現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 新生 ホンダZのレイアウトは、ほとんどスーパーカーのようなミッドシップ4WDだった【時代が追いつけなかったクルマ】

ここから本文です

新生 ホンダZのレイアウトは、ほとんどスーパーカーのようなミッドシップ4WDだった【時代が追いつけなかったクルマ】

掲載 16
新生 ホンダZのレイアウトは、ほとんどスーパーカーのようなミッドシップ4WDだった【時代が追いつけなかったクルマ】

一見奇抜なデザインだったり、そこまでしなくてもと思うほどの走行性能だったり、使い切れないほど多機能だったり・・・こうした強い個性を持つクルマはこれまで数え切れないほど登場し、数年で消えていくこともあった。ここでは数ある星の中から1990年代~2000年代に登場した「個性が強すぎる」国産車にスポットライトを当てて解説していこう。今回は1998年10月に発売されたユニークな軽自動車「ホンダ Z(2代目)」だ

ホンダ Z(2代目:1998~2002年)
1997年のライフに続くホンダの「昔の名前で出ています」第二弾が、1998年10月登場のホンダ Zだった。かつて1970~1974年に販売された初代のホンダ Zは、軽自動車初のスペシャリティカー。リアハッチゲート、前輪ディスクブレーキ、ラジアルタイヤ、5速MTなど、こちらも軽自動車初の装備がオンパレードだった。四半世紀ぶりに復活した「Z」も出で立ちこそ大きく変身していたものの、ホンダらしく先進的なメカニズムを満載していた。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

スタイリングはスクエアを基調とした、ちょっと背が高い3ドアハッチバック。出で立ちは地味目で直接的なライバルは不在。こうした特異性はホンダならではのものだ。だが、謳い文句は「ミッドシップ4シーター4WD」と意外に華々しいものだった。

エンジンのミッドシップは商用車アクティの流れを汲むものだが、「オッ」となったのがターボ4WDのAT仕様ということだった。エンジンは何と縦置きで、その前方にトランスミッション、そこから出たアウトプットをビスカスカップリング式センターデフを介して前後にトルクを配分。リアには贅沢にもヘリカル式LSDを組み込んでいた。ミッドシップのおかげで前後重量配分は50対50という理想形を実現していた。

エンジンを縦置きとしたのは、当時ホンダにはコンパクトな4速ATユニットがなく、サイズが大きいシビック用を使わざるを得なかったという窮余の策だった。とはいえこの時代、これほど凝った4WDレイアウトを採用していたのは、ランボルギーニ ディアブロVTぐらいだったのだ。見えこそしないけれどフロア下はまさに、「スーパーカー然」としていたのである。

エンジンは660ccの直3 SOHCターボで、最高出力は64ps。ミッドシップならではのスポーティな走りを期待してしまうところだが、限りなく1トンに近い970kgという車両重量にATとあって俊敏さは控え目だった。いち早くタイヤを15インチ化(175/80R15)したこともあってか、ワインディングロードでのハンドリングにミッドシップ4WDの良さを見出すことはできたのだが・・・。

開発陣は、スポーツカーなどバリエーション拡大を目論んでいた
インテリアはフラットなフロアを実現していた。だが、その下にパワーユニットを配しているため、そのぶんかさ上げされていた。ちょっと高めで足を前に投げ出す感じのドライビングポジションは、サンドイッチ構造のフロアを採用していた当時のメルセデス・ベンツ Aクラスに似ていた。インパネもホワイトメーターを採用しているぐらいで、特にスポーツ的な演出はなし。前席左右にSRSエアバッグをいち早く採用したのはホンダの先進性だった。さらに分割可倒式リアシートなどワゴン的に使えるインテリアは「新しい軽自動車」を提案していた。

このホンダZの車両価格はターボで128万8000円と、凝ったメカニズムの割りにはリーズナブルな設定だった。しかし、ホンダの特異性ゆえか商業的には成功作とはならず、わずか3年ほどでフェードアウトしてしまう。「これが成功すればプラットフォームを活用してスポーツカーをはじめバリエーションを拡げたい」と、当時の開発陣は目論んでいただけに、残念だった。

ホンダはその後、2002年に白物家電的なザッツ、2006年にスポーティなハイトワゴンのゼスト、2008年に復活3代目のライフを世に送り出すも、ヒットには恵まれず。そうした苦節を経て2011年12月、満を持してハイトワゴンのN-BOXをリリース。するとこれが大ヒットとなり、その勢いは2代目となった現在でも続いているのである。(文:河原良雄)

