1990年代、クロカン人気と同時にやって来た、ステーションワゴンブーム。
レガシィツーリングワゴンを筆頭に、カルディナ、アベニール、アコードワゴンといったミドルクラスのステーションワゴンが人気の中心であり、ハイパワーな国産Lクラスステーションワゴンはなかった。
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その中で1996年に登場したのが日産ステージアだった。たった2世代、11年でモデル消滅となってしまったステージアだが、ワゴンとしての積載性に加えて、走行性能の高さやクルマが持つ雰囲気など、素晴らしいものを持っていたクルマだった。
本記事では、ステージアの魅力を紹介しつつ、たった2世代で終わってしまった理由にも迫っていく。
文:吉川賢一、写真:日産、BMW、ホンダ、スバル、ベストカー編集部
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ステージアはどういったクルマだったのか?
初代ステージア
初代ステージア(WR34型)はローレル/スカイラインのシャシーを採用し、駆動方式はFRもしくは4WD。
サスペンションもスカイラインと同じマルチリンク形式を採用するなど、スポーティな走りと、豪華な装備、さらに高い実用性も備えた、まさに「スカイラインワゴン」といったモデルだった。
ちなみに、7代目 R31型スカイラインにスカイラインワゴン(1986~1990年)が設定されており、ステージアは、実質的な後継車だ。
初代ステージアには、直列6気筒エンジンが3種類設定されていたが、1997年、オーテックジャパンから、R33型スカイラインGT-RのRB26DETTエンジン(280ps)やドライブトレイン、リアサスペンションを流用した「260RS」が登場、「超快速ステーションワゴン」として人気となった。
2001年、M35型へとフルモデルチェンジ。INFINITI G35として海外市場を視野に開発されたV35型スカイラインと同じFMプラットフォームが採用されていたが、スカイラインとは異なり、ステージアは国内専売とされていた。
2代目ステージア
エンジンはV型6気筒のVQ型エンジンへと移行、高級ステーションワゴンのコンセプトは継続された。
2003年には特別仕様車「アクシス350S」が発売。VQ35DE型エンジン(280ps)が搭載され、ミッションには6速MTと、これもまたマニア心をくすぐる一台だった。
ステージアは、名車なのか?それとも迷車なのか?
せいぜい最高速度が120km/h程度の日本の高速道路事情では、ステーションワゴンはその真価を発揮できていない。
ステージアが消滅してしまった理由は、ステージアの性能が日本においては過剰なものだった、ということにあると考えている。
SUV大流行の現代においても、海外では、ステーションワゴンは根強い人気がある。メルセデスやBMW、アウディ、そしてフォルクスワーゲン、ボルボ、プジョー、そしてジャガーに至るまで、ステーションワゴンをラインナップしている。
BMW3シリーズツーリング
セダンの車体をベースに設計をするので横展開がしやすい、といった自動車メーカー側の事情もあるにはあるが、海外メーカー、特にドイツ勢がステーションワゴンを作り続ける理由は、ハイスピードで移動をするアウトバーンの道路環境が関係している。
車室内の高さを優先した、バンのようなクルマでは、空気抵抗による燃費悪化は免れず、またハイスピード走行中の安定性能が著しく悪化し、安全性に問題が出てしまう恐れがある。
ドイツでは、「時間をお金で買う」といった考え方があり、最高速度が高いクルマは問答無用で「偉い」。
速く走るには、クルマの操縦安定性は高くないとならないし、先進の走行支援システムも必要になる。
そのため車両価格は高くなるが、「速く走るためにお金を出す」というのは合理的と考えられており、むしろそうしたクルマでないと、ドイツでは認められない。
まとめ
ステージアはいいクルマだったのか?
筆者は昔、日産の栃木工場のオーバルコースでやっていた同乗体験会で、ステージアに同乗したことがある。その際、180km/hのスピードメーターを振り切って、バンクを全開走行するステージアに感動した経験がある。
「ステージアはスカイラインのシャシーを使っているので、ポテンシャルが相当に高いんです」とテストドライバーの方がお話してくれた。「ステージアは凄い!」これは間違いなくいえることだ。
残念ながらステージアは、クルマ自体は名車だったと思うが、売る場所や売り方が迷車だったと考えられる。
日本市場では「ステーションワゴンは、セダンよりちょっとおしゃれなクルマ」といった考え方になっているのは、とても残念なことだ。
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