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走りの愉しさ頂上決戦 チューニングSUVの魅力と醍醐味

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走りの愉しさ頂上決戦 チューニングSUVの魅力と醍醐味

 高価格帯の輸入車SUVであればスポーツカーのように立ち振る舞うクルマも存在するが、国産SUVとなるとまだまだ少数派だ。

 SUVブームで街中ではかなりそれが溢れている現状を見ると、ほかとは違うスポーツ路線も大いにアリだとは思うが、まだまだ浸透していないのが現実だろう。

えっこれパジェロなの??? 23年前に幻のクーペタイプが存在していた!!!

 そこで本企画では、「走りの愉しいSUV頂上決戦」と題し、トヨタのCH-R GR スポーツとホンダヴェゼル モデューロXの2台を見ることで、メーカーチューニングコンプリートモデルの魅力を改めて確認してみたい。

文/橋本洋平、写真/TOYOTA、HONDA、平野学

【画像ギャラリー】C-HR GRスポーツ&ヴェゼルモデューロX 日本車を代表するメーカー系チューニングSUVの真髄

走りのいいC-HRにGRのスパイスを加味

Gazoo Racingのニュルブルクリンク24時間レース活動において、2016年にSUVながら走りのポテンシャルの高さからマシンに大抜擢されたC-HR

 CH-Rはそもそも走りを大切に開発が行われたSUVだった。

 ドイツのニュルブルクリンクの耐久レースに参戦するなどして走りを磨き込んだことで、SUVを言い訳にすることなく開発を続けたその姿勢は、ワインディングでも不満を感じず、ホットハッチかと思えるほどの立ち振る舞いを見せていた。

 それ以上が必要なのか? ちょっと疑問だったが、実際にGRスポーツを走らせてみるとノーマルとは違う走りの心地よさが満載されていた。

GRのアイデンティティであるバンパーの大開口部が精悍なフロントマスク。ノーマルとはひと目で違うことがわかる

 もはやGRの方程式といえるエアロを身にまとったエクステリアは、迫力のフロントマスクを生み出している。

 また、インテリアも滑りにくくホールド性に優れるシート、基準車よりもひとまわり小さいステアリングなど、走りに必要な装備が散りばめられている。

 いっぽうでシャシーにも拘りがあり、フロアトンネルのセンター付近にブレースを追加したほか、専用チューニングのサスペンションや19インチタイヤ&ホイールを奢っている。

 走ればその効果は確実に伝わってくる。

GRスポーツはパワートレインには手を入れず、ボディ補強、足回りに専用のチューニングが施されている。278万2000円からの価格は魅力的

 ステアリングの切り始めから素直にクルマ全体が応答するキビキビさを生み出し、クルマが小さく軽くなったかのような感覚に溢れている。

 対角ロールを減らし、4輪をきちんと接地させながらコーナーをクリアしていく感覚はかなりスポーティだ。車高を変えずにそれを達成している。

 段差の乗り越えなどはやや突き上げ感を従う部分もあるのだが、その後の収束は一発で収まるイメージがあり、揺らぎが続くノーマルとは一線を画す仕上がりだ。

 背が高いSUVだと高い位置に座っていることもあって、身体が揺さぶられる感覚が増し、身体が滑ってしまったりもするが、足回りとシートの変更でそれを解消しているところが好感触だ。

C-HRは足回りのチューニングもすばらしいが、ホールド性が高く滑りにくいフロントシートの出来も見逃せないポイント

ハイブリッドはFFのみの設定。4WDは1.2LターボのCVTにのみの設定となっている

モデューロXはエアロダイナミクスと足回りに注力

写真左がノーマルで右がモデューロXだ。Xをモチーフとしたフロントマスクは明らかに精悍になっている。両サイドの開口部も大迫力

 対するヴェゼル モデューロXも手法としては同じような感覚で、エクステリアの変更、シートのホールド性を高めるために表皮に拘ったセミバケットシートを奢っている。

 SUVの背の高さを考えると、チューニングの第一歩としてこの辺りは外せないということなのだろう。

 足回りについてもスプリングとショックアブソーバーを変更して無駄な動きを排除している。

フロントバンパーの下側中央のブラックアウトされたナンバープレート大のパーツがエアロダイナミクスのキモとなっている

 特徴的に感じられるのは空力パーツだ。

 そもそもモデューロでは「実効空力」という言葉を昔から大切にしており、それは平たく言ってしまえばストリートで感じられるダウンフォースを出してやろうということのようだ。

