NSXの生産終了が発表された2021年。もちろん2代目の生産終了というだけなのだが、いまのホンダを見ているとF1は撤退するし、クルマ好きにとっては3代目NSXの登場を期待するのは非常に困難なのが本心だろう。
そもそも初代NSXはバブル期の圧倒的な勢い、そしてアイルトン・セナというスーパースターの伝説がよりその製品価値を高めた。それと比較すると2代目はやや不遇だったのかもしれないが、NSXはホンダの看板。このまま消えていいわけがない!!
ということで今回はベテランジャーナリスト鈴木直也氏に目の前で見たセナとNSX、そしてNSXの今後を語ってもらった。
文/鈴木直也、セナ写真/池之平昌信、写真/HONDA・ベストカー編集部
【画像ギャラリー】このまま消えていいはずがない!! ホンダの看板 そして熱かった時代の象徴 NSXよ永遠に!!
■NSXが生産終了!! 寂しいニュースが続くホンダ
生産終了が発表されたホンダ NSX。最終モデルとして写真のタイプS発売がアナウンスされた
8月に発表されたNSX生産終了のニュースは、ホンダファンならずともクルマ好きを大いにがっかりさせた。
まぁ、昨年10月のF1撤退発表、今年3月のS660生産終了、そして4月の三部新社長就任会見における2040年内燃機関撤退表明と、最近のホンダは悲しいニュースの連続だったから、NSXみたいなマイナー車がリストラされるのは不思議じゃない。
不思議じゃないんだけど、社長交代を機に前任者の負の遺産をすべて損切りしまくっているようで、ほんと容赦ない。もうちょっと旧来のホンダファンに対する愛情というか労わりというか、配慮があってもい~んじゃないの? という気がするわけです。
たしかに、2代目NSXは最大のマーケットである北米ですら一度も月販100台に届かなかったし、日本市場ではほぼ常に月販ヒト桁。普通の人にとっては、居なくなったことにすら気づかない希少車ですよ。
しかし、それでもNSXはホンダの“看板"であることは間違いないわけで、もうちょっと遇し方を考えて欲しかったというのがワタシの本音でございます。
■初代NSXはバブルの象徴!! 人もクルマも熱かった
1990年登場の初代NSX。ボディー素材にアルミニウムを採用するなど、当時の革新的技術を惜しみなく投入して開発された
こうなると、やっぱり思い返すのが初代NSXの当時は熱かったぜ、という昔話ですね。
若い読者にとって、初代NSXはすでに歴史の一部だが、リアルタイムで当時を体験した世代にとって、あのインパクトはなかなか言葉では伝えきれないものがある。
とにかく、初代NSXがデビューした当時の日本は、何かの熱病にでもとりつかれたような時代。普通の庶民までなんだかやたら金回りが良くなって(なったような気がして?)、マンションやらリゾートやら高級車やら、刹那的な消費に浮かれていたわけです。
その熱狂ぶりたるやとても現在の停滞した日本経済からは想像できないのだが、あの時代を空気感はバルブ経済を回顧するドキュメンタリーや小説、映画などであるていど追体験できる。
ドキュメンタリーなら「バブル(永野健二著 新潮社)」、小説なら「アッコちゃんの時代(林真理子著 新潮社)」、映画はやっぱり「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 (馬場康夫監督)」あたりがオススメ。興味のある方はぜひどうぞ。
そんなわけで、日本がいちばん熱かった時代に初代NSXはデビューするわけだが、さらにクルマ業界は当時もうひとつの別のバブル、F1ブームに沸いていたのだった。
つまりバブルの二乗で、これまた当時をリアルタイムで体験しないと、その興奮ぶりはなかなか伝えきれないものがあるんですよ。
■やはり『きっかけはフジテレビ』!? F1ブームとNSX
セナがドライブしていた第2期ホンダから、現在で第4期となるホンダF1。惜しくも今季限りでの撤退が発表されている
きっかけは1983年のホンダのF1カムバックだったが、その速さがトップクラスになり鈴鹿にF1がやってくるのが87年。時まさにバブルの上昇期だから、これがウケないはずがない。
