新型ADV160はアドベンチャーに見えるけどスポーティーでした
今回紹介するAGVはライディングギアメーカーのダイネーゼの子会社で、日本ではいずれのメーカーも株式会社ユーロギアが取り扱っています。
僕はバイクのレースに興味がありませんが、バレンティーノロッシが被っている事でも有名なメーカー。
今回は日本で販売されているAGVのヘルメットでは唯一のスポーツジェットヘルメット K5ジェットの魅力をチェックします。
K-5JETの付属品・カラバリ
K-5JETを箱から出してみると専用の袋に入っていて、裏側は塗装やシールドが傷つかないように裏起毛、縫い目は外側にするなど徹底しています。
入り口は紐で締めることができますが、アジャスターを絞ることで不意に開いてしまう事を防ぎます。
説明書はなんと5セット。2枚が注意書き、ピンロックのメンテナンスがかかれたもの、日本市場向けの補足説明、そして図入りで丁寧に書かれた操作マニュアルを付属しています。
AGVのステッカーも大小2枚付属されていて、小さい方は工具箱などに貼りたくなるサイズ感。
今まで色々なヘルメットを紹介してきましたが、見たことがなかったのがイヤークッションとエアーフィルターの二つ。
イヤークッションはチークパッドの中央に取り付けして耳回りのサイズ調整をするもので、エアーフィルターはトップベンチーションに取り付けすれば空気をフィルタリングします。
シールドが曇らないようにするためのピンロックシートも付属。冬場や雨の日でも抜群の効果を発揮します。
AGVヘルメットのカスタマー登録カードも入っていました。一部逆輸入の製品もありますが、正規輸入品に付属されているもので、登録することで2年間の無料修理保証が適用されます。
カラーは単色のみでホワイト、艶消しブラック、グレーの3色が用意されていて価格は5万5000円です。
規格はSG、PSCを取得しています。
K-5JETのデザイン
最大の特徴は帽体と一体化された大型のスタビライザー、横から見た時にガッツリ張り出していてレーシーな雰囲気。
サイドや頭頂部左右のベンチレーションからスタビライザーの部分は、控えめながらエッジを効かせたデザインで空力性能の高さを期待させます。
後頭部スタビライザーから下に掛けては曲線とエッジを用いたラインがセクシーで、帽体をコンパクトに見せる効果も。
帽体は2サイズ用意されているので、言及されていませんが恐らくS・M用、L・XL用に分かれているものと思われます。
全体的に質感の高さを感じるヘルメットなのですが、特に塗装されていない樹脂パーツ部分に高級感があり、左右シールドベース下側のパーツは美しいローレット加工が施されています。
イタリア国旗をデザインに組み込んだAGVロゴは額と後頭部に一か所ずつ貼られていますが、よく見みるとシールド左側にもロゴがありました。
K-5JETの機能性
ベンチレーションは頭頂部センターの計3か所。アウトレットはスタビライザー下に設けられており全て開閉が可能です。
センターベンチレーションは上部に設けられたノブを操作することで開閉し、開けてみると内側には金属製のメッシュが見えました。
左右のベンチレーションはパーツ自体が開閉する仕組みになっていて、いずれも開口部が広いので性能に期待したいところ。
アウトレットも開閉可能ですが、スタビライザー下側についているので、よほど強い雨が降らない限り開けっ放しでも大丈夫。
メインシールドはピンロックシートが装着できるようになっていて、素材は弾力性と剛性に優れたポリカーボネイトを採用しつつ小傷がつきにくいハードコートも。
ユニークなのがシールドとヘルメット本体がマグネットで固定されている点です。開閉をロックするような機能はありませんが、淵に貼られたゴムとマグネットでしっかりフィットします。
帽体の左耳あたりにはインナーバイザー用のノブがありますが、グローブをつけて操作しやすいように手が当たる範囲は広いものの、パーツ自体は薄めでデザインと両立しています。
インナーバイザーを出してみると国内ヘルメットメーカー製品と比べて素材自体が薄く、大きさもコンパクト。サングラスぐらいの大きさで、エッジが効いたデザインが個性的です。
インカムはシールドベースの下側あたりにマウントできます。クリップタイプでつけてみましたが、下淵部分はフラットなので両面テープでも装着は可能です。
少し上側にはエッジが立っているので、大きめのインカムは装着しにくいかもしれません。
傾向的にはインナーバイザー付きヘルメットは顎紐にラチェットバックルが採用されることが多いですが、こちらはDリングを採用しています。
K-5JETの内装
K-5JETの内装はチークパッドが左右一体化しており、トップ内装と合わせて2点となります。顎紐カバーは取り外しできません。
