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5代目は最新技術テンコ盛りで勝負するも消滅! 最後のプレリュードってどんなクルマ?

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5代目は最新技術テンコ盛りで勝負するも消滅! 最後のプレリュードってどんなクルマ?

ただのデートカーではない5代目プレリューのフレキシブルぶりを振り返る

 ホンダの本気はここにある。現時点で最後のプレリュードとなる可能性が高い5代目(アキュラブランドからインテグラが2023年に復活予定で、プレリュードも復活の可能性はゼロではないため)。端正な2ドアクーペの最終モデルとして、さまざまな技術力と初代~3代目モデルを彷彿とさせる、原点回帰したかのようなスタイリングにホンダがF1で築き上げた技術を惜しみなく投入して、1996年11月にデビューした。

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初代から3代目モデルの名残りを感じさせるスタイリングでデビュー

 アイルトン・セナをCM起用して人気を博した4代目プレリュード(1991年発売)は、スポーツ性を追求しながらアメリカンテイストを感じさせる佇まいで登場。それまでのリトラクタブル式から固定式へとヘッドライトを変更するとともに、両サイドのフェンダーよりもボンネット中央や、さらにボンネット先端部は低い位置にあり、ワイドな薄口グリルが備わったフロントマスクはまさにプレリュードらしいスタイリングであった。

 前後のフェンダーこそ先代の印象を受け継ぐが、キャラクターラインが折り目の正しさを感じさせるうえにCピラーがシャープに戻ったことで、リヤまわりの重たそうな印象を払拭。このように4代目(先代)も優れたスポーツ性を発揮していたが、それをさらに高めたうえで原点回帰したスタイリングが5代目プレリュードの特徴であり、魅力であった。

同排気量ながらバリエーション豊かな4タイプのエンジンを設定

 5代目プレリュードへの本気度が理解できるのは、2ドアクーペのデートカーとして、そしてスポーツカーとしてもユーザーを満足させる4タイプの2.2L直列4気筒エンジンを設定したことだ。

 下位グレードから紹介すると「Xi」に搭載の最高出力135ps/最大トルク19.6kg-mのSOHC(F22B型)、「Si」にはVTECを持たないDOHC16バルブ搭載の最高出力160ps/最大トルク20.5kg-mのDOHC(F22B型)、「SiR」には当時最高水準の圧縮比10.6から最高出力200ps/最大トルク22.3kg-mの(H22A型)を搭載。「タイプS」にも同型式エンジンのH22A型を搭載するが、2次バランサーを備えながらも1L当たり100ps、最高出力220ps/最大トルク22.5kg-mの高性能NAエンジンを搭載した。

 なかでも「タイプS」のH22A型の改良エンジンは、吸気ポートの手動研磨などが施されたうえに、ピストン形状の変更で圧縮比を11.0まで向上させ、燃焼速度や燃焼効率アップにより低回転域のトルク豊かな特性を発揮。さらにVTECのセッティング変更も施され、「SiR」に比べて吸気側を上死点前15度から下死点後45度まで最大12.2mm、排気側を下死点前45度から上死点後15度まで最大11.2mm、バルブをリフトさせるという作動域により、高出力を達成させた。

 ほかにも吸気抵抗を低減させるため、エアインテーク入り口をファンネル形状としたダイナミック・チャンバーを採用。スロットルボディ径を60mmから62mmに拡大。そのほか、バルブシートを60度から45度へと鋭角化するなど、前述した手動研磨もあって吸気抵抗の低減にこだわり抜いた。これは排気側も同様で、優れた燃焼からの排気ではパイプ形状の真円化が図られたほか、パイプ径を直径50.8mmから57mmへと拡大。サイレンサーの流量も97L/秒から113L/秒として排気抵抗を低減したことで、高出力化が図られた。

 もちろんF22B型も進化している。ピストン形状が変更されて、ピストンスカートが新形状となったことで静粛性に寄与。コンロッドとピストンピンの間に隙間を設けることによって、ピストンとピストンピンの隙間を減らせるフルフロートピストンが採用され、こちらも静粛性に効果を発揮。デートカーのプレリュードらしいエンジンの仕様とした。

ATモデルには新開発のシーケンシャルスポーツマチックを搭載

 組み合わされるトランスミッションは、マニュアルモードを備えた新型ATのSマチック(シーケンシャル・スポーツマチック)をMT車を除く全車に採用。D4レンジから右のシーケンシャルモードにセレクトレバーを引き込むと、レバーの前後方向の操作によるシフトチェンジが可能で、新開発のフルダイレクト制御ATによってスポーティな走りを味わうことができた。

 このフルダイレクト制御ATは、従来はひとつのデバイスでエンジン出力の制御を行っていたのに対して、すべてのクラッチ操作を個別の高性能リニアソレノイドで直接制御している。プログラムもAT用コンピュータの容量と処理速度をアップさせ、Dレンジでのスムースな変速、マニュアルモードでの変速速度を向上。ゲート式ATであることも加わり、ATであっても左手を駆使して操る楽しさを追求していた。

