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“GR”でなくともいい!──新型トヨタ カローラ スポーツ

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“GR”でなくともいい!──新型トヨタ カローラ スポーツ

マイナーチェンジを受けた新しいトヨタの「カローラ スポーツ」に小川フミオが試乗した。

運転が楽しい!

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トヨタが2022年10月3日に発売した新しいカローラ スポーツは、一見、さりげない雰囲気であるものの、乗ると、意外なほど楽しかった。カローラの魅力を再発見できるモデルである。

ラインナップは、ハイブリッドとガソリンの2種類で、駆動方式は前輪駆動のみとなる。イメージカラーの「オレンジマイカメタリック」という元気の出るような色がよく似合う。じっさいに、元気が出るのは、色のせいばかりでない。

今回のマイナーチェンジで、2.0リッター直列4気筒ガソリン エンジンを搭載したのが、おおきな特徴。従来の1.2リッター直列4気筒ガソリン・エンジンが116ps)の最高出力と185Nmの最大トルクだったのに対して、170psと202Nmにパワーアップ。

ただし、単に排気量があがっただけではない。改良の眼目は「若いひとにカローラの魅力を伝えたい」(開発を指揮したトヨタ自動車の梅村伸一郎主幹)というだけに、全体として、運転してのさらなる楽しさが追求されている。

今回乗ったのは、ガソリン エンジン車。パワーアップしたエンジンにくわえて、上記のとおり、走りのよさの実現に力を入れたというだけに、ドライブを楽しみにしていたモデルだ。

たしかに、楽しい。エンジンパワーと操縦性能がうまくバランスされていて、クルマにあまり縁がなかったひとでも、経験豊富なひとでも、期待以上に楽しめると思う。

その理由は、車両の操縦性にもっとも大事な、足まわりに大きく手が入っていることと説明される。サスペンション システムを構成する、コイルスプリング、ダンパー、ブッシュなどがカローラ スポーツ専用チューニングなのだ。

くわえて、車体のねじれを抑えるスタビライザーもカローラ スポーツ専用だし、電子制御のステアリング システムも専用のチューニング。今回同時に発表された「カローラ」(セダン)や「カローラツーリング」以上にキビキビと走れるというのが、開発陣のねらいという。

期待を裏切らない!足まわりはすこし硬めかなぁと感じないでもないけれど、高速道路を走っても不快な突き上げはなかった。現在の欧州車の水準からすると、2.0リッターの排気量で202Nmの最大トルクは控えめだけれど、それでも、たとえば、アダプティブクルーズコントロールを使うにはじゅうぶん。

カローラスポーツのアダプティブクルーズコントロールは、加速は(おそらくあえて)時間をかける傾向にあるようだけれど、いっぽう、減速時は安心感と安定感があるし、カーブを曲がるのにも、車線内にとどまっている位置、つまりラインどりに不安がない。ステアリング ホイールに触れている必要があるけれど、高速道路を走っていくときなど、頼りになるはずだ。

ただし、カローラ スポーツでそんなことをしていたら、もったいないと思った。先述したとおり、運転が楽しめるクルマだからだ。

ドライブモードで「スポーツ」を選べば、CVT(無段変速機)はエンジン回転を高めに維持してくれる。ステアリング特性も、カローラ シリーズ中もっともスポーティというだけに、切り込んだときの反応がよい。アクセル ペダルを介してドライバーとの一体感を味わわせてくれる。

試乗したモデルには、スポーティなヘッドレストレイント一体型シートを装備。ドライバーの身体があたる部分には滑り防止で人工スウェードを張る。それほど長い時間乗っていたわけではないので断定的なことはいえないものの、座面をとっても、乗員の体圧の分布がうまく、快適だった。そんなに複雑な構成ではないと思うが、設計も素材選びも上手であると感心。

インテリアではほかに、パーツの建て付けの良さが目をひく。もうすこしスポーティな雰囲気があってもよかった気がしないでもないけれど、日常的に使うには、試乗車のように、黒色を基調としたやや地味な色合いのほうがいいのかもしれない。

もっとスポーティなモデルが欲しいというひとには、「GRカローラ」がまもなく日本でも販売されるのだけれど、丁寧にチューニングされたカローラ スポーツ(試乗車の「G"Z"は264万円)だって、期待を裏切らないモデルだった。

文・小川フミオ 写真・小塚大樹

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