[ アルバム : ホンダ Z(2代目) はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

50年前クルマの主役はトラックだった! 昭和30~40年代 日本の経済成長を支えたトラックたち
50年前クルマの主役はトラックだった! 昭和30~40年代 日本の経済成長を支えたトラックたち
ベストカーWeb
なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから
なんとフォード「シエラRS500コスワース」が約3780万円で落札! 高額の理由はノンレストア、低走行、温度管理されたガレージ保管だったから
Auto Messe Web
ケータハム初期の「スーパーセブン」を再現 ケータハム スーパー セブン 600 & 2000登場!
ケータハム初期の「スーパーセブン」を再現 ケータハム スーパー セブン 600 & 2000登場!
AutoBild Japan
【充電体験でEVのストレス軽減へ】 レクサス充電ステーションの予約を一般へも開放
【充電体験でEVのストレス軽減へ】 レクサス充電ステーションの予約を一般へも開放
AUTOCAR JAPAN
スズキ、東京アウトドアショー 2024に新型車出品へ…親子でアウトドアや料理を
スズキ、東京アウトドアショー 2024に新型車出品へ…親子でアウトドアや料理を
レスポンス
アルピーヌ・ジャポンが初の電動モデル「A290」の日本導入を検討へ!
アルピーヌ・ジャポンが初の電動モデル「A290」の日本導入を検討へ!
月刊自家用車WEB
価格以上の高性能が満喫できる、抜群のコスパに脱帽! BYD・SEAL 試乗インプレッション
価格以上の高性能が満喫できる、抜群のコスパに脱帽! BYD・SEAL 試乗インプレッション
月刊自家用車WEB
【MotoGP】ヨハン・ザルコのプロ精神、LCRチェッキネロ代表が称賛。ストイックさは”アーティスト”レベル
【MotoGP】ヨハン・ザルコのプロ精神、LCRチェッキネロ代表が称賛。ストイックさは”アーティスト”レベル
motorsport.com 日本版
キャンプギア収納問題をトランクルームで解決!「CAMP HACK」×「ストレージ王」のコラボ動画が公開(動画あり)
キャンプギア収納問題をトランクルームで解決!「CAMP HACK」×「ストレージ王」のコラボ動画が公開(動画あり)
バイクブロス
“200万円台”から! ホンダ最新型「ヴェゼル」月々いくらで買える? 大人気SUVの「最も安い&高いモデル」とは
“200万円台”から! ホンダ最新型「ヴェゼル」月々いくらで買える? 大人気SUVの「最も安い&高いモデル」とは
くるまのニュース
SHOEIヘルメットにB+COMを美しく装着できるNEWアイテム! サインハウスが「B+COM SHOEIアタッチメント3」を発売
SHOEIヘルメットにB+COMを美しく装着できるNEWアイテム! サインハウスが「B+COM SHOEIアタッチメント3」を発売
バイクのニュース
フェラーリが僅差でトヨタを破り2連覇! 今年のル・マン、24時間走ってもなぜ大接戦に?
フェラーリが僅差でトヨタを破り2連覇! 今年のル・マン、24時間走ってもなぜ大接戦に?
くるくら
VWの小型セダン『ジェッタ』に改良新型、6月25日に米国デビューへ
VWの小型セダン『ジェッタ』に改良新型、6月25日に米国デビューへ
レスポンス
ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベンツは「ほとんど変えずに洗練させる」困難な仕事をやってのけた しかし…… Gクラス試乗【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
【日本限定30台】メルセデス・マイバッハ特別限定モデル「S 580ナイトエディション」登場! 価格は4400万円。メルセデス ミーで展示中です
【日本限定30台】メルセデス・マイバッハ特別限定モデル「S 580ナイトエディション」登場! 価格は4400万円。メルセデス ミーで展示中です
Auto Messe Web
アルファロメオ ジュニアのハイパフォーマンス バージョン「ヴェローチェ」は最高出力280ps!
アルファロメオ ジュニアのハイパフォーマンス バージョン「ヴェローチェ」は最高出力280ps!
Webモーターマガジン
自動車業界の平均年収ランキング、1位はトヨタで「895.4万円」…SalesNowがトップ10公開
自動車業界の平均年収ランキング、1位はトヨタで「895.4万円」…SalesNowがトップ10公開
レスポンス
スバル新型「スポーツ“セダン”」公開! MT採用&パフォーマンス重視設定がイイ! 羨ましすぎる水平対向エンジン搭載モデル! 米に登場の「WRX tS」はどんなクルマとは
スバル新型「スポーツ“セダン”」公開! MT採用&パフォーマンス重視設定がイイ! 羨ましすぎる水平対向エンジン搭載モデル! 米に登場の「WRX tS」はどんなクルマとは
くるまのニュース

みんなのコメント

16件
  • メカ的なスペックはカタログデータだけ見ると魅力的に映ったが、実際試乗をすると鈍重だなあとしか感じられなかった。
    このモデルは、NAなら115万円から買えたがやはりターボがついていないと全く走らなかった。
    当時購入候補にしていたが、シートの出来の悪さから結局購入に至らなかったのでよく覚えている。
  • 当時はジムニーやパジェロミニの対抗商品として扱ってたメディアもあったけけど、値段は中途半端に高いし悪路走破性も劣るからこりゃ売れないだろうと思った。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

105.8128.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.888.0万円

中古車を検索
Zの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

105.8128.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

4.888.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村