アウディのIAAモビリティ2023の主役は偽装したまま姿を現したQ6 e-tronだった。PPEの初採用、革新的なライト技術など見るべきところも多い。このモデルの詳細とフォクスクワーゲンメディアナイトのレポートをここではお届けする。(Motor Magazine2023年11月号より)
街中のオープンスペースでの展示が賑わいを見せたIAA
ミュンヘン開催のIAAモビリティ2023は、フランクフルトからミュンヘンに場所を移して2回目の開催だ。さてどのようなイベントなのかと興味津々だった。コロナ禍後、リアルなイベントが見直されているのも事実だが、果たして新時代のモーターショーを見せてくれたのか。
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IAAは、これまでのようにイベントホールでの車両や技術展示に加え、ミュンヘンの街中を使ったオープンスペースでの展示があった。そして見るべきところがこの街中での展示だった。
マリオン広場やオデオン広場といったミュンヘンの街の中心地が開放され、そこで各ブランドが個性ある展示ブーズを構えるのである。入場料は無料。車両の乗り入れは禁止、つまり歩行者天国なのである。
誰でも気軽にイベントに参加できるのだ。取材した日は、平日だったにもかかわらず大人ばかりか子供も含め多くの人で賑わっていた。今日は日曜日だったかな?と錯覚するほどである。街中展示は大成功、と言っていい。
ところでIAAと言えば、欠かせないのがフォルクスワーゲングループナイトである。フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、ベントレーなと多くのブランドを抱えるフォルクスワーゲングループは、IAAで見せる新型車やコンセプトモデルをいち早くここでメディアに公開する。
なかにはIAAではなく、ここでだけ見せるようなモデルもあり、とても重要なイベントである。たとえば今回も、ランボルギーニ ランザドールは、ここでしか見られなかった。
今回の注目は、フォルクスワーゲンID.6、アウディQ6 eトロン、ポルシェはミッションX、ランボルギーニはランザドールである。中でもQ6 eトロンはIAA前にスニークプレビューがあり、そこで詳しく取材ができた。
アウディのeトロンシリーズはこれまで、eトロン、eトロンGT、Q4 eトロンが揃っていた。それにこのQ6 eトロンが加わることになり選択肢が増えることなる。また、改良とともにeトロンは名称がQ8 eトロンに変更されている。つまり、このQ6は、Q4とQ8の間というポジショニングである。
個性的なアレンジが施された展示車のエクステリアデザインやインテリアデザイン、そして採用された技術を見ると、アウディの新世代Qシリーズに今後採用されるようなところが随所に見られた。
デジタルOLEDパネルは第一世代より飛躍的に進化
まずはエクステリアから見ていきたい。ひと目でアウディの製品だとわかるデザインはさすがだが、グリルの形状やリアセクションのデザインが新しくなっている。Cピラーの角度やリアウインドウを寝かせたクーペスタイルSUVのスポーツバックも、もちろん今後ラインナップに加わる。
ヘッドライトとテールライトユニットはさまざまな表現ができるようになった。その種類は8パターンあり、個性を主張するだけでなく、最新のOLED技術を使い、車外の人とコミュニケーションできるようになったのである。
Q6 eトロンのリヤライトに採用されるデジタルOLEDパネルのセグメント数は、第一世代の6から60へと飛躍的に進化した。それが6枚使用されているのでセグメント数は360である。これをコンピューター制御することで、さまざまな表示が可能になっているわけだ。
BEVの場合、エンジン音がないため、周辺にいる人がクルマの接近に気が付くように擬似的な音を出しているのだが、それに合わせてヘッドライトやOLED技術を採用したテールライトユニットでクルマの接近などの注意喚起ができるというわけだ。
たとえば故障や事故のときも、このテールライトの表示技術を使って後続車に危険を報らせることが可能になる。そして今後、さらに表示できるセグメント数が増えることでテールライト部分をディスプレイとして使い、より多くの表示が可能になるという。
インテリアでは、大型の湾曲したディスプレイが採用されている。これはアウディ初採用装備だ。11.9インチのドライバーディスプレイと中央の14.5インチのMMIタッチ式パノラマディスプレイの2枚を組み合わせた。ちなみにこの形状はアウディのアイコンであるシングルフレームグリルを彷彿とさせるデザインである。
さらに助手席にも、専用の10.9インチMMIディスプレイが装備され、ここで動画コンテンツなどが見られるようになっている。ただ、運転中はドライバーの気が散らないよう、安全に配慮し5km/h以上になるとシャッター技術を備えたアクティブプライバシーモードとなり、運転席からは見られないような工夫がされている。
こうしたディスプレイの中に多くの機能を集約することで、物理スイッチを少なくでき、センターコンソールまわりがすっきりし、収納スペースも増えているのもQ6 eトロンの特徴である。
AR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイ(HUD)が採用されるなどMMIナビゲーションシステムも進化した。ここには速度、交通標識、ADAS関連の表示のほかに、目的地を設定するとHUDが曲がる方向などをよりわかりやすく表示するようになった。違和感のない表示位置は、ドライバーの視点から2.2m先の対角線に相当しているのだという。
Q6 eトロンが使うプラットフォームは、PPE(プレミアムプラットフォーム エレクトリック)である。フォルクスワーゲングループが電気自動車専用に開発したものだが、グループではこのQ6 eトロンに初めて使われた。今後はポルシェにも展開され、マカンのBEVにも、このプラットフォームが使われるはずだ。
センタートンネルがないためフロアは広くフラットなのも特徴と言えるだろう。当然、リアシート中央の席も快適な居住性が約束される。ラゲッジルーム容量は名乗車時で526Lを確保、40対20対40の分割可倒式の後席を倒すことで最大1529Lにまで拡大する。さらにフロントフード下にもいわゆるフランクと呼ばれる収納スペースが用意される。ここの容量は64Lなので充電用ケーブルなどの収納にも便利だろう。
Q6 eトロンのワールドプレミアや日本発表はまだ先だが、アウディはモビリティのあり方やデザインをこのクルマで見せている。今後、アウディが市販モデルに採用する技術やデザイン言語などQ6 eトロンから始まることも多い。このクルマは、エポックメイキングな存在になるだろう。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:アウディジャパン)
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