商用車というと、どんな車を思い浮かべるだろうか。ワンボックスタイプのハイエースやキャラバン、ハイゼットカーゴやエブリイのような軽ワンボックスも目立つ。ボックスタイプの商用車が多くなっているが、ボンネットを備えたワゴンタイプの人気も根強い。
ワゴンタイプの商用車は、かつてライトバンと呼ばれたジャンルだ。多くの自動車メーカーが製造に力を入れていたジャンルだったが、現在はプロボックスと日産・ADバン、ファミリアバン(プロボックスOEM)だけとなった。
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こうした中で、商用バンの筆頭であるプロボックスが改良を施されるという情報をベストカーが掴んだ。今一度、プロボックスの魅力を探りながら、商用バンについて考えていきたい。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
[gallink]
■約3年ぶりの改良!その中身とは
2021年12月22日に改良が行われるトヨタ プロボックス(生産は2022年1月から)。グレード体系が整理され、DXグレードは廃止となる(写真は現行型)
2021年12月22日に、プロボックスの改良が行われる。(生産開始は2022年1月6日)現行型は2014年に登場し、今回で3度目の改良だ。
直近の改良は2018年11月に行われた。ハイブリッド車が設定され、トヨタセーフティセンスに昼間の歩行者検知機能を追加するなど、比較的大きな変更が施されている。
それでは今回の改良内容を見ていこう。
まずは、グレード体系に手が加わる。ガソリン・ハイブリッドともに4グレードだった現行型を、ハイブリッドが3グレード、ガソリンは1.5Lを2グレード、1.3Lを1グレードへ統合した。DXグレードは廃止される。
新たなグレード体系は、ハイブリッドが上からF・GL・GX(新設)、ガソリンはF・G(新設)となる。(1.3LガソリンはGのみ)
新設されたGX/Gグレードの装備内容は、これまでのDXグレードよりも高められた。パワーウィンドウは運転席・助手席に装着(DXコンフォートは運転席のみ、DXはパワーウィンドウ自体設定がない)、電動格納式ドアミラーを備え、リアガラスは5面ともプライバシーガラスへ変更される。
ボディカラーはボルドーマイカメタリックとライトグリーンメタリックが廃止され、現在の6色体制から4色へ変更となった。
機能面では、AC100Vコンセントが全車標準装備となる。商用車でもナビ装着が一般化していることを鑑み、最上級のF以外に標準装備されていたAUX端子付きのAM/FMラジオを廃止し、全車オーディオレス化された。また1.5Lガソリン車のアイドリングストップ機能も廃止する。
ビジネス用途に不可欠な装備を標準化し、魅力的な戦略グレードを設定したプロボックス。環境意識も高めたプロボックスは、さらに使いやすい商用バンへと生まれ変わる。
■運転席に座れば、自分のデスクで移動をしているような感覚へ
現行型トヨタ プロボックス車内。必要なものにすぐ手が届く『自分の部屋』感が素晴らしい
プロボックスは、クルマという移動手段だけを担う存在ではない。その車内はプチオフィスそのものだ。
インパネトレイにはA4サイズのバインダーを収納でき、カップホルダーは1Lの紙パックを置くことにも対応している。インパネテーブルは耐荷重が10kg、A4ノートPCも余裕で置ける仕様だ。運転席に座れば、オフィスの座席ごと移動しているような感覚になれる。
積載能力は言うまでもなく高い。A4コピー用紙箱なら86箱、1,800mm×900mmのコンパネも平積み可能だ。仕事道具も商品も余裕で積み込むことができる。
クルマの作りはシンプルで頑丈だ。ライトバン特有のフワフワ、ヒョコヒョコした乗り味は無く、長距離ドライブでも快適に運転できる。クルマとしての質の高さも、プロボックスが営業マンから職人まで、幅広く支持される理由の一つになるだろう。
■かつての名仕様から考える、プロボックスの今後
現行型プロボックスのハイブリッドシステム。カーボンフリーのご時世、ディーゼルの復活は?
2002年に登場したプロボックスは、来年7月には誕生20周年を迎える。現在のガソリン・ハイブリッド体制も見事な仕様だが、過去にも魅力的なモデルがあった。
初代モデルに用意された、1.4L直噴ディーゼルターボの1ND-TV型エンジンを搭載したディーゼルモデルだ。このディーゼルエンジンは、当時欧州で販売されていた、ヤリスやヤリスヴァーソ(ファンカーゴ)に搭載されていたものを、国内の排ガス基準に対応させたものである。
当時ディーゼルは、日本国内では人気が無かった。環境に悪いというイメージが先行し、ディーゼル車への風当たりが強かった時代だ。しかし、欧州は当時からディーゼル関して先進的な地域であり、その欧州で鍛えられたディーゼルエンジンが、国内導入された価値は非常に高かった。
結局、登場から5年後の2007年にディーゼルモデルは廃止されたが、このモデルに対する根強いファンは多い。
国内でのディーゼルエンジンに対するイメージは、この20年で大きく変化し、昔ほどの抵抗感はない。乗用車にもディーゼルエンジンが一般的となり、人気を博している今、プロボックスにもディーゼルを復活させてほしいものだ。
モデルサイクルとしては、次期改良がフルモデルチェンジとなる可能性は高い。時期としては約2年後か。日本の商業を支えるプロボックスが、今後どのような変化を遂げていくのか、注目していきたい。
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