東京パラリンピックが開催されるが、それに合わせて2021年8月24日~9月5日の期間はまた首都高速の料金が1000円値上げとなる。
東京オリンピック前後の7月19日~8月9日も同様に値上げされたわけだが、それに加えて各種競技や移動を円滑に行うため、様々な交通規制も行われた。
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そこでオリンピック期間中に首都高速や他の高速道路で起きた様々な出来事を振り返り、パラリンピック期間に備えよう!
文/清水草一、写真/ベストカー編集部
【画像ギャラリー】東京オリンピック期間中に行われた交通規制など
■東京五輪に伴う交通規制は成功裡に終わった??
23区内に目立った渋滞や混乱は起きなかった。データ的には成功と言っていいが、釈然としない人も多いだろう
東京オリンピックに関する交通規制は、大成功に終わった。
「冗談じゃない! あれが大成功なのか!」という意見もあるだろうが、データを見れば、大成功と言うしかない。
首都高では朝6時から午後10時まで、マイカーに対して1000円上乗せが実施され、東京都の狙い通り、交通量はふだんの日曜日並みかそれ以下に減少し、渋滞も大激減した。
それで一般道に大きなしわ寄せが行ったかといえば、想定外の渋滞があったのは規制開始当日(7月19日)だけ。事前の交通量削減要請が功を奏し、期間中は一般道の交通量すら微減となった。
「無観客なのに、ここまでやる必要があったのか」とは思うものの、懸念されていた交通に関する混乱がほとんど発生しなかったのだから、間違いなく大成功だ。
これで新型コロナさえなければ、すべてがスムーズに運営されたオリンピックとして、歴史に名を遺したのではないだろうか。「おみそれしました」と脱帽するしかない。
この交通規制、8月25日からの東京パラリンピックに際しても、まったく同様の形で実施される。期間は、開会式当日の8月24日から、閉会式当日の9月5日までの13日間だ。
■首都圏内とは対照的に23区外には大渋滞が起きていた
混乱は23区内ではなく区外で起きていた。東京に流入する交通量を規制したため、内は天国、外は地獄という状態が発生したわけだ
しかし、まだあの交通規制が戻ってくるのかと、うんざりした思いを抱いている人も少なくないはずだ。
確かに東京23区内は、首都高はガラ空き、一般道も空いていた。期間中、首都高は1000円上乗せだったから、仕方なく下道を使っても、自宅のある杉並区から都心部まで、首都高利用より10分ほど余計にかかっただけだったりもした。
しかし、23区の外側では、朝のラッシュ時、連日大きな渋滞が発生していた。東京へと向かうすべての高速道路で、交通規制が行われたからである。
具体的には、各高速道路の本線料金所でレーン数が制限されたり、車線規制が行われ、そこを先頭に長い渋滞が発生した。これらの規制は、パラリンピック期間中もまったく同様に実施される予定だ。
多くの高速道路で料金所でのレーン規制や車線規制が行われていた
なぜ東京23区の外側で、これらの規制を行ったかと言えば、23区内に流入する交通量を調整するためだ。つまり、外にダムを造って、そこでクルマをせき止めていたので、23区内がスムーズに流れたのである。
無観客のオリンピックは、東京の外側を犠牲にして、保育器に入れられたかのような過保護状態で、大変スムーズに開催された。それに対して、「関係ないオレたちを巻き込むな!」と怒るドライバーがいるのは当然である。
東京側は首都高に接続していない第三京浜でも、連日料金所のレーン規制が行われ、毎朝、通常ありえない渋滞が発生した。「環状8号線の渋滞を緩和するため」という理屈はわかるが、「ここまでして東京を守りたいのか!」と叫びたくもなろう。
首都高1000円上乗せや、会場周辺の交通規制は理解するにしても、東京の外側の交通規制がここまで必要なのか、関係者はいま一度、検討していただきたい。
■下り方向のわずか数キロにも1000円が上乗せされる謎
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首都高1000円上乗せに関しては、事前の告知も行き届いていたし、結果的にはそれが原因で一般道が渋滞したわけでもない。
私は、1000円上乗せ区間の手前の出口が大渋滞するのではないかと懸念していたが、それもまったく発生しなかった。
当日、高速道路で都心方面に向かっていたマイカーは、上乗せ区間手前の出口に殺到することなく、そのまま1000円上乗せを覚悟の上で、突入していたのである。1000円上乗せを嫌ったマイカーは、そもそもマイカーでの移動をあきらめたと推測される。
よって、それに対して怒っている人はそれほど多くないだろうが、しかし「冗談じゃない!」と怒らざるを得ない部分もあった。
それは、下り方向に対しても、同じように1000円上乗せが課されたことだ。
中でも、4号線下りの永福から高井戸までの区間(わずか3キロ)は、通常は300円だが、そこもきっちり1000円上乗せされ、1300円にされたのには、怒りを覚えたドライバーが多かった。
4号線下り方面は、中央道が始まる高井戸は下りの入口がなく、調布ICまで一般道を使わないと、1000円上乗せを回避できない。そこまでして永福-高井戸間の下り線を守る理由は何だったのか?
それについて、2020TDM推進プロジェクト運営事務局に問い合わせてみたが、「個別の区間に関する資料は手元にないので、お答えできません。ご意見は事務局に伝えます」という答えしか得られなかった。
いや、理由はいくらでも考えられる。調布IC近くには、サッカー会場となった味の素スタジアムがあるからとか、下り永福入口付近では、夕方ラッシュ時に合流抵抗による下り渋滞が発生するからそれを防ぐためとか。
しかし、高井戸に入口がないのに、なにも永福から高井戸までの3キロ300円を、4倍以上の1300円にしなくてもいいじゃないか! とは言いたくなる。永福から調布ICまで国道20号線を使うと11キロあり、30分近くかかるのだから。
それもまぁ、あと13日間の辛抱だと思えば、大したことではない。そう思ってやり過ごすしかないだろう。
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