現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ランボルギーニ「エスパーダ」はガルウイングの予定だった!? 12気筒エンジン搭載の4シータースーパーカーとは?

ここから本文です

ランボルギーニ「エスパーダ」はガルウイングの予定だった!? 12気筒エンジン搭載の4シータースーパーカーとは?

掲載 6
ランボルギーニ「エスパーダ」はガルウイングの予定だった!? 12気筒エンジン搭載の4シータースーパーカーとは?

プロトタイプとパッケージ的には180度違うモデルになっていた

 一部例外はありましたが古の時代より、スポーツカーと言えば2人乗りがお決まりでした。ランボルギーニ・ミウラから始まるスーパーカーでもガルウィング・ドアを開けると2脚のバケットシートが目に映る、というのが一般的でした。そんなスポーツカーで4シーターを実現したランボルギーニ・エスパーダを振り返ります。

「ミウラ」がついに「ラ フェラーリ」を超えた! 3億5000万円のランボルギーニは特別な「SV」でした

ランボルギーニはフェラーリがまだ実現していない新技術を取り込むことに精力的だった

 今もスーパーカーのトップメーカーとして君臨するランボルギーニはそもそも、フェラーリを超える“スーパーな”スポーツカーを造ることを目標に設立された経緯があります。そのために創業者であるフェルッチオ・ランボルギーニは、フェラーリがまだ成し遂げていないこと、まだ実現していない新技術などを取り込むことに精力的でした。

 初の市販モデルとなった350GTでは、フェラーリと同様に最上級とされるV12エンジンを搭載していましたが、フェラーリの各モデルがシングルカム(V12なのでカムシャフトは2本)だったのに対して350GTに搭載されたV12はツインカム(同じくV12なのでカムシャフトは4本)です。

 またリヤのサスペンションにしても、ランボルギーニが処女作の350GTで早くもコイルで吊ったダブルウィッシュボーン式を採用していたのに対して、フェラーリはまだリーフリジッドを継承していました。先制された格好のフェラーリは、リヤのサスペンションに関しては350GTが登場した翌1964年にリリースした250LMや275GTから採用しています。

 ツインカムに関しても1966年に登場した275GTB/4から3.3L SOHCエンジンをベースにツインカムへとコンバートして、ランボルギーニ追撃の姿勢を見せています。早々の反撃に出た格好ですが、してやったりのフェルッチオとは対照的に、エンツォ御大の苦虫をかみつぶしたような表情が思い浮かびます。

 エンジンやサスペンションと同様に、フェラーリが2シーターを主体に2+1もしくは2+2をラインアップしていただけであったのに対して、ランボルギーニは最初の作品である350GTで2+1としたのに続いて次なる400GTでは2+2をラインアップ。そのパッケージはイスレロへと継承されていきます。

フェラーリもラインアップしていなかった4座のグランツーリスモ

 1966年に登場してスーパーカーの先駆けとなったミウラこそ2シーターでしたが、1968年に投入したエスパーダでV12エンジン搭載のフル4シーターを実現していました。エスパーダのデザインを担当したのは、当時ベルトーネに在籍していたマルチェロ・ガンディーニで、スタイリングに関しては1967年のジュネーブショーに出品した、ランボルギーニ・マルツァルにインスピレーションを得たデザインとされています。

 ただしフル4シーターのグランツーリスモという基本コンセプトは共通していますが、マルツァルが直6をボディのリヤに横置きしているのに対して、エスパーダではV12をフロントに縦置き搭載していて、パッケージ的には180度違うものとなっています。

 それでもマルツァルとエスパーダのスタイリングに共通性が感じられるのは、ガンディーニの手腕、ということでしょうか。じつはこの、マルツァルとエスパーダの間に、ひとつのプロトタイプが存在しています。そしてそのプロトタイプを真ん中に置き、左右にマルツァルとエスパーダを並べてみると、それは一層明確になります。

マルツァルからプロトタイプ、そしてエスパーダと夢を具現化

 ウエストラインのモールで分割された上下のサイドウインドウによって、まるで“金魚鉢。そもそもは観賞するためのものであり、鑑賞されるためのものではないはずだが……”となったサイドビューを持つマルツァルに比べると、前席と後席、都合2人分の乗降を賄う前後長の長いガルウイング・ドアは共通しているものの、プロトタイプのそれは、随分コンサバに映っていました。

 おそらくはBピラー部分をガラスで覆う処理となるのだろうから、完成するとまた違った印象となることは容易に想像できますが、それにしてもマルツァルの金魚鉢に比べると遥かに理解しやすいサイドビューです。前にも触れたように、直6をボディ後端に横置きマウントしたマルツァルから一転し、このプロトタイプではV12を縦置きでフロントに搭載し、後輪を駆動します。

 アウトモビリ・ランボルギーニの創設者であるフェルッチオ・ランボルギーニの個人コレクションを収蔵展示しているムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニには、オレンジ色のボディが印象的なエスパーダのプロトタイプに加えて、そのシャシーも収蔵展示されていました。

 スチールパネルをプレス成型して組み立てられたメインフレームは見るからに頑丈そうで、フロント部分に包み込まれたV12エンジンは、意外にもコンパクトに映っていました。

