豊田章男会長の念願叶う。代表代行の“やりたくない仕事”も完遂「表彰台に連れていってくれてありがとう」

　8月3日（木）から6日（日）にかけて、フィンランドのユバスキュラを中心に、2023年WRC世界ラリー選手権第9戦『ラリー・フィンランド』が行われ、既報のとおりTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム（TGR-WRT）のエルフィン・エバンス／スコット・マーティン組と、勝田貴元／アーロン・ジョンストン組（ともにトヨタGRヤリス・ラリー1）がワン・スリー・フィニッシュを飾った。

　ユバスキュラに本拠を構えるTGR-WRTにとって“ホームラリー”となる一戦にはレギュラードライバーに加えて、普段はチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラがユホ・ハンニネンとともに1戦限定でシリーズに復帰し、トヨタGRヤリス・ラリー1で母国ラリーに出場した。元トヨタドライバーのペアは総合5位でラリーを完走。一方、チャンピオンシップで首位に立つカッレ・ロバンペラ／ヨンネ・ハルットゥネン組（トヨタGRヤリス・ラリー1）は、デイ2でのクラッシュによって負ったクルマのダメージが大きくチャンピオン獲得後初の母国凱旋イベントをリタイアすることとなった。

　彼らの戦いをチーム代表代行として普段とは異なる環境で見守った豊田氏は、ラトバラ代表の代わりに自身が務めた仕事内容を紹介するとともに、表彰台の頂点に立つ権利をもたらしたエバンス組に感謝の言葉を述べた。また、TGR-WRT会長としてはラトバラ“選手”を世界選手権に復帰させた理由を語っている。

　WRC第9戦ラリー・フィンランド後に発表された豊田章男チーム代表代行／TGR-WRT会長のコメント全文は以下のとおりだ。

●豊田章男（TGR-WRTチーム代表代行として）

ラリー・フィンランドではチーム代表代行として4つの仕事をさせてもらいました。ひとつめ“チームに声をかけてまわる”こと。かけた言葉は朝の「おはよう」と3つの合言葉…「One team」「Never give up」「We hate to lose」。そして、今回教えてもらったフィンランドの言葉「SISU」だけです。たまにしか会えない私でも、これらの言葉があれば心が通じ合えるのが我々のチームです。コースオフして戻ってきたカッレに「Never give up ！」と声をかければ「Yeah ！ We hate to lose ！」と返してくれます。リタイアが決まったカッレは、そのあと貴元に色々なアドバイスをしてくれていました。まさに「One team」です。こんな素敵なチームを築いてくれているヤリ-マティに改めて感謝します。Amazing Weekをありがとう！

ふたつめの仕事はSSでドライバーたちを“見守る”こと。私が見守っていると感じた貴元は、気合いを入れてステージトップタイムをマークしてくれました。タイムへの貢献に繋がったようでよかったです。おかげで念願だった「貴元と一緒に表彰台」も叶えることができました。貴元、表彰台おめでとう！

3つめの仕事はチーム代表としてインタビューに答えること。SSやサービスで数々のインタビューに応じました。トミ（・マキネン／前チーム代表）やヤリ-マティは我々トヨタのために、いつもこんな大変な仕事をしてくれていたんだと改めて感謝しました。

最後の4つめは“表彰台に立つ”という仕事です。体中がベタベタになってしまう一番“やりたくない仕事”でしたが、本当に嬉しい経験でした。こんな素敵な経験をさせてくれたエルフィンとスコットに心から感謝します。表彰台でも言ったけどもう一度……

エルフィン、スコット本当におめでとう！　表彰台に連れていってくれてありがとう！

ベタベタになるのはイヤですが、“ぜひもう一度”、“できることなら日本で”このAmazingな仕事をやらせてもらえれば嬉しいです。今回、カッレとヨンネには走り切らせてあげられず申し訳なかったけど、次は君たちともベタベタになれればと思っています。今回、代表代行の仕事をさせてもらい、チームメンバーそれぞれが本当に大変な仕事をやってくれていることを実感し、みんなに感謝しました。

残り4戦はふたたびヤリ-マティがチーム代表を担っていきます。引き続き「One team」「Never give up」「We hate to lose」そして「SISU」を合言葉にチームメンバー全員で戦っていきましょう！　みんな、よろしく頼みます！

●豊田章男（TGR-WRT会長として）

我々が目指すのはドライバーファーストのチームです。しかし、チーム代表のヤリ-マティが知っているクルマは今まで『ヤリスWRC』だけでした。ドライバーたちが乗っている『GRヤリス・ラリー1』には乗っていません。チャンスがあればGRヤリス・ラリー1をヤリ-マティにドライブしてもらいたいとずっと考えていました。

やっとそれが叶い、ヤリ-マティはドライバー仲間のユホとともすべてのステージを走り切ってくれました。彼らはずっと笑顔で走っているように見えました。しかし、きっとそうじゃない瞬間もあったはずです。ドライバーがずっと笑顔で気持ちよく走れるクルマを、これからもヤリ-マティたちと一緒につくっていきたいと思います。

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この人が現場に居れば、本部に持ち帰って検討しないといけないようなことでも、現場判断で、しかも即座に「やっちゃいなさい」と鶴の一声で、スムーズに事が運びそう。