現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 高温多湿な日本でカブリオレを選ぶ“粋”──メルセデス・ベンツ Eクラスカブリオレ

ここから本文です

高温多湿な日本でカブリオレを選ぶ“粋”──メルセデス・ベンツ Eクラスカブリオレ

掲載 更新
高温多湿な日本でカブリオレを選ぶ“粋”──メルセデス・ベンツ Eクラスカブリオレ

“カブリオレ”は屋根が開く馬車をルーツとした4シーターオープンカーだ。そうした歴史を重んじたモデルは、いまもハードトップではなく“幌”を用いている。ところで2018年現在の日本車のラインナップを見ると、4シーターオープンカーは一つもない。冬季の日照時間が短く日光浴を大事にする欧州と、高温多湿で梅雨があってバカンスのない日本との風土の差がもっとも顕著にあらわれているカテゴリーといえるかもしれない。

このカテゴリーに注力するのはドイツメーカーだ。メルセデス・ベンツは、C/E/Sクラスクーペに、BMWは2/4/6シリーズ、アウディはA3(日本未発売)やA5にカブリオレをラインナップしている。なかでも1991年に登場した初代(124型)から現在まで、途絶えることなく作り続けているのが、メルセデス・ベンツのEクラスカブリオレだ。

高級コンパクトSUVの超個性派モデルが登場!──新型DS 3 クロスバック登場!(パリサロン速報)

今回は上級グレードの「E400 4MATICカブリオレ スポーツ」に試乗した。最高出力333ps、最大トルク480Nmを発揮する3リッターV6ツインターボエンジンに、9速オートマティック「9G-TRONIC」を組み合わせ、4輪を駆動する。

最近では珍しく左ハンドルのみの設定だが、車内に乗り込むと体がすっと馴染む。近年は右ハンドル仕様でもペダル類のオフセットはずいぶんと少なくなってきたけれども、ステアリング、シート、ペダルなどのトータルバランスは、やはり左ハンドルありきで設計されているのだと感じる。

トップを閉めた状態で走り出す。3層構造になったアコースティックソフトトップは、とても静かだ。剛性感も高くミシリともいわないので、言われなければオープンカーだと気づかないかもしれない。開閉操作はセンターコンソールにあるスイッチ一つで、約50km/hまでなら走りながらの開閉も可能だ。所要時間は約20秒で渋滞時や信号待ちのあいだにでも、あっというまに完了する。試乗車のソフトトップのカラーはブラックだったが、これ以外にもダークレッド、ダークブルー、ダークブラウンがある。ボディカラーも11種類の設定があるので、その組み合わせを考えるだけでも楽しめる。

オープンにすると、フロントウインドウ上部のウインドディフレクターとシート後方に備わる整流板のドラフトストップの組み合わせによって、空気の流れを上方に跳ね上げ、室内への巻き込みが低減されている。またこれからの季節に役立つのが、シートバックに内蔵した小型セラミックヒーターによる温風で首元を暖めるエアスカーフだ。冬のオープンカーは頭寒足熱がいいというけれど、冬のマフラーが防寒に効果的であるように首まわりにしっかりと暖をとれると本当に快適だ。

ちょうど新型Cクラスの試乗会が軽井沢で行われていたので、もう一度トップを閉めてこのクルマで向かう。このV6エンジンは本当に静かで滑らかだ。9速オートマティックはもはや変速していることを感じさせない。足回りは電子制御式エアサスペンションで、車速や路面状況、乗員数や積載状況に応じて減衰力を最適化してくれるスグレモノだ。これらの振る舞いは、まさにラグジュアリーという言葉がぴったりくるものだ。

ADAS(安全運転支援システム)も、Sクラス譲りの最新のもの。先行車を追従するディストロニックも、一般道であれば再始動は3秒以内のところ、高速道路での渋滞時に自動停止した際に30秒以内であれば、先行車の動きに応じて自動発進するところまで進化した。ステアリングアシストも車線だけでなく、車線が不明瞭な道ではガードレールなどを認識するため、かなりの精度でレーンキープをアシストしてくれる。高速道路での渋滞による疲労やストレス軽減効果は相当なものだ。

軽井沢では、Cクラスのカブリオレにも試乗した。新型Cクラスの進化ぶりもマイナーチェンジとは思えないほどの内容で、軽快な走りがとても魅力的だった。正直に言えば、最近のメルセデス ベンツはC/E/Sクラスをデザインで見分けるのが難しいし、Cクラスで十分かなとも思った。

ところが帰路、このEクラスに乗りかえるとその違いを思い知る。まったりとした上質なステアリングフィール、滑らかな足さばき、そして上越自動車道では豪雨に見舞われたのだけれども、4MATICがもたらす絶大な安心感。たとえどんなにデザインが似ていようとも、Cクラスとは別物の味わいなのだ。

日本では2018年1月に発表された新型Eクラスカブリオレに先日、一部改良の手が入った。3リッターV6エンジンは最高出力が34ps、最大トルクが20Nmアップし、367ps/500Nmに。車名もE400を改め、「E450 4MATICカブリオレ スポーツ」になった。またナビやADASの操作性を向上した最新世代のステアリングに変更されている。お値段は1113万円から1141万円と28万円のアップだが、中身を考えれば妥当だろう。

ものすごい勢いで車種バリエーションを増やし、販売台数も右肩上がり、日本でも珍しくなくなったメルセデスだが、Eクラスカブリオレを選ぶセンスは一目置かれるに違いない。124型の時代から脈々と受け継がれる“粋”があると思うのだ。

こんな記事も読まれています

2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
2024年も記録保持中!? カローラ ロードスター…… ギネスブックに登録された「日本のクルマの世界一」【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
80年代バブル期に日本で人気だったMG「ミジェット」に試乗! 英国ライトウェイトスポーツの代表格はいまもビギナーにオススメです【旧車ソムリエ】
Auto Messe Web
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP予選
AUTOSPORT web
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
角田裕毅が予選7番手「大満足。アップグレードへの理解が改善につながった」努力が報われたとチームも喜ぶ/F1第22戦
AUTOSPORT web
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
クラッシュで50Gを超える衝撃を受けたコラピント。決勝レースの出場可否は再検査後に判断へ/F1第22戦
AUTOSPORT web
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
勝田貴元、木にスピンヒットも間一髪「メンタル的に難しい一日。明日はタイトル獲得を最優先」/ラリージャパン デイ3
AUTOSPORT web
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
胸を打つ「上質な走り」 アウディQ6 e-トロン・クワトロへ試乗 優秀なシャシーを味わえる388ps!
AUTOCAR JAPAN
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
オーテック&ニスモ車が大集合!「AOG湘南里帰りミーティング2024」で見た「超レア車5台」と「中古車で狙いたいクルマ5台」を紹介します
Auto Messe Web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 後編
AUTOCAR JAPAN
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
ラリージャパン3日目、SS12がキャンセル…一般車両が検問を突破しコース内へ進入、実行委員会は理解呼びかけると共に被害届を提出予定
レスポンス
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
【F1第22戦予選の要点】苦戦予想を覆すアタック。ラッセルとガスリーが見せた2つのサプライズ
AUTOSPORT web
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
なぜ潰れた? 名車と振り返る「消滅した自動車メーカー」 32選 前編
AUTOCAR JAPAN
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
NASCARの2024シーズン終了! 日本からスポット参戦した「Hattori Racing Enterprises」の今季の結果は…?
Auto Messe Web
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
VAGUE
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村