1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回はいすゞがかつて手掛けたスペシャルティカー「117クーペ」に迫る。
約230万円で購入
少年I:“ヤングタイマー”と呼ばれる、ちょっと古い、魅力的なクルマのオーナーを訪ね歩く探偵団。今回取材したのは、1980年型のいすゞ117クーペ2000XCです。
少年O:私が子どもの時から、きれいだなぁと憧れたクルマです。子どもがクルマを見たときは、「速そう」とか「カッコいい」などと評価すると思うのですが、117クーペだけは、素直に「きれい」と思いました。
探偵:長寿のクルマですよね。1968年に初代が登場して、何度かマイナーチェンジを繰り返しながら、1981年まで生産されました。後継モデルは、かつて取材した「ピアッツァ」ですね。
少年I:旧車好きの人ならよくご存知のように、イタリアのカロッツェリア・ギア社が、内外装のデザインを含めたコンセプトを提案し、それを、当時は乗用車も作っていたいすゞが彼らから“購入”したのが、このクルマです。
探偵:ヘッドランプにかぶさるようなボンネット、ゆっくりと波打つような車体側面のキャラクターライン、細いピラーと薄いルーフが繊細なウインドウグラフィクス、そしてやはり有機的な曲面を持ちつつ、短い前後長で、躍動的なプロポーションを生んでいるトランクリッド……みごとなデザインですね。
少年I:オーナーの寒河江麻里菜さん(29歳)は、2021年に取材車を見つけて購入。ご夫婦ともに旧車に興味があったそうで、「夫がAE86(1983年発表のトヨタ カローラレビン/スプリンタートレノ)を買ったので、私も自分のクルマが欲しいと思っていました」とのことです。
探偵:旧車といっても、興味の方向性は異なりますね。
少年I:寒河江さんいわく、今は乗用車づくりをやめてしまったいすゞが手がけていて、かつデザインの評価が高い117クーペに興味をもったのが購入のきっかけだそうです。
探偵:“希少性”と“美しさ”に惚れたということですね。よくわかります。
少年I:いすゞの旧車の整備と販売をする東京・羽村市の「いすゞスポーツ」に何度か足を運び、3回目の訪問時、ショコラメタリックのクルマと出会ったそうです。「外装・内装色に品があってとても魅力的で、なにか運命めいたものを感じ、その日のうちに購入を即決しました」と、寒河江さんはおっしゃっています。車検と整備、交換部品などを含んで、230万円ほどだったそうです。
探偵:クルマって、写真で眺めているより、間近で実車をみると、がぜん欲しくなりますよね。
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俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記 第2部「少年探偵団編」のVol.33──BMW 3.0CSi1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回はBMWの美しきクーペ「3.0CSi」だ。俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.32──日産・レパード(2代目)1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回は日産の高級パーソナルクーペ、2代目「レパード」だ。俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.29──トヨタ・ソアラ(2代目)1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回はバブル経済期に大ヒットしたトヨタのハイソカー「ソアラ」(2代目)だ。オリジナルに忠実少年O:117クーペはいすゞの気合いが込められたともいえるクルマです。資本提携のあったゼネラルモーターズのグローバル戦略の一端を担っていたいすゞは、シャシーと基本的なボディ骨格を、やはりGMの欧州子会社だった独オペルや英ボグゾールと共用するクルマづくりをしていました。
探偵:117クーペもそうなんですか?
少年O:めずらしい例外といえます。1960年代までのモデルや、117クーペやピアッツアのような“スペシャルティカー”と呼ぶモデルは、いすゞ自身が手がけていたんですね。グローバル戦略のモデルとして登場したのは初代「アスカ」などですね。
少年:ただ、いすゞらしさも盛り込んでいましたよ。たとえば上記の初代アスカには乾式クラッチ式電子制御オートマチックトランスミッション の「NAVi5」を開発、搭載しました。このATはいすゞのみでしか使われませんでした。
探偵:やっぱり117クーペは貴重な存在なんですね。
少年O:なぜ117クーペが“美しい”と、高く評価されるかというと、一説には、いすゞが、デザインを手がけたカロッツェリア・ギアと、当時そこでチーフデザイナーを務めていたジョルジェット・ジュジャーロの思い通りにボディを作ったから、という説があります。
探偵:思い通り、とは?
少年O:自動車メーカーは、カロッツェリア・ギアとかカロッツェリア・ピニンファリーナとかにデザインを依頼しても、出来上がったものに自社内で手を入れて量産化するものです。ところが、デザイナーにリスペクトがありすぎるとか、オリジナルデザインにどう手を入れていったらいいかわからない、という場合は、もともと使うはずだった各種パーツの設計を変更してまで、オリジナルに忠実であろうとするケースもあったようです。
探偵:いすゞはオリジナル デザインに強くリスペクトを持ったからこうした、と思いたいですね。
少年O:同感です。そういえばピアッツァも、1979年のジュネーブショーに展示された「アッソ・デ・フィオーリ」と呼ぶコンセプトモデルを出来る限り再現しています。
少年I:日産の初代「マーチ」では逆に、ジョルジェット・ジュジャーロが手掛けた基本デザインからかなり変わってしまったという話を訊いたことがあります。
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少年I:寒河江さんのご主人は、「旧車ゆえにトラブルなどで大変なときもたくさんあると思うけれど、(元整備士なので)色々とバックアップします」と、言っているそうです。心強いですね。くわえて「今、いすゞ車に乗れるのは嬉しい!」と。奥様は「当時のカタログやミニカーを探して購入するなど、むしろ夫の方がウキウキしていました」というエピソードも教えてくださいました。
探偵:いまはどんなふうに楽しんでいらっしゃるんでしょうか?
