ミニ以外の何物でもない
ミニ・エレクトリックは、由緒ある英国ブランドにとって大胆な新時代の幕開けとなるクルマだ。しかし、それを初めて運転した時に感じた印象は、心強くも馴染み深いものだった。
おそらく、ミニ初の量産電気自動車に対する最大の賛辞は、運転するとその走りやハンドリングは、パワートレインの種類に関係なく、まさにミニ以外の何物でもなかったということだろう。
「ミニ初の量産電気自動車。イギリス以外ではミニ・クーパーS Eの名で発表」それはもちろん、悪いことではない。なぜなら、クラシックなミニのキャラクター、すなわちシャープなステアリング、瞬時に向きを変える操縦性、軽快なハンドリングは受け継がれており、それこそが電気自動車のシティカーに求められるキャラクターでもあるからだ。
BMWが2000年にミニ・ブランドを最初に復活させた時と同じように、英国製のミニ・エレクトリック(英国以外ではミニ・クーパーS Eと呼ばれる)で目指したのは、先進的なデザインとノスタルジックな魅力を融合させたクルマとして完成させることだった。
先日フォーミュラEのニューヨークePrixが開催されたブルックリン・ストリート・サーキットで、量産モデルに短時間ながら試乗して感じたことは、その目標が達成できているということだった。
内外装 ほとんど変わらず
一見すると、他のミニ3ドア・ハッチバックと変わらないように思える。違いは主にフロントグリルと、小さな専用バッジがあちこちに付けられていること。そしてスタート・ボタンを押してもエンジンの騒音が聞こえてこないことだ。
それはおそらく良いことだろう。既に確立された、親しまれているデザインであり、エレクトリック・ミニをミニに見えないようにデザインしても意味がないはずだ。このミニとパワートレインを共有するBMW i3が、あえて他のBMWとは違うクルマに見えるようにデザインされたのとは正反対のやり方だ。
「インテリアは、内燃エンジンのミニと大きく変えていない」量産モデルのインテリアもまた、よく見慣れたものだった。レトロなダッシュボードのレイアウトも、内燃エンジンのミニと同様。大きな丸型のインフォテインメント用ディスプレイが中央に備わり、その下に古風な機械式のトグルスイッチや、スタート/ストップのスイッチが並ぶ。
最近開発されている多くのEVが、大型タッチスクリーンでほとんどの操作を行うミニマリスト的なインテリアを採用するのとは対照的だ。内燃エンジンのミニとの関連を優先したということは、つまり、さらに遡ればアレック・イシゴニスが設計したオリジナルのミニとのつながりを尊重したということになる。
パワートレイン BMW i3から
とはいえ、よく見れば小さな違いがいくつかあることに気付く。その中で最も顕著な点は、手動式ハンドブレーキに替わり、ミニ・ハッチバックで初めて電動式パーキングブレーキが採用されたことだ。ギアのない電動パワートレインには合っている。
他にも、回生ブレーキの強さを切り替えるモードが備わり、デジタル・ディスプレイには電気エネルギーの流れやパワー・レベルを表示する画面が追加された。
「最高出力184ps、最大トルク27.5kg-m」ミニ・エレクトリックはレトロなボディの下に、BMW i3から流用した電動パワートレインが搭載されている。32.6kWhのT型バッテリーから電気の供給を受けるモーターは、最高出力184psと最大トルク27.5kg-mを発生。
i3と異なるのは、このモーターが前輪を駆動することだ。0-100km/h加速は7.3秒、最高速度は150km/h。このバッテリー容量によるWLTPモードの航続距離は、約200kmから230kmと発表されている。近々発売されるホンダeと同程度だが、プジョーe208やオペル・コルサeなどのライバルには及ばない。
運転すると?
われわれは、量産仕様ミニ・エレクトリックを試乗する最初のジャーナリストたちに同行した。とはいえ、今回の試乗は全長2.374kmのフォーミュラE用ブルックリン・ストリート・サーキットを数周する短いもので、速度も制限されていた。それでも、以前プロトタイプに試乗した記者による最初の印象を確認するには十分だった。それはつまり、電動パワートレインはミニと非常に相性が良いということだ。
電気モーターの瞬時に起ち上がるトルクは、どの速度域からでも素早く加速できる。BMWの新しいARBトラクション・コントロールのお陰で、トルクが強大でも加速時のスムーズさは保たれる。加速性能は、明らかにミニ・クーパーSと互角だ。
「加速性能は、明らかにミニ・クーパーSと互角だ」ステアリングもダイレクトで楽しい。舵角を当てると、即座に反応して急速に向きを変える。車体に低く搭載されたバッテリーによる重量増は、ほとんど気にならない。乗り心地も良い。ブルックリン・クルーズ・ターミナルに設置されたストリート・サーキットは、舗装が古いため荒れた路面に多くのバンプがあったが、振動はうまく吸収されている。
ワンペダル運転も可能
先日プロトタイプに試乗したもっと小さなホンダeほど、ダイレクト感や軽快感は感じられないものの、ミニ・エレクトリックはホンダeより大きくて実用性が高いクルマだ。狭い市街地を抜け出せば、こちらの方がずっと便利なクルマであることが証明されるだろう。
3つのドライブモードには「スタンダード」「ミド」「スポーツ」が用意されている。これは想像されるとおり、標準モデルのミニからパフォーマンスを切り替えるシステムを継承したものだが、ミニ・エレクトリックの場合は使い方次第で航続距離を伸ばすことにもなる。
「ホンダeの試作車ほど軽快感はないが、実用性は上か」ミニ・エレクトリックは多くのEVと同様に、回生ブレーキの強さを変更することができる。一番強い設定を選ぶと、タイトなコーナーでもなければ、ほとんどブレーキペダルに触れることなく走ることが可能だ。このドライビング・スタイルも、長年ミニ・ブランドを支えてきたキャラクターと非常に相性が良い。
検討する価値があるか?
ミニ・エレクトリックの真価を本当に判断するには、現実世界の路上で長い距離を走らせてみる必要があるだろう。しかし、顧客がミニに求める要素はすべて、レトロなスタイリングから軽快なハンドリングまで、電動パワートレインの採用によって損なわれていないことは明らかだ。むしろ、いくつかの面においては改善さえ感じられる。
英国におけるミニ・エレクトリックの販売価格は2万4400ポンド(約320万円)から。おそらくガソリン・エンジンのクーパーSより維持費は少なくて済むだろう。
「航続距離が200kmでも大丈夫か、よく考えておこう」購入を考えている人は、「航続距離が200km程度でも大丈夫か」と、よく検討する必要がある。もし大丈夫であれば、ミニ・エレクトリックはあなたがミニに期待するすべての特長のみならず、静かさという新たな魅力ももたらしてくれる。
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