普段乗りで活躍しているかわいいクルマがテーマのイベント
新潟県弥彦村で2024年6月9日に開催されたイベント「GFGS CARLIFE IN YAHIKO Vol.1」のテーマは、「普段実用に供している1980年代~2010年代製のかわいいクルマ」。今回は、クラシックでかわいい趣味車の王道、ローバー「ミニ」を26年にわたり愛用しているオーナーを紹介します。フルレストアにあたり、高性能&上級グレードの方向を目指さなかった理由とは?
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ほどよい「詫び寂び感」をまとったローバー ミニ1000
「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」などというが、クルマ趣味の世界で言えばさしずめBMC(British Motor Corporation)「ミニ」などがそんな存在といえようか。生産中止から四半世紀近くが経ち、その中古車市場価格も上昇傾向にあるとはいえ、輸入ヒストリックカーとしては数も多く価格もまだまだ現実的。とっつきやすいけれど奥は深い。
そんなミニのオーナーになるということは、「エンジンをフロントに横置きした2ボックスの小型前輪駆動車」という近代的小型車のフォーマットを確立した、歴史的アイコンとともに暮らすということでもある。
1959年にデビューし2000年に生産終了されるまでの長期にわたり、一度もフルモデルチェンジされることなく生産され続けたミニには、ご存知のとおり数多くのバリエーションがある。なかでも1960年代のツーリングカー・レースやラリーで大活躍した高性能版の「クーパー」や「クーパーS」の印象は強烈で、その名は当時の活躍をリアルタイムで知らない世代にも広く浸透している。
豊富なパーツで自分好みの姿に手を加えていく楽しみにもあふれているミニだけに、基本グレードを上位モデルのクーパー仕様に仕上げるオーナーも少なくないのだが、イベント会場で見かけたこちらのミニは、そんな高性能&上級グレードのクーパーとは異なる好ましい「侘び寂び感」をまとった1台。
社会人となって初めて買ったクルマがこのミニ
「雑誌などで見知ったミニには、中学生の頃からずっと憧れていました」
と語るオーナーの高橋ひろきさんの「ミニ1000」は1989年式。
「社会人となって、初めて買ったのがこのクルマです。手に入れたのは1998年でしたから、かれこれ26年間乗り続けています」
戦前から合従連衡を複雑に繰り返してきた英国の自動車業界だが、1989年時点でミニを生産していた会社の名称はローバー・グループ。ブランドの統廃合が進み、モーリス ミニやオースチン ミニではなく、単にミニ、あるいはローバー ミニと呼ばれていた時代。1Lエンジンがラインナップされていたのもこの年までだ。
「手に入れてから3年ほど経った時、ガスケットが抜けてしまったんですよね。その頃は忙しくてなかなかクルマに対する時間が取れなかったのですが、手放す気はなくて、その後2年くらいは祖母の家に疎開させ、そこで寝かせてもらっていました」
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
いまはYouTubeなどを参考に極力自分でメンテ
その後、仕事が落ち着いたタイミングで高橋さんはミニのフルレストアを決行。もちろんパーツも豊富なミニゆえ、全くのオリジナルからワークス・クーパー仕様まで、その気になればどんな姿にも仕上げることができる。しかし高橋さんのチョイスは「BL(ブリティッシュ・レイランド/1975年~1986年)」時代のミニ1000仕様。
ちょっとだけ先祖返りの、10インチ・ホイールの最終期ごろ。ミニがまだ「レトロ・ファッションのアイコン」ではなく、デビューからだいぶ時間の経った、それでも「まだまだ現役のベーシックカー」だった時代の姿だ。かつて1981年式のミニ1000オーナーだった筆者も、その絶妙なチョイスに激しく賛同。
「じつはお世話になっていたショップさんが廃業してしまい、今では整備系YouTubeなどを参考に極力自分でメンテするようにしています。この手のイベントに参加するのは初めてなのですが、これも情報収集の一環です」
という高橋さん。長年連れ添った愛車の欠点は「無し」と言い切るだけに、ミニとの二人三脚は今後も末長く続いていくことだろう。
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