少年I:楽しかったのは、オーナー同志のミーティングに参加したときだそうで、おなじ趣味の人と話ができて、仲良くなれるのが、旧車を持つ楽しみとおっしゃっています。ただ、最初に117クーペを運転したとき、「ハンドルが重い……バック駐車できない!」と、焦ったそうです。
探偵:よくわかります。実際に運転すると、たしかに現代のクルマと比較すると重いです。
少年O:1970年代までのパワーステアリングが搭載されなかったクルマは重い。さらに117クーペは当時から群を抜いて(笑)重かった記憶があります。
探偵:乗り味は“おだやか”という言葉がピッタリですね。クーペと訊くとスポーティな印象を受けますが、どちらかといと高級サルーンのような印象を受けました。トラブルは大丈夫でしょうか?
少年I:走行距離10万kmほどの車両を購入して、今まで6000km走ったそうです。そのなかで大きなトラブルは、初めてのドライブ先で、助手席のドアが閉まらなくなったことだったそうです。理由は、ドアのヒンジが曲がってしまったそうで、そんなこともあるんですねぇ。トランスミッションのマウントがヘタってきたりもしているけれど「長い目で見て修理していこうと思っています」と、寒河江さんは言います。
探偵:内装のつくりやデザインも魅力的です。リアシートにまでヘッドレストレイント(ヘッドレスト)とアームレストがそなわっているのにも、私は感心してしまいました。
少年I:”当時”といえば、オーナーの寒河江さんは、純正のオーディオをヤフオクで見つけて交換。セットテープを聴けるようにしました。カセットケース(持ち運び用の携行ケース)のなかには、デュランデュランの「リオ」とか、マイケル・ジャクソンの「スリラー」とか、松任谷由実の「天国のドア」とか、1980年代の楽曲・アルバムのカセットテープが詰まっていました。
少年O:そういえば、このあいだ搭乗した国際線の機内では映画「私をスキーに連れてって」(1987年)を上映していて、懐かしく思いました。
探偵:令和の時代になっても昭和の良き時代を、その時代を知らなくとも楽しめるのがヤングタイマーの魅力でもあるかもしれませんね。
俳優・永山絢斗(ながやまけんと)1989年3月7日生まれ。東京都出身。2007年『おじいさん先生』(日本テレビ系列)で俳優デビュー。連続テレビ小説『おひさま』や『べっぴんさん』(NHK総合)、『ドクターX~外科医・大門未知子~ 第5シリーズ』(テレビ朝日系列)、そして2021年には『俺の家の話』(TBS系列)に出演。映画では2010年の『ソフトボーイ』で第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。出演情報/
出演情報/
・映画『LOVE LIFE』2022年9月9日(金)全国ロードショー
・ドラマ池波正太郎生誕100年BS特集時代劇「まんぞくまんぞく」(BSプレミアム)2022年12月30日(金)20時~21時28分
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俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.32──日産・レパード(2代目)1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回は日産の高級パーソナルクーペ、2代目「レパード」だ。俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.23──三菱GTO1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回取り上げるのは、1代限りで消滅した三菱の2ドア・クーペ「GTO」だ。俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記第2部「少年探偵団編」のVol.22──シボレー・タホ(初代)1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回取り上げるのは、かつて日本でも販売されていたシボレーのSUV「タホ」(初代)だ。【過去記事】
メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
アルファロメオ・スパイダー(初代)
日産PAO
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
ユーノス・ロードスター(初代)
ホンダ・NSX(初代)
シトロエンCX
メルセデス・ベンツSクラス(W126)
ローバー・ミニ
フェラーリ360モデナ
フォードRS200
フォード・エスコート(マーク1)
マツダRX-8
トヨタ・セルシオ(初代)
日産・フェアレディZ(2代目)
フォルクスワーゲン・ビートル(タイプ1)
メルセデス・ベンツ560SEC
フォルクスワーゲン・コラード
アストンマーティンDB5
いすゞ・ピアッツァ(初代)
ポルシェ911(タイプ964)
三菱ランサーエボリューションIX
ホンダ シティ・ターボII
シボレー・タホ(初代)
三菱GTO
シボレー ・コルベット(4代目)
日産フェアレディZ(4代目)
デロリアン
マツダ・ロードスター(2代目)
フォード・フォーカスRS Mk3
トヨタ・ソアラ(2代目)
トヨタ・マークII(5代目)
トヨタ・クラウン(8代目)
日産・レパード(2代目)
BMW 3.0CSi
まとめ・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・Babymix ヘア&メイク・新宮利彦
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