2007年、2代目アウディTTのロードスターが登場した。2シーターレイアウトで、トップは当時流行していたメタルトップではなく、伝統的なソフトトップだった。まずはFFの2.0TFSI が日本上陸を果たしている。Motor Magazine誌ではさっそく試乗、今回はその模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年8月号より)
アルミとスチールを併用したアウディスペースフレームを採用
日本に上陸したてのアウディTTロードスターに試乗することができた。ちょっと懐かしい感じも受ける癒し系のエクステリアデザインは、流行に左右されることなく個性を主張している。誰にでも可愛がられるスタイルである。
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しかし、その中にはアウディらしい最高の先進性が秘められている。この美しいデザインを構成するボディはアルミとスチールを併用した新開発のASF(アウディ・スペース・フレーム)を採用。これはボディ剛性のアップ、軽量化をもたらし、前後重量配分の最適化を実現している。
最近流行のメタルトップではなく、あえてソフトトップを採用することで軽量化と低重心化を実現しているのもポイント。このソフトトップは時速50kmまでなら走行中でもボタンひとつでフルオートの操作が可能だというからありがたい。電動油圧作動で開けるのに12秒、閉めるのに14秒しかからない。トランクスペースに干渉しないのも利点だ。
このソフトトップはブラックのヘッドライニングの下にアコースティックマットを備えている。これにより防音、断熱性が高められ、閉めたときの快適性を向上させている。室内から天井を見ただけではソフトトップというイメージはない。手触りのよいメッシュの生地だ。そこを手で押し込むと骨格が判る程度で、ソフトトップとは思えない質の高さだ。
ソフトトップを閉めた状態での空気抵抗係数は0.32というから優秀。これも昔から空気抵抗を低減することに心血を注いだアウディらしさだ。女性を乗せたときなど、風の巻き込みが気になる。こんなときにはスイッチひとつで操作できるメッシュ製の電動式ウインドディフレクターを上げればいい。後ろから巻き込んで運転席と助手席に当たる風を軽減してくれる。
高速道路での安定性を向上させるために電動式リアスポイラーが自動的に上がってくる。ルームミラーにその上端が映る。自動では120km/hで上がるが、運転席からスイッチで上げることもできる。
エンジンは2.0TFSI直列4気筒2Lで、ガソリン直噴、DOHCインタークーラー付きターボチャージャーという最新テクノロジーの塊だ。200ps/5100~6000rpm、280Nm/1800~5000rpmという最高出力と最大トルクという数値から、力があるのに走りやすそうだというのは想像できる。たった1800rpmで2.8L NAエンジン級の最大トルクを絞りだすわけで、ターボチャージャーといってもターボラグがある昔のイメージとはまったく違う。
これと組み合わされるのがSトロニックと呼ばれるデュアルクラッチのトランスミッションだ。タイムラグなくスムーズにシフトアップ、シフトダウンできるだけでなく、流体トルクコンバータを使わないドライブトレインだから、ダイレクトな走行感覚と低燃費が実現できる。
運転席に座るとスポーツカーの雰囲気を醸し出している。まずハンドルだ。円ではなく時計の文字盤でいうと5時から7時まではフラットになっているからレーシングカーのようだ。これで乗り降りもしやすいという実用上のメリットもある。9時と3時のところに左右の手を置いてスポークのところに親指を置くようにスポークとリムに窪みが付けてある。やはりTTロードスターはスポーツカーだなと思ったのはローンチコントロールがあることだ。ただし、ESPを解除して作動させるもので、一般道ではリスクがあるから試さない方がいい。
ダッシュボードとボンネットがひとつの面で構成されているのも特徴。緻密にできていて運転席からの眺めがきれいだ。これはデザインだけでなく製造技術が優秀だからできることだ。新型アウディTTロードスターは見た目よりはるかに先進技術を凝縮したクルマだ。(文:こもだきよし/Motor Magazine 2007年8月号より)
アウディ TTロードスター 2.0TFSI主要諸元
●全長×全幅×全高:4180×1840×1365mm
●ホイールベース:2465mm
●車両重量:1410kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1984cc
●最高出力:200ps/5100-6000rpm
●最大トルク:280Nm/1800-5000rpm
●トランスミッション:6速DCT Sトロニック
●駆動方式:FF
●車両価格:479万円(2007年)
[ アルバム : アウディ TTロードスター 2.0TFSI はオリジナルサイトでご覧ください ]
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