクで丸みを帯びたボディラインに、開放感あふれるキャンバストップ(標準ルーフもあり)で一躍人気となり、それまで日本では見られなかった中古車価格が新車価格を大きく上回る「プレミア」を、広く世間一般にも知らしめます。
エンジンはマーチと同じ1リッター直列4気筒を搭載し、最高出力は52馬力でしたが、AT車でも700kgしかない車重のBe-1には十分な出力で、クルマのキャラクター的にも高出力は要求されませんでした。
長期間にわたり人気を保ち続け、1989年にはパイクカー第二弾の「パオ」、1991年には「フィガロ」が発売され、高い人気を獲得することになります。
●トヨタ「スープラ ターボA」
1978年にデビューした初代「セリカXX(輸出名スープラ)」は、当時の「セリカ」を大柄にして2.6リッター直列6気筒エンジンを搭載した、北米市場を意識したモデルです。
2代目では直線基調のボディに「ソアラ」と同じ2.8リッター直列6気筒エンジンを搭載し、国産200km/hオーバーカー(市販車では180km/hでスピードリミッターが作動)の仲間入りを果たしました。
そして、1986年のモデルチェンジでは、セリカXXから輸出名と同じ「スープラ」に車名変更をするとともに、最高出力240馬力を発揮する3リッター直列6気筒ターボエンジンを搭載する「スープラ3.0GT」が登場。
1988年には、「全日本ツーリングカー選手権(グループA)」のホモロゲーションモデルとして、エンジンやサスペンションに専用のチューニングが施され、最高出力が270馬力まで高められた「スープラ3000GT ターボA」が500台限定で発売されると即時完売します。
新車価格が405万円だったスープラ3000GT ターボAですが、発売直後に中古車販売店に並んだクルマのなかには、450万円から500万円となっているものも現れるなど、プレミア価格が普通でした。
※ ※ ※
今回、紹介したモデルのなかで、F40と959、NSXは、現在でも価格が高騰しています。正確には、バブルのころに高騰して、バブル崩壊後にかなり下がり、ここ数年で著しく高騰したということになります。
近年の高騰はバブル期以上ともいわれ、完全に投機の対象となってしまいました。
とくに1980年代から1990年代の旧車は軒並み高騰していましたが、どうやら価格の下落も始まっているようです。とはいうものの、F40や959のような限定車でコレクターズアイテムとなっているモデルは、そう簡単には下がらないでしょう。
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みんなのコメント
ビートたけしさんの愛車だと思ったのですが、その頃は元 運転手さんの芹沢名人さんに譲った後だったようです。