2017年12月にマツダがスタートさせた初代NA ロードスターのレストアサービス。あれから約2年の月日が経ち、これまでに4台のロードスターがレストアされた。そして2019年11月27日に通算5台目のレストア車が完成し、その納車式が神奈川県横浜市のマツダR&Dセンターで開催された。
2017年12月からスタートした「NAロードスターレストアサービス」
2017年8月に「NAロードスター レストアサービス」の発表に続き、同年12月にWEBで申し込みを開始と「噂」が「現実」となって早2年が経とうとしている。マツダが展開しているロードスターのレストアサービスとは、既存のNAロードスターを長く乗ってもらおうと、マツダがオリジナルに近い状態へとリフレッシュする試みだ。
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とはいえこれまでも、ロードスターを得意とするショップでは、リフレッシュ作業を行っている。発売から30年が経過する今でも、高い現存率を誇っているのは、こうしたチューニング&リフレッシュがあってこそ。
ショップとマツダが手がけるリフレッシュの大きな違いは、カスタムの有無だ。マツダのレストアサービスでは、新車時のフィーリングを取り戻すべく、新品パーツがあるものはすべてそれに交換する。ボディではボンネット、ガラス、ドアなども、ほとんどの場合新品交換される。しかも全塗装は基本メニューに含まれているので、それだけでも見た目は激変する。発売当時からは大きく進化した最新技術で、初代ロードスターは新たな魅力をまとって生まれ変わるのだ。
このレストアサービスのために、マツダは廃盤となった純正パーツの再販をはじめ、ビニールのホロにいたっては、現在の環境基準をクリアした復刻アイテムとして新たにラインアップするなど、並々ならぬ覚悟を持って臨んでいる。なぜここまでやるのか?
マツダのレストアサービスの志とは
マツダは、NAロードスターのレストアサービスやパーツの供給を通じて、
こよなくクルマを愛してやまない人たちと共にクルマ文化の育成に挑戦いたします。
そして、それらの取り組みを通じて、
お客様との間に特別な絆を守り続けるブランドになることを目指します。
また、純正パーツの供給を続けることで、
ロードスターを愛するすべての人と真摯に向き合い、
「共に走り、共に歓ぶ」ことのできるパートナーであり続けます。(マツダ WEB SITEより)
通算5台目のレストア車の納車式を開催
2015年から実現に向け様々な活動、計画を重ねたこのプロジェクトは、ロードスターの主査を務めた山本アンバサダーが尽力してきた。ロードスターオーナーにとっては、なんとも心強いかぎりだ。「売りっぱなしにしない、自動車メーカーとしての使命」といったところだろう。
前置きが長くなったが、このレストアサービスを受けた完成車両は、これまでに5台あり、既に6台目が入庫しているという。今回、完成ホヤホヤの5台目納車式をマツダR&Dセンターで取材することができた。
オーナーは板垣雅彦さん。5万kmに満たない低走行車だったが、エンジンのオーバーホールを行うなど、フルレストアメニューを施している。金額でたとえるとマツダCX-8が購入できるほどだ。
「お金を出しても買えない、という価値です。お金を貯めるために、まずはタバコを止めました」とオーナーの板垣さんは苦笑い。
走行距離も少なく屋根付き駐車場でボディカバーをして保管していたために、年式から見て信じられないほど高いコンディションを保っていた。ただ経年による各部の劣化や、ホロの骨組みのサビなど、やはり細部は確実に傷みが生じていたそうだ。これらは、全バラしたからこそわかったことだ。
またレストアサービスを受ける人の特典として、広島で行われる作業を見学できる。板垣さんも進行状況を自分の目で確認し、「全塗装されたボディや、パーツを組んだら見えなくなってしまう部分まで、きれいにクリアが噴いてあるのをみて感動した」と語っていた。
当時の新車以上のコンディションに生まれ変わったレストア車
山本アンバサダーが試乗し、合格した車両がオーナーに手渡される。そのため納車時には走行フィールや作業内容など、詳細を直接聞くことができるのもうれしい。説明を受けた後、いよいよ納車という段階では、マツダの社員が総出で見送ってくれる、少し照れるような演出も用意されていた。
生まれ変わったNAロードスターに乗り「これからはあちこち足を運びたい」と話す板垣さん。ハンドルを握り、心地よいサウンドを響かせながら走れば、いろいろな思い出が増えていくだろう。この時間、距離こそが「幸せ」へと続いていく。この「幸せ」を絶やさないことが、レストアサービスの真骨頂なのだ!
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