かつてマツダは新車購入時に大幅な値引きを行い、下取りや買取時の査定価格が低くなってしまった。その結果、1度マツダ車を購入したユーザーはマツダ車を乗り続けることになるという、いわゆる「マツダ地獄」と呼ばれる現象が起きていた。
これは販売する商品がライバル車と比べて特長がない、競争力が低いということが要因のひとつだった。
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その状況を打破するために、マツダは独自のスカイアクティブテクノロジーを開発。高性能なシャシー、エンジン、ミッションを開発することで、ほかの国産車メーカーと差別化を図ったのである。
その記念すべきスカイアクティブテクノロジーをフル採用し、マツダの新先代商品群のオープニングアクトを飾ったのが、2012年2月により販売されたミドルサイズSUVの「CX-5」だった。
マツダはこのCX-5の登場により、これまでの値引きに頼った販売方式を改めるだけでなく、店舗のデザインを変更するなどこれまでのイメージからの脱却を行い。見事に成功した。
2代目となる現行型CX-5は、2016年12月にフルモデルチェンジを行い、2017年2月より販売されている。今回は販売開始から3年半が経過し、初代モデルの中古車の流通台数を超えた現行型CX-5の中古車事情を紹介しよう。
文/萩原文博
写真/MAZDA、編集部
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■サイズ感は先代と同じ 装備面では頻繁にアップデートを実施
2017年2月に登場した現行型CX-5は、世代交代によってボディサイズが拡大するのが常識となっているなか、全長はわずかプラス5m、全高はマイナス15mmと先代と同じボディサイズをキープしている。
インテリアはドライバーを中心に、操作スイッチやメーターなどが左右対称に配置されるなど人間中心に設計されているのが特長だ。
搭載されているエンジンは2L直列4気筒ガソリンをはじめ、2.5L直列4気筒ガソリンそして2.2L直列4気筒ディーゼルターボの3種類。2018年2月に大幅改良され、さらに同年10月には2.5L直列4気筒ガソリンターボエンジンを追加した。
2017年発売の現行CX-5(左)と、2012年に誕生し、翌年SUV販売No.1に輝いた初代モデル(右)
2018年2月の改良で、CX-8と同じ190ps/45.9kgmを発揮するマツダの新世代ディーゼル「SKYACTIV-D 2.2」を搭載。ヨーロッパ勢のディーゼルと比べても静かでトルクフルだ
組み合わされるミッションは6速ATを中心に、2018年10月に2.2Lディーゼルターボに6速MTが追加されている。また、運転支援システムは、2017年8月と2018年2月、2018年10月にアップデートされている。
常に最新のシステムを搭載する真摯な姿勢は素晴らしいと思うが、ユーザーは混乱してしまうし、中古車相場には悪影響を与えかねないのが懸念材料だ。それでは、最新の現行型CX-5の中古車相場を見てみよう。
■中古車市場でのディーゼル比率は54.7%! 価格は最大10万円の下落
現在、現行型CX-5の中古車の流通台数は約1700台。5年販売された初代モデルが約1300台なので、約3年半で中古車の流通台数が上回っている。現在の流通台数は約1700台となっているが、3カ月前の2020年4月時点ではピークの約1850台を記録。その後は徐々に減少傾向となっている。
中古車の平均走行距離は3カ月前が約2.1万kmで、現在は、約2.2万kmとほぼ横ばいといえる動きになっているにも関わらず、平均価格は約258万円から約250万円へと3カ月の間で8万円の値落ちを記録した。
CX-5はイヤーモデルと言われて毎年改良が施されている。そこで年式ごとの平均価格の動きを見てみると、最も流通台数の多い2017年式は約247万から約239万円と3カ月で8万円の値落ち、2018年式は約246万から約239万円と3カ月で7万円の値落ちを記録。
実用性、価格、走行性能のバランスがいいCX-5。2019年12月の商品改良で「オフロード・トラクション・アシスト」というデバイスを新たに搭載し、悪路走破性能も向上している
そして、2019年式は約293万円から約283万円と3カ月で10万円の値落ち。2020年式は約305万~約298万円と3カ月で7万円の値落ちとすべての年式で7~10万円の値落ち幅を記録しており、買いのタイミングを迎えている。
現在、現行型CX-5の中古車の価格帯は約138万~約390万円で、300万円を超えると走行距離一桁kmという未使用車が流通しているのが特長だ。
流通している中古車のグレード構成を見てみると、現行型CX-5の中古車で最も流通台数が多いグレードは2.2Lディーゼルターボを搭載した「XDプロアクティブ」の約380台。続いては、同じくディーゼルエンジンを搭載した最上級グレードの「XD Lパッケージ」で約290台。これに続くのが、「XD Lパッケージ 4WD」の約260台となっており、上位3グレードで現行型CX-5の54.7%を占めているのだ。
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この上位3グレードに続くのが、「XDプロアクティブ 4WD」なので、やはりCX-5はディーゼル車1強といえる状態なのだ。ちなみに、2018年10月に追加された2.5Lガソリンターボエンジン搭載車は、2.5TLパッケージが約44台。そして2.5T Lパッケージが約31台とわずかながら流通している。
意外に流通台数が多いのが、2Lガソリンエンジンを搭載した「20Sプロアクティブ」で、145台も流通台数があり、価格帯は147.8万~約279.8万円で、諸費用を含んだ乗り出し価格でも300万円で走行距離の少ないクルマを手に入れることができるのは魅力だ。
■数は少ないが魅力の装備の特別仕様車もあり
一方、CX-5に設定されている特別仕様車では、豪華装備が魅力の「エクスクルーシブモード」の流通台数が多い。この特別仕様車はシート表皮に高価なナッパレザーを採用し、BOSEサウンドシステムや360度ビューモニターが標準装備となるモデルだ。
このエクスクルーシブモードだが、やはり2.2Lディーゼルターボエンジンを搭載したXDが中心で、2WD車が約51台。4WD車が約25台。一方、2.5Lガソリンターボエンジン搭載車は2WD、4WDそれぞれ約10台となっている。
また、2019年12月には2L&2.5Lガソリン、そして2.2Lディーゼルターボのプロアクティブをベースとした特別仕様車の「シルクベージュセレクション」を設定。こちらの特別仕様車は3モデルともに一桁という状況で、なかなか手が出しづらい。
2019年12月に登場した特別仕様車「シルクベージュセレクション」のインテリア。明るく上品なシルクベージュカラーのハーフレザレットシートをはじめ、専用装備を採用している
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豪華装備のエクスクルーシブモードのXD 2WD車ならば、走行距離が1万km以下でも300万円以下でも手に入るし、2.5Lターボの2WD車でも走行距離4kmの未使用車が約320万円で販売されており、新車価格から約50万円ダウンで手に入れることができる。
現行型CX-5の中古車は100万円台の中古車を狙うもよし、高年式のクルマも狙い目というまさに絶好の買い時を迎えているのだ。
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みんなのコメント
壊れるから。
とても静かでいいと思っていたのに残念です。
ガソリンエンジンよりも長持ちしないディーゼルなんて、クリープの入らないコーヒーのようです。ぷっ