昭和は遠くなりにけり・・・だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は昭和62年発売の三菱 ギャランVR-4だ。
国産4ドアスポーツセダンの頂点に立つ三菱のフラッグシップ
三菱 ギャランVR-4:昭和62年(1987年)10月発売
昭和62年(1987年)10月に発表され、12月から発売されたギャランVR-4は、1988年からグループA規定で戦われることになったWRC(世界ラリー選手権)に参戦するために開発されたマシンだった。当然のごとくWRCで勝てる高いポテンシャルを実現するため、すべての力が傾注されたといえる。
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新開発の2L 4気筒DOHC「サイクロン」エンジンは、インタークーラーとターボを装着し、当時クラストップのパワーを目指した。その最高出力は205ps/6000rpm、最大トルクは30.0kgm/3000rpmと期待にたがわないもの。特にエンジンの出力特性は、低回転からトルクフルなもので、誰でも扱いやすい特性が歓迎された。
ちなみにデビュー時の205psもクラストップを誇るものだったが、この4G63のポテンシャルはまだまだ高いところにあり、1989年に220ps、1990年には240psにパワーアップされ、最終的にはランサーエボリューションに引き継がれ、280psにまで達することになる。
この大パワーを確実に路面に伝えるため、センターデフを採用したフルタイム4WDを採用したのもトピックだった。当時はアウディ クワトロが先鞭をつけたセンターデフを使用した4WDが国内にどんどん投入された時代。マツダがファミリア4WD、日産がブルーバードSSSに採用したのに続き、ギャランVR-4でも採用され、雪道での強さはもちろんだが、当時のラリーやダートトライアルといったモータースポーツでも一時代を築くこととなる。
三菱らしい高剛性ボディを支えるサスペンションは、フロントがストラット/コイルとスタンダードながら、リアはダブルウイッシュボーン/コイルと凝ったものとなった。とはいえ、フロントヘビー+4WDということで、けっして曲がりやすいクルマとはいえない。そこで三菱が取った奥の手が、当時のトレンドともいえた4輪操舵システムである4WSだ。
これは、リア•サスペンションのトレーリングアームの関節部に全油圧式車速及び操舵力感応型後輪操舵機構をもたせたもの。車速と操舵力に応じて後輪を前輪と同一方向に適正量操舵し、中/高速走行時のドライバーのハンドル操作の感覚と、車体のズレを解消するのにも有効だった。
これによって限界の高いリア•サスペンションと合わせ、スムーズなコーナリングが可能となっていた。基本的にシャープさはないものの、ふところが深く、乗り心地も高レベルである。もちろんダートを走らせれば当時の一線級で、パワフルさといった点でも引けを取ることはない。
特に土系のモータースポーツではライバルであるレガシィに対して常に優位に立ち、国内ラリーやダートトライアルなどでタイトルを数多く獲得した。
1988年2月には競技ベースモデルとして装備を簡素化したRSも設定された。VR-4は三菱がワークスとして本格的にWRCに出て行く足がかりとなったという意味でも、記念碑的なクルマとなったといえる。
三菱 ギャランVR-4 主要諸元
●全長×全幅×全高:4560×1695×1440mm
●ホイールベース:2600mm
●重量:960kg
●エンジン型式・種類:4G63型・直4 DOHCターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:205ps/6000rpm
●最大トルク:30.0kgm/6000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/60R15
●価格:278万1000円
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