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ジャパンモビリティショーで再確認したBYDの強さと末恐ろしさ

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ジャパンモビリティショーで再確認したBYDの強さと末恐ろしさ

ジャパンモビリティショー(JMS)の会場でひときわ注目を集めていたメーカーのブースがBYDだ。中国をはじめとした世界各地のBEV市場でシェアを拡大し続けているBYDのブースで目撃した最新モデルと、そこで感じた勢いをレポートする。

シールは日欧のBEVセダンと勝負できる性能
BYDブースで、ステージの中央に鎮座していたモデルが、海獣シリーズの一員であるフラッグシップサルーンのSEAL(シール)だ。シール=アザラシという車名は、中国名のアザラシを意味する「海豹」に由来する。

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2024年春には日本でも発売されるこのモデルは、全頭4800✕全幅1875✕全高1460mmで、D~Eセグメントに属する。駆動システムは230kWの1モーターの後輪駆動と、フロント160kW、リア230kWの2モーターの4WDを用意。BYDお得意のブレードバッテリーをコアとした電源システムは、最長で555kmの航続距離(WLTPモード)を保証する。

インテリアはすでに発売されているATTO3(アットスリー)やBYD最小サイズのドルフィンなどで見られた、大型の回転式センターディスプレイを備えた先進的なものだ。シートやトリムは見た目と触感ともに良く、フラッグシップセダンにふさわしい出来だ。日本や欧米のモデルと遜色ない質感の高さに、少々驚かされた。

ちなみに、日本市場においてはテスラ モデル 3 や BMW i4といったBEVサルーンがシールの直接的なライバルとなると見られる。なお、シールは2024年春頃に日本に導入される予定だ。

U8はタンクターンで来場者を驚かせた
ブースの中央のフロアに置かれて多くの人が足を止めて見入っていたのが大型SUVのU8 仰望(ヤンワン)だ。本国仕様のディメンジョンは、全長5319✕全幅2050✕全高1930mm、ホイールベースは3050mmで、その大きさはまさにフルサイズSUVだ。

この大きなボディはラダーフレームと1100ps以上のパワーを発生する4モーターを備えるe4プラットフォームによって支えられている。これは1輪につき1モーターが備えることで4輪を独立させて回転させることができるシステムだ。

この特性を活かして、たとえば右側2輪は時計回り、左側2輪は反時計周りといった具合に回せば、戦車のようにその場で車体を回転させることができる。このクルマらしからぬ動きは、JMS会場でも実演されていた。

アルヴェルも真っ青? 豪華ミニバンD9も日本初公開
もう1台注目したいモデルが、大型ミニバンのD9だ。このモデルはメルセデス・ベンツとの共同開発によって生まれたモデルだ。中国本国ではBEVと1.5Lガソリンエンジン+モーターのPHEVが用意されている。

車内は2列目は2座のキャプテンシート、3列目は3人がけのベンチシートを備える7人乗りで、その設えはプレミアムと謳っているだけに非常に豪華。シートやトリムにはレザー素材がふんだんに使われているほか、(とくに2列目の)タッチ式ディスプレイを使った操作系は日欧の高級ミニバンやサルーンに劣らない出来だ。

さらに、運転席まわりにはほかのBYDのモデルと同じく大型のインフォテインメントディスプレイを備えるほか、スイッチ類はほとんどがタッチパネル化されるなど、先進性を感じる作りとなっている。

実車に触れた時、ふと気になったのがフロントドア開閉時の感触だ。重すぎず軽すぎずの適度な重さと安っぽくない音がまさに高級車のそれだったのだ。ドアヒンジを見るとプレス整形ではなくブロックのもを使っていた。もしかしたらこのあたりにメルセデス・ベンツのノウハウが注ぎ込まれているのかもしれない。

ちなみに、D9には「DENZA(デンツァ)」というシリーズ名が付くが、これを中国語(漢字)で表記すると「電座」となる。まさにこのモデルを象徴するシリーズ名と言えるのではないだろうか。

BEVのコア技術に関する展示も充実
JMS会場のBYDブースでは、ここまでで紹介してきたBEVを支えるコア技術に関する展示もされていた。熱安定性性を高め、薄くすることで搭載効率を上げたリン酸鉄リチウムイオンを用いた「ブレードバッテリー」、動力源であるモーターとその制御に必要な8つの部品をワンパックにして重量は−15%、体積は−20%を実現した「8in1パワーシステムアッセンブリー」、これらをインストールする「e-プラットフォーム 3.0」を展示。わかりやすくディスプレイされていた。

BYDのBEV関連の技術力の高さと、クルマの実力がかなりのレベルに達していることはすでに日本に導入されているATTO3やドルフィンなどで理解していたし、本国では興味深いモデルが展開されていることも知っていた。

しかしBYDブースで実車を目にして触れた時、すでに日本で販売済みのATTO3やドルフィンはまだ序の口で、BYDの真の実力の一部がこれから日本に導入されるシールでようやく見えてきた、といったところなのではないか思った。

そしてU8 ヤンワンやD9では、新たな境地へと一歩足を踏み入れてきた・・・と感じた。そう考えるとBYDとは実に驚異的なBEVメーカーであり、BEVというフィールドにおいては日欧の自動車メーカーの存在価値を揺るがしかねない、脅威的な存在でもあることを改めて思い知らされたのだった。

[ アルバム : ジャパンモビリティショーで再確認したBYDの強さ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

3件
  • luv********
    令和5年10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法違反に問われます。
  • ncx********
    この記事書いたライターて誰なんでしょ?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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