■打倒N-BOXなるか、新型スペーシアの実力をチェック
ミラクルオープンドアをもつダイハツ「タント」や、フルモデルチェンジしたホンダ新型「N BOX」に勝負を挑むモデルとして、2017年12月に2代目となる新型「スペーシア」を発売しました。見た目のスタイリングからして大胆に一新された新型モデルの実力が気になるところです。
軽自動車の背高ノッポのパイオニア、ダイハツ タントってどんなクルマ?
今、軽乗用車の販売で最も人気が高い背高系の「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるカテゴリー。その人気カテゴリーの新型車ということで注目されている新型スペーシアはどんなクルマになっているのか、試乗してチェックしてみたいと思います。
新型スペーシアは標準モデルの「スペーシア」のほかに、存在感を高めた「スペーシア・カスタム」という、表情が異なる2つのキャラを設定していますが、まずは標準モデルとなるスペーシアから乗ってみました。
青信号の発進は十分な加速を見せるものの、先代スペーシアような軽快さは感じず、どちらかというと、もっと上級な車をドライブしているような落ち着いた乗り味という印象を受けました。
「もうちょっと元気に加速したい」という気分の時に活用したいのが、ハンドルの上に新設されたパワーモード(PWR)。スイッチをオンにすると、エンジンにプラスでモーターがアシストを行うことで、フル乗車時の登り坂や高速道路の合流で力強い加速を披露してくれました。
新型スペーシアでちょっと気になったのはブレーキを掛けたり、車線変更するといったシーンで、天井付近がわずかに揺すられる感覚が残る部分。そのあたりは、全高が従来よりも50mm高まった影響もありそうですが、走りのまとまりについては、改良の余地がありそうです。
■ターボモデルは標準モデルより30kgも重たいのに軽快
次に試乗したのは、新型「スペーシア・カスタム」の「HYBRID XSターボ」。軽自動車としては大径な15インチサイズのタイヤが装着されていますが、発進加速は滑らかで、ノンターボ車よりも力がある分、軽やかさが感じられます。
こちらは、1台目で試乗した標準モデルよりも車両重量は30kgも重たい仕様ですが、走行時の動きは、むしろ標準モデルよりもターボモデルの方が圧倒的に操縦安定性が高いレベルだと思いました。
カーブの走行では遠心力で車体が傾きながらも、タイヤはしっかりと路面に接地している感触が得られて、ムリのない姿勢でカーブを立ち上がっていくことも確認できました。
ターボ車にもパワーモードが設定されているので、スイッチをオンにしてアクセルを踏み込んでみると、エンジンは6500回転あたりまで引っ張りながら伸び伸びとした走りを披露。高速道路の走行フィールは滑らかで、目標の車速に達した後は、エンジン回転を低く抑えて静かに走れる状態になりました。この状態なら同乗者との会話を楽しみながら快適に移動することができます。
従来型から大きく変貌を遂げた新型スペーシア。個人的には標準モデルのスペーシアのスタイリングが好みですが、試乗してみると、走りの面ではスペーシア・カスタムのターボエンジンの実力に圧倒されました。
もちろん、いま新車を購入する上で欲しい自動ブレーキなどの予防安全装備をはじめ、広い車内の空気を循環させるスリムサーキュレーターを設けていたりと、安心・快適な機能を充実させているのも魅力的です。
先代は地味に映っていたスペーシアも、新型は積極的に選びたいトピックが満載のモデルに進化したと思いました。
しかし、スーパーハイトワゴンはいまや若年層からヤングファミリー、さらには年配層までと幅広いニーズを取り込む超激戦カテゴリー。今後は、標準モデルにもターボエンジンを設定するなど、多様化するユーザーのニーズに応える展開に、注目していきたいと思います。
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