トップ内装を見てみると「アジアンフィット」の文字が。海外メーカーのヘルメットは日本人の頭にあっていないものもありますが、正規輸入されている製品は調整されているようです。
全体的に厚みがありクッション性も抜群、素材にはドライコンフォートを採用。公式では言及されていませんが給水速乾性に優れているようです。
トップベンチレーション前方と後方にはベンチレーションから取り込んだ走行風を取り込み、排出するための穴が空いておりサイドの部分は風抜けの良いメッシュを採用。
前側の特に広い開口部に関しては付属品のフィルターを装着することが可能で、帽体への脱着は後ろ1点、前2点のボタンなので簡単に行えます。
チークパッドは首の後ろのパッドまで一体式で、クッションは全体的にかなり厚めなので被り口は少々狭く見えます。
こめかみの部分は赤い布に切り替えられていて「グラッシーズフィット」の文字が。触ってみるとクッションが削られているので眼鏡が入れやすくなっています。
もちろん眼鏡をかけた状態でインナーバイザーを出しても干渉することはありません。
帽体への取り付けはボタン4点と差し込みで行いますが、そのうちのボタン2つを使って付属品のイヤーパットの固定が可能です。
内装を外した帽体を見てみるとスピーカーホールが確認できました。深さも十分ですが表面は起毛処理されていて、マジックテープがつくようになっています。
スピーカーホールを埋めるパーツはついていないので、イヤーパッドは風切り音を防ぐためにも使えそうな印象です。
K-5JETの重さ
K-5JETマットブラックMサイズの重さを図ってみました。
結果は1450g
K-5JETは帽体に軽量で剛性に優れるカーボンを採用しているため、もう少し軽いのを想像していましたが、ベンチレーションは3か所、シールドにはマグネット、内装もかなり厚いのでカーボンでなければかなり重かったかもしれません。
※ヘルメットは重さに個体差が発生します。また単色に比べてグラフィックモデルの方が塗料やステッカーの量が多くなるので重くなります。
K-5JETのサイズ・フィット感
海外ヘルメットはサイズが不安という方もいると思いますが、K-5JETを被ってみたところいつも通りのサイズでピッタリ。
スポーツジェットは被り口が狭いと感じたことがありませんでしたがK-5JETは若干狭い印象です。ただ顎紐を引っ張りながらでないと被れないという事はありません。
またチークパットは頬の中心ぐらいに多少圧迫感がありましたが、インカムなどの通話などで話しにくいと感じることはないでしょう。
K-5JET実走レビュー
今回はCBR250RRに乗ってK-5KETの性能をチェックしてみました。ロケ日のシチュエーションは晴れて気温が高く風が強い日でした。
視界はスポーツジェットなので広く、ピンロック用に取り付けられたシールドの端まで歪みがなくクリアに見えます。
走行しながらインナーバイザーを出してみましたが、出し入れで手間取ることははなくトンネルなどの手前で困ることはないでしょう。
インナーバイザーは縦の幅が狭いですが、まぶしく感じることはありません。
静粛性にも優れており、走行中の巻き上げ風は顎下をかすめていく程度で顔の方まで吹き上げることはありません。走りながらポジションを変えてみましたが風の流れが変わる感じはなし。
しばらく走行して頭が蒸れてきたタイミングでベンチレーションを開けてみましたが、頭頂部3か所、後ろ側のアウトレットはグローブをしたままでも操作に支障ありません。
ベンチレーションの効果は低速時でも頭の真ん中あたりにしっかりと風が抜いていくのを感じましたが、左右のベンチレーションは速度を上げていかないと体感できませんでした。
ただ真ん中ベンチレーションにはしっかりと風が入ってきますし、吸湿速乾性に優れた内装の恩恵もあり蒸れたりすることはありません。
高速道路の走行中は多少風切り音がするのが気になりました。風が強い日だったことも影響していそうですが、特に左耳の方が強く感じたのはインナーバイザーの操作ノブが関係して可能性があるかも。
まとめ
質感の高い外観とユニークな機能や付属品に注目しがちですが、スポーツジェットしての性能は一級品で、軽いので毎日の通勤通学などでも活躍するはず。
海外メーカーではありますが、アジアンフィット内装のお陰でサイズに困るという事もありません。
撮影してきた動画や写真を帰宅後にチェックしてみたところ、比較的帽体もコンパクトなので、見ためにこだわるライダーにもお勧めしたいヘルメットです。
動画でインプレッションを見たい方はこちら
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