いち早くそこに目をつけて、TBSから中継権をブン奪ったフジテレビの嗅覚はさすが。それまで、日本ではモータースポーツは日陰者的な扱いだったのに、ここで初めてメディア主導でモータースポーツを盛り上げるという画期的な時代が到来したのだった。
その目論見はズバリ的中。翌88年はセナがマクラーレンに移籍し、僚友プロストとともに16戦15勝の快進撃。セナは88年に鈴鹿で優勝して初のチャンピオンを決定。マイナーだったモータースポーツが、あっという間にお茶の間の人気スポーツになったのにはビックリ。
業界関係者でも、ジャーナリストでは今宮さんや赤井さん、カメラマンでは金子さんや原さんらがアッという間に“スター”になりましたね。
続く89年には鈴鹿のシケインでセナとプロストのクラッシュ事件。フジテレビ主導のF1メディアミックスはほんとうに見事なもので、これをセナプロ遺恨対決として盛り上げる。
古舘伊知郎命名の「音速の貴公子」によって、誰もがセナの名前を知るようになり、レースを初めて見るような一般ピープルにとってはF1=アイルトン・セナという状態でございました。
そんなF1ブームの真っ只中に登場した初代NSXに、クルマ好きが熱狂しないはずがないよね。
■初代NSXは「頑張れば誰もが買えたスーパーカー」だった
当時の熱を感じながら過ごしたクルマ好きには、ホンダF1、セナ、そしてNSXは同列に刷り込まれている
NSXが日本で初めて一般公開されたのは1989年の東京モーターショーだったが、その熱狂ぶりも今や伝説。前回1987年に約130万人だった東京モーターショー入場者は、1989年と1991年の2回だけドカンと跳ね上がって約200万人を動員。
NSXをはじめ初代セルシオやR32GT-Rがデビューしたこの時代、日本人がいかにクルマに熱を上げていたかわかろうというものであります。
アイルトン・セナが鈴鹿でNSXを走らせる映像はYouTubeで見ることができるが、一般のイメージはまさにコレ。ホンダF1~セナ~NSXはほとんど三位一体で、国籍不明の2代目NSXとは日本のクルマ好きに対する訴求力がぜんぜん違っていたのだ。
ちなみにその動画の、15秒くらいでバックに映り込んでくるピンクのセーターが弱冠38歳の筆者。この当時、ホンダは日本GPの翌日、鈴鹿西コースでジャーナリスト向けの試乗会を開催するのが恒例のイベントで、周りにいっぱいるギャラリーはジャーナリストやカメラマンなどのメディア関係者だ。
また、初代NSXは日本初のスーパーカーと言われていたが、デビュー時の価格はジャスト800万円。R32GT-Rが約430万円、初代セルシオが約450~650万円だったから、たしかに高いといえば高いのだが、それでも当時の感覚としてはむしろお買い得感が強かった。
当時は今と比べては消費行動がはるかに脳天気だったから「ローン組んで残業すればなんとかなるでショ」といったノリでNSXを買った人も大勢いる。
じっさい、当時のぼくのまわりでもNSXを購入した知人(かならずしもお金持ちばかりじゃない)は10人じゃきかない。サラリーマンやフリージャーナリストでも、NSXは「頑張れば買える!」感覚のクルマだったのだ。
しかし、2代目NSXとなると周りで購入した人は皆無。時代が違うといえば違うのだが、最終モデルとなるType Sの2794万円というプライスは、こりゃもう(経済的に)上級国民でないと手が出ないレベル。
初代NSXは当時のクルマ好きにとって「オレたちのNSX」という感覚だったが、2代目NSXは普通のクルマ好きにとってもはや「絵に描いた餅」。NSX生産終了のニュースがクールに受け流されている(ように見える)のは、その辺に理由があるのかもしれませんねぇ。
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みんなのコメント
エンツォの意志を受け継いだフェラーリとは大違い。
オヤジの生きていた時代が懐かしい。。。