4シーターとしては“圧倒的な低さ”を達成

 サスペンションは前後ともにダブルウィッシュボーンタイプで、ガーリング製の前後別系統でコントロールされるサーボ付きディスクブレーキが装着されています。サイズ的には全長×全幅×全高とホイールベースは4740mm×1860mm×1185mmと2650mmですが、これは同時代の、直6をフロントに搭載した5/6座のクラウンやセドリック、グロリアといったフルサイズの国産車と比べて40mmほど長く160mmほど幅広いのは5ナンバー枠(4700mm×1700mm)があるため当然ではあるものの、ホイールベース(当時を前後する、それぞれ数世代の国産フルサイズは全車2690mm)はむしろ40mmも短く仕上がっていました。

 それでもエンジンをなるべくホイールベース内に載せようとする努力もみてとれ、4シーターといえどもスーパースポーツなのだと実感させられました。

 さて、エスパーダのスタイリングについても紹介しておきましょう。先に紹介したように全高は1185mmで、スーパースポーツとはいえ4シーターとしては“圧倒的な低さ”を達成。ただしルーフをリヤまで水平に伸ばすなどしてヘッドルームが稼がれていて、少しリクライニングした乗車姿勢とはなっていますが、4人乗車のグランツーリスモとしてのキャパシティは確保されています。

 またマルツァルやプロトタイプほどにはドアの前後長は長くなく、また通常の前ヒンジ後開きとなっていますが、後席用にも広めのサイドウインドウを用意し、またテールエンドにはスクープウインドウも設けられるなど、リヤ後方視界も確保されていました。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

フォルクスワーゲン、2026年にEVモデル全面刷新へ エンジン車縮小と「ポロ」改良を明言
フォルクスワーゲン、2026年にEVモデル全面刷新へ エンジン車縮小と「ポロ」改良を明言
AUTOCAR JAPAN
『レンジローバー』がオーバーヒート、リコール
『レンジローバー』がオーバーヒート、リコール
レスポンス
衝撃50Gの大クラッシュも、コラピント決勝出場へ。再検査受け問題なし……マシンもなんとか修復
衝撃50Gの大クラッシュも、コラピント決勝出場へ。再検査受け問題なし……マシンもなんとか修復
motorsport.com 日本版
VW ティグアン 新型発表、米国はひと回り大きい『タイロン』ベースに…ロサンゼルスモーターショー2024
VW ティグアン 新型発表、米国はひと回り大きい『タイロン』ベースに…ロサンゼルスモーターショー2024
レスポンス
「首都高の“ETC”」利用率が98%!? それでも「料金所」に”係員“なぜ存在? 料金所スタッフの勤務実態とは
「首都高の“ETC”」利用率が98%!? それでも「料金所」に”係員“なぜ存在? 料金所スタッフの勤務実態とは
くるまのニュース
さらば50cc…手に入れるなら今!? 50cc人気3選、今はまだ買えるの?
さらば50cc…手に入れるなら今!? 50cc人気3選、今はまだ買えるの?
バイクのニュース
コメリ、オリジナルのヘッドライトコーティング剤発売 最長1年間黄ばみ・劣化から守る
コメリ、オリジナルのヘッドライトコーティング剤発売 最長1年間黄ばみ・劣化から守る
レスポンス
最後の非電動・非ターボの水平対向6気筒…ポルシェ『911 GT3 RS』をスクープ!
最後の非電動・非ターボの水平対向6気筒…ポルシェ『911 GT3 RS』をスクープ!
レスポンス
半世紀前の名車バイクの走行距離がなんと“60km”!? 極上のホンダ「CB500Four」をイタリアで発見 気になる価格とは
半世紀前の名車バイクの走行距離がなんと“60km”!? 極上のホンダ「CB500Four」をイタリアで発見 気になる価格とは
VAGUE
 専用品がない旧車や緊急時の味方!!「液体ガスケット」とは?【バイク用語辞典】
専用品がない旧車や緊急時の味方!!「液体ガスケット」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース
全長3.9m! ダイハツの「コンパクトSUV」は“一文字テール”が未来的! パワフルな「1200cc×ハイブリッド」やターボ搭載した「トレック」とは!
全長3.9m! ダイハツの「コンパクトSUV」は“一文字テール”が未来的! パワフルな「1200cc×ハイブリッド」やターボ搭載した「トレック」とは!
くるまのニュース
「支払は今度で……」なんていまだ人情話もある日本の路線バスもシッカリ経営に! キャッシュレス化がもたらすメリットとは
「支払は今度で……」なんていまだ人情話もある日本の路線バスもシッカリ経営に! キャッシュレス化がもたらすメリットとは
WEB CARTOP
【KTM 990RC R発表】RC8シリーズ以来の大排気量スーパースポーツRC・公道へ再降臨!デビューは2025年春以降
【KTM 990RC R発表】RC8シリーズ以来の大排気量スーパースポーツRC・公道へ再降臨!デビューは2025年春以降
モーサイ
悔しい予選に終わったノリス。王者争いには悟りの境地「最初の6戦で決着していた」今は打倒フェラーリに集中
悔しい予選に終わったノリス。王者争いには悟りの境地「最初の6戦で決着していた」今は打倒フェラーリに集中
motorsport.com 日本版
【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
AutoBild Japan
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
くるまのニュース
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
レスポンス
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
VAGUE

みんなのコメント

6件
  • 当時のランボルギーニと言えばカウンタックやミウラが有名だが、エスパーダ・・・オレは好きだな。
  • マルツァルはランボでフルレストアされて、
    イベントで走ってますね。
    特徴的なドアで車内が丸見え
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村