歴代モデルに引けをとらないホンダ独自の技術力を5代目モデルにも投入

 プレリュードの歴代モデルを振り返ると、初代プレリュード(1978年発売)は都会的な2ドアで、日本初の電動サンルーフを採用。2代目(1982年発売)はリトラクタブルヘッドライトによる斬新なデザインと4輪ALB(ABS)を搭載、次世代スペシャリティカーとしてのポジションを確立した。3代目(1987年発売)は全グレードを2L化し、世界初の4WSの採用で高い商品性でマーケットを拡大。4代目(1991年発売)は、VTECを筆頭に全車2.2LDOHCエンジンを搭載したほか電子制御4WSを採用するなど、生体感あるフォルムで新しいスペシャリティカーの在り方に挑戦した。

 そして5代目の開発コンセプトを要約すると「洗練された大人の感性をも魅了するクーペであり、ホンダのテクノロジーを結集した」と記されている。

 この5代目の魅力は、まずスタイリングから見ると端正なノッチバッククーペを目指している。「ライト&シャドウ」をテーマとしていただけあって、低い車高ながら広いガラス面積と各ピラーのデザインを見直し、開放感が感じられる室内空間にこだわった。また、シャープで張りのあるサイド面の構成と直線的なショルダーライン、大光量フリーフォームリフレクターヘッドライトもあって、車内からの視界と外から見た太陽光の下でのクルマの美しさと視認性にこだわり、日本的な美を追求していたと言える。

2ドアクーペだからという妥協を許さない快適な居住性も魅力であった

 インテリアも操作系を洗練させたほか、ツートーン仕様も用意してプレリュードらしさを取り戻した。特筆すべきは、4代目に対してボディ幅を15mm減としながらも、ホイールベースを35mm延長したことで着座位置のゆとりとヘッドクリアランスを高め、視認性を向上。2+2のクーペながらタイトな居住空間を強いることのない優れたパッケージングも魅力であった。

 操作系は黒で統一された上部に集約され使いやすさを優先したほか、下部及びシートには赤と黒のツートーンや黒+黒のワントーンタイプも用意。木目パネルのほかカーボン調パネルも設定され、ラグジュアリー仕様とスポーツ仕様が選べるようになっていた。

 また、ステアリングはエアバッグを備えるも、その存在を意識させないスポーティな3本スポーク式を採用。フロントシートはサポート性に優れながら快適な乗り心地も考慮され、サイドにはカプロン材と呼ばれる特殊ウレタンを独自に加工した素材の採用により、適度な伸縮性としなやかさを両立。もちろん耐摩耗性や摩擦にも強いシート表皮は滑りにくいものであった。

 快適装備はクルマのキャラクターゆえに多くはないのだが、走りにもつながるドライビングポジションが最適になるように、運転席には25mmのハイトアジャスター機能を装備。運転席はもちろん、各乗車位置で快適な居住空間がしっかり確保されていた。

 ユーティリティ性能についても、積載性はもちろん先代比+200mmの開口部をトランクに採用。分割式ではないものの後席を可倒させることで長物が積めるようになっており、復活した伝統のサンルーフはガラスのアウタースライド方式で、開いたときでもヘッドクリアランスが狭くならない構成だった。初代プレリュードからの伝統を見事なまでに昇華させていた。

ボディ剛性強化とシャーシ性能の追求などにより快適性とスポーティさを両立

 ボディは各部を強化したことで曲げ剛性で55%、ねじり剛性40%も向上させており、サスペンションもブッシュ類の強化やベアリングの高剛性化、リヤスタビライザーのピロボール化などで4輪ダブルウィッシュボーンを進化させた。とくに後輪のハブベアリングはベアリングスパンを拡大することでキャンバー剛性を32%も向上。これによりハンドリングの応答性や旋回ブレーキ性能が向上している。

 詳しくは後述するが、タイプSに採用のATTS(アクティブ・トルク・トランスファーシステム)に合わせて、フロントサスペンションは旋回外輪の駆動力を内輪よりも大きくすると、それぞれのキングピン周りに発生する転舵トルクにも差が生じることになる。そのため、ボールジョイントを2カ所設けて仮想キングピンをボールジョイントと異なる位置に設定できる専用オフセットのダブルジョイント式を開発。

 またホイールセンターオフセットを43.7から25mmとして転舵トルクの差を低減し、操舵による安定性を向上。ダブルジョイント式を生かすために前後左右ともレバー比を向上させて、自然で快適で、そして安心して操れるサスペンションに仕立てられていた。これにより専用開発の205/50R16タイヤは、先代の55タイヤ以上の快適性を実現。MT車にはビスカスカップリング式LSDの設定や、小型軽量で反応とコントロール性に優れるブレーキ&ABSとしたことで、スポーツ性も向上させた。

