知的な女性と親和性が高いW113型
クラシックカーを紹介する時、時代を超越した、といった表現がしばしば用いられる。1963年から1971年まで製造されたW113型のメルセデス・ベンツSLは、まさにこの言葉がピッタリ当てはまるモデルだと思う。
【画像】パゴダルーフのメルセデス・ベンツSL(W113型) 初代300 SLにR107型、SLS 最新AMGも 全122枚
新車時に生まれていなかった読者でも、このコンバーチブルに対しては恐らく特別な印象を抱くと思う。その美貌を目の当たりにしたら、クルマ好きであれば本能的に足が向い、鑑賞し始めるのではないだろうか。
コンパクトなスポーツカーであり、オープントップのグランドツアラーでもあった2代目SLは、その後のメルセデス・ベンツが生み出す2シーターモデルの方向性を決定づけた。230から250、280へ進化を続けながら。
一般的なサルーンより高速でありながら、攻撃的な雰囲気は控えめ。インテリアは上質で、穏やかな気持ちでの運転を許した。高級ブランドが立ち並ぶ繁華街を優雅に流せ、郊外の自宅まで短時間で戻ることができた。小柄で機敏で、訴求力に溢れていた。
W113型の特徴といえるのが、知的な女性と親和性が高いこと。自身を引き立てる、アクセサリーのような存在でもあったといえる。
銀幕では「ダーリング」のジュリー・クリスティ氏や、「いつも2人で」のオードリー・ヘップバーン氏が、エレガントにステアリングホイールを握った。R107型へモデルチェンジしていた1980年の「長く熱い週末」でも、ヘレン・ミレン氏が魅力を振りまいた。
端麗さと品格をたたえたスタイリング
シリアスなドライバーズカーとして、高水準な走行性能も高く評価されてきた。伝説的レーシングドライバーのスターリング・モス氏も、250 SLを愛していたという。富裕層からは、オープンのセカンドカーとして親しまれつつ。
そもそも初代のSLは、職人によるハンドビルドのスペースフレーム・シャシーに高性能な3.0L直列6気筒エンジンを搭載した、ガルウィングのスーパーカーだった。同じ見た目で、お手頃な1.9L直列4気筒エンジン版も存在したが。
一方の2代目は、量産サルーンの技術を巧みに利用。実用的で身近な上級コンバーチブルとして、われわれとの距離を縮めていた。
そんなW113型が発表されたのは、1963年のスイス・ジュネーブ・モーターショー。ワイドなグリルと縦に長い専用デザインのヘッドライトを備え、初代300SLの勇ましさと、女性的な雰囲気の190SLとの、見事な融合を果たしていた。
スタイリングを描き出したのは、カーデザイナーのポール・ブラック氏。ジャガーMkXよりトレッドが広いワイドなボディは、他に例がない端麗さと品格をたたえていた。
タイヤは、コンチネンタル社が専用に開発した左右非対称パターン。落ち着いた佇まいながら、確かなロードホールディング性能を備えることを足もとで主張した。SLの方向性を表すように。
ルーフ中央部分が僅かに凹んだハードトップ
実際、メルセデス・ベンツで才能を発揮したチーフエンジニアのルドルフ・ウーレンハウト氏は、230 SLの発表会でサーキットを周回。レーシングドライバーのマイク・パークス氏がフェラーリ250GT SWBで残したタイムから、0.2秒遅れで周回してみせた。
ベルギーで開催された1963年のスパ・ソフィア・リエージュ・ラリーでは、オイゲン・ベーリンガー氏が駆る230 SLが優勝。スポーツカーとしての実力を、世界中に知らしめることとなった。
AUTOCARの読者ならご存知の方も多いと思うが、W113型のSLは「パゴダ」と呼ばれることが多い。それは、ルーフの中央部分が僅かに凹んだ、ハードトップの形状から来ている。クロームメッキされた4か所のバックルで、ボディへ固定することができた。
オープントップのカブリオレでありながら、ハードトップの特徴が愛称になったという事実が興味深い。美しいデザインだっただけでなく、僅かに凹ませることで強度を高め、大きなグラスエリアを得ていた。
初代の190 SLと比較すると、38%もガラスの面積が増やされている。その結果、開口部も大きく取れ乗り降りしやすい。ハードトップは驚くほど重く、取り外しは容易ではないけれど。
スポーティで運転しやすい2シーター
技術者が目指した2代目SLは、サーキットへ主眼が置かれた300 SLよりドライバーへの負担が少なく、190 SLより活発な、スポーティで運転しやすい2シーター。しなやかなサスペンションと心地良いシート、引き締まったスタイリングが、それらを叶えた。
オプションとして、230 SLではパワーステアリングと4速ATを設定。2代目の強みを高める内容といえた。晩年の280 SLでもオプションのままだったが、多くのユーザーは追加料金を支払って装備させている。
人間工学や車内の送風機能にも抜かりはなく、少々ダッシュボードの見た目が派手とはいえ、快適な運転を支えた。ウインカーとパッシング、ワイパーのスイッチが集約された、ステアリングコラムから伸びるレバーは、量産車として先進的なアイテムだった。
1963年の230 SLのベースとなったのは、控えめなテールフィンが付いたサルーン、220 SE。プロトタイプでは220 SLのバッジが与えられた例も存在したようだが、最終的には2306ccへ拡大されたM127型の直列6気筒エンジンが載っている。
ボッシュ社製の燃料ポンプを採用し、僅かにリフト量の多いカムシャフトが組まれ、最高出力は152ps。最高速度は約190km/hに届き、160km/hでの巡航走行を許容した。
エンジンの製造に用いられた素材は最高品質で、堅牢性は非常に高かった。バルブが大型化され圧縮比は高く、排気系統も専用設計され、同時期のメルセデス・ベンツとしては最もスポーティに仕上がってもいた。
この続きは中編にて。
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