 エクステリアの派手さも見どころではあるが、ポイントとなるのは前後バンパーの下側センターにあるナンバープレートくらいのボックスだ。

 そこでクルマの中心に芯を出す流れを生み出し、さらにリアにはセンターに一本のフィンを与えることで、直進安定性を確保しているという。

 走ればたしかにノーマルとは違い、直進安定性がかなり高まっていることが伺える。ステアリングのニュートラル付近にピシッと芯が通ったかのようなフィーリングは、ロングドライブでも疲れを軽減してくれることだろう。

 いっぽうでコーナーリング時はコチラもまた4輪の接地が優れており、路面をなめるように追従して行くところが好感触。乗り心地はノーマルに対してハードだが収束は早く、荒れたワインディングでも背の高さを気にせず、ブレずにコーナーを駆け抜けるところが心地いい。

モデューロXは直進安定性が大幅に向上しているので、高速道路などハイスピードで走る場合の安定感がすばらしい

ヴェゼルモデューロXにもGRスポーツ同様に専用のフロントシートが用意されていて、こちらもホールド性抜群。デザインもカッコいい

1.2LターボはFFのみ、ハイブリッドはFFと4WDの両方を設定

目指す方向は同じながら設定の差が魅力の差

 ここまで2台を比較すると、ほぼ同等といえる方向性ではあるが、若干異なるのはCH-RはMTモデルをラインアップしていること。

 これはスポーツを感じられるSUVという意味では一歩抜きん出ている。SUVでありながらMTという意外性はマニアにはたまらないものがあるだろう。

C-HRにはアーバンテイストのSUVとしては珍しく6MTをラインナップ。1.2Lターボにのみ設定されているが、少数派ゆえ6MTのプレミアム感は高い

 対するヴェゼル モデューロXのメリットはハイブリッドモデルでありながらも4WDモデルが選択できるところにある。

 CH-Rにも4WDモデルは存在するが、それはガソリンモデル。雪国でも燃費と走りを両立したいと考えるユーザーにとってはヴェゼルのほうが有難く感じるだろう。

  というわけで、一長一短あるこの対決だったが、いずれにしても走りの質感がノーマルモデルとは明らかにことなることが肌で感じられる仕上がりだったことは間違いない。

ヴェゼルモデューロXには、C-HR GRスポーツには存在しないハイブリッド+4WDの組み合わせがあり、これは大きな魅力と言える

 SUVだってやりようによっては十分にスポーティな走りを手に入れられることが証明されたといっていいだろう。

 だが、欲を言えば輸入車SUVにあるようなハイパワーSUVでスポーツカーにも負けない動力性能が欲しいが、それは次の一手に期待していたい。

 これからの未来、単にエンジンパワーを引き上げるだけでなく、例えばハイブリッドのシステムなどに手を加えればいくらだって可能性はあるはずだと推測するからだ。

 国産SUVのチューニングモデルの課題は、そんなところにあるようにも感じた対決だった。シャシーや空力といったチューニングの基礎は完成された。そんな今だからこそ、さらに先が見てみたくなったというのが本音だ。

ホイールサイズは19インチでクラス最大級

ホイールサイズはC-HRよりも小さい18インチ

【画像ギャラリー】C-HR GR SPORT&ヴェゼルモデューロX 日本車を代表するメーカー系チューニングSUVの真髄

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