話題の軽自動車EV「日産 サクラ」と「三菱 eKクロス EV」は一番安いベースグレードを買うのがおトク

リーフ譲りのバッテリーの容量は20kWh
「日産 サクラ」、「三菱 eKクロスEV」が発表されました。両社が共同開発した軽自動車をベースとした電気自動車です。WLTCモードで航続距離180kmのリチウムイオンバッテリー（20kWh）、最高出力47kW、最大トルク195Nmの駆動モーターといった基本的なスペックは共通で、それぞれのブランド独自のデザインが与えられた姉妹車となります。

この新しい軽EVを生産しているのは三菱自動車の水島工場ですが、使用しているリチウムイオンバッテリーは「日産 リーフ」譲りのラミネートタイプです。リーフのバッテリーは熱による充電性能劣化などが気になるところですが、新型EVは温度管理機構を採用してネガを解決したといいますから、リーフの時ほどの劣化はなさそうです。

車両重量は1070kg前後、満充電での走行可能距離180kmというとカタログ値（WLTCモード）からすると、おそらく実質的には120km程度の一充電航続距離は余裕で期待できそう。1日20km程度の近距離移動メインであれば、1週間に1回充電すれば事足ります。

しかも、これだけバッテリーが小さいということは、家庭や職場で普通充電（2.9kW）を利用したときでも、8時間もあればラクラクと満充電にできます。帰宅して充電器をコンセントにつなげば翌朝には充電率100％になっているわけです。

補助金の割引率を考えるとエントリーグレードのほうがおトク
ちなみに、サクラとeKクロスEVのグレード構成や価格は微妙に異なっています。

サクラのグレードは、S、X、Gの3グレードですが、eKクロスEVはGとPの2グレード。また、サクラのGグレードは最上級グレードなのに対して、eKクロスEVのGグレードはエントリーグレードとなっているのも注意点かもしれません。

価格はサクラが233万3100円～294万300円、eKクロスEVは239万8000円～293万2600円となります。どちらも最上級グレードでは300万円に迫る価格ですが、最上級グレードには9インチのスマートフォン連携ナビが標準装着されるなど、装備が充実した仕様となっていますから、その点を考慮すると納得の価格差でしょう。

逆に、エントリーグレードはオーディオレス仕様となっていて、230万円を超える価格は納得いかないかもしれません。とはいえ、全グレードで55万円のCEV補助金が期待できますから、この姉妹車でもっとも安価なサクラのSグレードであれば184万円で購入可能です。割引率でいえばエントリーグレードを選ぶほうがオトクといえるかもしれません。




生活エリアの移動ならナビや先進装備より価格が優先
そもそも、サクラとeKクロス EVが20kWhという比較的小さなバッテリーを積んでいる理由として、両メーカーとも「軽自動車は近距離ユースが多く、ユーザーの8割は1日の平均走行距離は50km以下」であることを根拠にしています。

それほど遠くに行くことなく、日常の生活エリアを走るのであれば、ナビは不要といえますし、高速道路の先進運転支援システムもいりません。メーカーやメディアは最上級グレード推しかもしれませんが、衝突被害軽減ブレーキ（AEB）は全グレードに標準装備だし、エントリーグレードでも7インチのデジタルメーターや電動パーキングブレーキは標準で備わります。

近距離を経済的に走るためのコミューターとして軽EVを捉え、花より実をとるのであればエントリーグレードで十分といえるのではないでしょうか。




文：山本晋也（自動車コミュニケータ・コラムニスト）
写真：
1、3～6枚目：日産 サクラ
2、7～9枚目：三菱 eKクロス EV
10枚目：サクラに搭載されるリチウムイオンバッテリー

Comments

晋也さんらしい的を射た記事だな
実走行距離ガーとか出先のインフラガーな人は乗らない方がいいよ
この軽EVは戸建充電設備ありのユーザーが街乗りセカンドカーで買う車だから
上位グレードのプロパイも、なんならETCすら不要
それで補助金込みなら他社の売れ筋ガソリン軽と価格差ほとんどないのだから
オイル交換等のメンテもないので大差がなくなる
実はEVなのに残価率も上がってきてるしね

安っぽい感じが微塵もしない。
コンパクトシティコミュニケーター