走りの懐が大いに深まった最近のレクサス車
先日、レクサス「LM」に6人乗り仕様「LM500h“バージョンL”」が設定されたのを機に開発責任者に話を聞いたところ、「実は本来ならありえないほど遅いタイミングで、車体後方にブレースを1箇所追加した」という話が出てきました。
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具体的には、リアサイドメンバーに取りつけられたリアクォーターブレースのことです。試したところ、走りの質への寄与が非常に大きく「やはりこれをお客さまに味わっていただきたい」という思いから、採用に踏み切ったのだという話でした。
それを契機に改めて振り返ってみると、最近のレクサス車はそれまで使っていなかったアイテムを使ったり、手当をしていなかった箇所の強化をおこなったりしていることに気づきました。そして実際、これらのモデルは、いずれも走りの懐が大いに深まっているという印象を受けます。
個人的にその進化に最も驚いたのは、2023年12月に登場した新型「UX」です。そのボディには、ラジエーターサポートブレース追加や、ロアバックパネル下端のガゼット追加が施されていました。ちなみに、ラジエーターサポートブレースとはフロントのサイドメンバーとラジエーターサポートを締結するロッドで、これは「LM」にも使われています。
実際、新しい「UX」の走りは、直進時からステアリングの据わりがよく、操舵応答もリニアでしかも深い舵角までひと筆書きのような追従性を見せる、素晴らしいフットワークに進化していました。
乗ったのは、雨のそぼ降るテストコース・Toyota Technical Center Shimoyamaのワインディング路だったのですが、楽しくてどんどんペースが上がってしまったのをよく覚えています。
そして「LM」。こちらも、リアコンパートメントに居れば至極快適に過ごせるというだけでなく、実は運転しても楽しめるクルマに仕上がっています。
念のため、もう少し詳しく書いておくと、「LM」はとてもスタビリティが高く、高速域に至るまで高い安定感を発揮する一方で、ステアリングを切り込むと正確な反応でクルマが向きを変えてくれます。
それをして「楽しめる」としたわけですが、実際それは、後席に座る大事なゲストに不快な思いをさせない運転を、容易に可能にしてくれる性能といい換えることもできます。後席の快適性と前席の楽しさは背反ではなく両立する、いや実は不可分ですらあるというわけです。
いずれにせよ「LM」は、正直いって想像以上に意のまま感の強い走りを可能にしてくれるクルマといえます。誤解を恐れずにいえば、その点でいえば現行「LS」などよりも上かもしれません。
●「味磨き活動」で得た知見がレクサスの走りを変えた
こうしたレクサス車の走りの変化、いや進化に、上記のブレース類が貢献しているのは間違いありません。
ですがレクサスといえば、これまでも構造用接着剤、レーザースクリューウェルディングといった独自技術によってボディ剛性を高めてきていたはず。一体、何が起きているのでしょうか?
疑問に思い、問い合わせたところ、興味深い答えが返ってきました。実は今、レクサス内部では「味磨き活動」がおこなわれていて、ここに挙げたような一連のボディ剛性強化アイテムは、そこで得られた知見に基づいて採用されたものだというのです。
この「味磨き活動」のねらいは、まずはレクサス車全体の走りの味に統一感を持たせること。それこそ「LX」から「LBX」まで、どのモデルに乗っても同じテイストが感じられるように、というものでした。
素性のいい走りの土台となる強固な“ハコ”をつくるために
さて、ではどうしたら、どのレクサス車に乗っても同じテイストを感じられるようになるのでしょうか?
開発陣が考えたのは、核となるレクサス車の走りの土台をつくり、それをベースに共通の考え方を構築し、すべてのモデルに織り込んでいけば、自ずとすべてが同じ方向を向くのではないか、ということでした。
その土台となるのは、やはりボディ。それは体幹を鍛える、素性をよくするという近年レクサスが発信しているメッセージにも沿うものです。
ただし肝心なのは、ボディのどこをどのように強化するのか、ということです。
実は、前述のようにボディ剛性アップに勤しみ、数値上はライバルに負けない剛性を身に着けたはずのレクサス車ですが、内部では「まだ何かが足りない」、「ライバルたちとは一体何が違うのか」といった思いも渦巻いていたそうです。
そしてある日、これまでと違った方法で計測してみると、全く違った結果が出たといいます。ねじり剛性と着力点剛性を重視したこれまでの評価軸では、世界のライバルに比肩する走りの味をつくり出すには足りないことが分かったというのです。
では、一体どうするのか。さまざまなトライの結果として浮かび上がってきたのが、ボディのフロント先端、センタートンネルと前後バルクヘッドの接合部、そしてリア後端の剛性アップが、走りを劇的に変えるということだったそうです。
そこで、まず既存モデルへも後づけで装着しやすいということで採用されたのが、ここまで取り上げてきたラジエーターサポートブレースやリアクォーターブレース、ロアバックパネル下端のガゼットといった車体前後の剛性向上パーツとなります。
想像ですが、これらの効果は面としてだけでなく、立体としての剛性が高まることではないでしょうか。要するに、素性のいい走りの土台となる強固な“ハコ”が出来上がる、というわけです。
実はそんな話をしていたら、「味磨き活動」の一環としてつくられた現行「LS」をベースとする検討車両に乗る機会に恵まれました。こちらは車体の前後端だけでなく、センタートンネルと前後バルクヘッドの接合部を含む4箇所の剛性を高めたもの。「LS」を使ったのは、車体が大きく重いことから、最も効果が出やすいのではという意図からだそうです。
実際、その乗り味には大いに驚かされました。車体はカチッとしているけれど、決して重々しいわけではなく、サスペンションがしなやかに動いて路面を舐めるようにトレースしていきます。
頭に浮かんだのは「すっきりとしていて奥深い」というレクサスが目指す走りについて語る際のフレーズは、まさにこういうことだったんだ! ということ。ドイツやその他の国のライバルとも明らかに異なる、しなやかでたおやかな独自の味が、そこにはあったのです。
もちろん、これだけの剛性アップをおこなうには、既存モデルの場合は大掛かりな改修が必要でしょう。実際には、近い将来登場するモデルのための新規プラットフォームを開発する際に、この要素を始めから盛り込んでおくという方が現実的かもしれません。
* * *
いずれにしても、コストや手間のかかる話ではあります。もし同じプラットフォームをトヨタやGRの車両も使うとしたら「そこまでは要らない」といわれてしまうかもしれません。
けれど私(島下泰久)としては、レクサスにはぜひそこまで踏み込んで欲しいと強く思います。
レクサス車はトヨタ自動車の中でも最先端の技術を採用し、世界のプレミアムカーたちと戦う。そこで得られた知見が、後にトヨタ車にも展開され、そのときにはレクサスはさらに一歩先を行っている……。例えば、フォルクスワーゲングループの中でポルシェやアウディが果たしているような役割を、レクサスは担うべきだと思うのです。
明らかな成果を出しているこの「味磨き活動」。このまま続いていけば、レクサスの将来にはさらに期待が持てそうですよ!
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みんなのコメント
何を言ってるんだろうか?
レクサスは買収とかじゃなくて、そもそもトヨタが一から作ったブランドなのにさ
叩く奴の多い事w
そんなに妬んでどうするよw