プレリュードの代名詞とも言える4WSもさらに進化させた

 3代目プレリュードでいち早く採用された4WSは、30km/h以下の場合は後輪を逆位相に転舵。アクチュエーターのストローク向上や制御システムの精度向上によって、時速7km/h以下の走行なら従来の6度から8度へと改良された。これにより最小回転半径4.7mを実現(2WS仕様は5.5m)している。30km/h以上であれば、ステアリングの切り始めでは回答性を向上させることでアンダーステアを抑制。レーンチェンジなどでは同位相から逆位相まで微妙なコントロールを行うことで、車体の安定性が高められた。またアクチュエーターの制御でトー剛性を向上させ、後輪の安定性にも大きく貢献していた。

 さらに先進技術の左右輪の駆動配分を行う新技術ATTSは、トランスミッションからデファレンシャルギヤ(以下:デフ)を経て、駆動トルクを左右で50:50に等分させて左右輪に力を伝えるのに対して、ATTS内の多板クラッチが左旋回用のギヤと右旋回用のギヤの結合具合を調整。例えば左カーブでステアリングを左に切った際には、外輪となる右側前輪に駆動力を多く分配してコーナリング性能を高め、直進時にはクラッチは作動せずに駆動力はエンジンからトランスミッション、デフ左右輪へと伝わり、普通のFFとして走行させるものであった。

 なお、左旋回時は左側のクラッチが減速から固定されると、デフで分岐された左右輪の駆動力が左輪用のサンギヤから三連ピニオンギヤ→右輪用サンギヤ→デフケース→右輪と流れて、右輪の駆動力が増す。右旋回時はこの逆で、旋回で左右輪の駆動力配分を行うクラッチの制御はコンピュータによって制御。基準はアクセル開度や車速、ステアリング舵角、横Gなどが協調制御させたもので、左右輪の駆動配分比率は80:20まで自在にコントロールすることができた。

 また、ATTS付きのABSは専用仕様で、ヨーレイトセンサーと横Gセンサーの情報も加えて制御するアクティブコントロールABSを採用。直進時は前輪のみを左右独立制御+後輪の3チャンネル制御により、コーナリング時では4輪の制動力を個別に司る4チャンネル制御とすることで、制動力を最適にコントロールできるようにしていた。

衝突安全基準を先取りしたパッシブセーフィティ性能も実現

 安全面では直線的なフレーム構造で優れたキャビンの強度と衝撃吸収性を確保。ドアには2本のドアビームを備えて、発売から2年後の新法規基準を先取りして採用。3点式シートベルトは運転席&助手席に加えて後席にも備わり全車標準装備としたほか、衝撃吸収パッドも奢られた。それでいてリサイクル材を各所に用いたほか、リサイクル可能材の採用を増やすことで環境性にも配慮していた。

 現時点で最後のプレリュードは同じ排気量ながら4つのエンジンを持ち、AT/MT、4WSのありとなしが選べる、ホンダの渾身の一台であった。タイプSはMTのみであったが、それが正解だろう。

 1998年にはラインアップの整理とともに「SiR・Sスペック」を追加。「SiR」はAT、「SiR・Sスペックは「タイプS」と同じエンジンを搭載しLSD装備の5速MT採用の走りのモデルとしてユーザーに訴求した。シート表皮の変更やリヤワイパーの設定など、間口を広げるような改良が実施されるも2001年6月、23年の歴史に幕を閉じた。これまでにもプレリュード復活のニュースがスクープ情報として伝えられてきたが、インテグラのように公式なアナウンスはいまのところ聞こえてこない……。

■ホンダ・プレリュード・タイプS(BB6型)主要諸元○全長×全幅×全高:4520mm×1750mm×1315mm○ホイールベース:2585mm○トレッド:前/後 1525mm/1515mm○車両重量:1310kg○最低地上高:140mm○乗車定員:4名○最小回転半径:5.7m○室内長×室内幅×室内高:1755mm×1430mm×1090mm(サンルーフ付き高は1075mm)○エンジン: H22A型直列4気筒DOHC VTEC 16バルブ○総排気量:2156cc○最高出力:220ps/7200rpm○最大トルク:22.5kg-m/6500rpm○サスペンション 前後:ダブルウィッシュボーン式○ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク○タイヤサイズ 前後:205/50R16

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みんなのコメント

20件
  • なにせカッコ悪かった…
  • 5代目はカッコ悪いという方が多いが、
    いやいや、そんな事ありません。
    あの唯我独尊なデザイン他にありますか?
    車の開発は様々な規制の中で開発されています。
    2.2Lが中途半端?そんな事ありません。
    H22Aこそ街乗りからワインディング、高速までの
    オールレンジで対応し、K型には無いアナログ的な
    VTECを体感できる最高のエンジンです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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