新世代と主張するのに充分なアップデート
ポルシェは、このパナメーラを「G3」と呼ぶ。新世代へ生まれ変わったという事実を、強調したいのだろう。だが実際は、2016年に発売された2代目をベースにしている。
【画像】かつてないほど「4ドアの911」 ポルシェ・パナメーラ 競合するスポーツサルーンは? 全105枚
少し誇張した表現にも思えるが、先代も極めて魅力的なビッグサルーンだったことは間違いない。そして、世代が変わったと主張するのに充分な、新しい技術が盛り込まれている。バッテリーEVのタイカンを今注文するべきか、考え直させるほど。
スタイリングは、紛うことなきパナメーラだ。エアインテークを中心に、フロントバンパーはデザインを一新。フロントフェンダーのラインも僅かに持ち上げられ、ボンネットの低さを視覚的に強めている。
運転席からの眺めは、911へ近づいた。両脇にヘッドライトへ続く峰が伸び、中央がくびれ、路面を良く見渡せる。
サイドウインドウは、後端が鋭角に。BMWのホフマイスター・キンクを想起させる。真一文字に伸びるテールライトも、存在感を増している。
新しいパナメーラのハイライトは、ボディの内側。パワートレインもシャシーも、大幅な進化を遂げている。特に、ハイブリッドへ力が注がれた。
現在のところ、電動アシストが備わらないのは、後輪駆動の素のパナメーラと、四輪駆動のパナメーラ 4のみ。先代から改良を受けた、2.9L V6ツインターボ・ガソリンエンジンがフロントに載る。最高出力は、従来から23ps増しの354psで共通する。
エアサスが標準 メーターパネルは前面モニター
それ以外には電動アシストが付く。パナメーラ 4 E-ハイブリッドと4S E-ハイブリッドにも、同じ2.9L V6エンジンが載るが、ZF社製の8速デュアルクラッチAT(PDK)内に190psの駆動用モーターが追加される。駆動用バッテリーは、25.9kWhだ。
最もパワフルなのが、ターボ E-ハイブリッド。同じ駆動用モーターとバッテリーに、4.0L V8ツインターボが組まれる。
これまでより駆動用バッテリーは大容量化され、電気のみで走れる距離は長くなった。 高密度化で、体積は増えていないという。
車重は、今回試乗した素のパナメーラで1885kg。この重さを受け止め、ポルシェらしい走りを叶えるため、エアサスペンションが標準装備される。
インテリアも新しくなっているが、モニターの存在が目立つ。メーターパネルには、アナログのタコメーターもなく、1面のワイドなモニターが埋め込まれている。クラシカルな、5連メーターのグラフィックを表示することは可能だ。
見やすく、表示のレイアウトなども変更できる。だが、グランドピアノから電子ピアノへ置き換えたような、味わいの違いは否定できない。
センターコンソールからはシフトセレクターが姿を消し、ダッシュボード上のスイッチへ置き換えられた。生まれた余地には、スマートフォンのワイヤレス充電パッドと、小物入れが与えられている。
素のパナメーラでも素晴らしく有能
中央には、インフォテインメント用タッチモニター。システムはアップデートされ、使い勝手は悪くない。
実際に押せるハードスイッチも充分残されている。ただし、強めに触れるとパネル全体が歪むことがあり、ソリッド感は乏しいかもしれない。グロスブラックのパネルは、傷が付きやすい様子。試乗車にも少なからず見られた。若干、品質は落ちたといえる。
助手席側のダッシュボードにも、ブラックのパネルが埋め込まれる。これが退屈な場合は、追加費用でエンターテイメント・モニターへ交換できる。英国では、1289ポンド(約24万円)のオプションだ。
車内側のドアハンドルは、磨き込まれた金属製。スリムで見た目が良い。
空間の広さに変更はなし。運転姿勢は、背もたれが傾き足を伸ばすスタイル。ポルシェは、パナメーラを4ドアスポーツカーと呼んでいるが、それとリンクする体勢だ。
リアシートの広さは充分。全長が5049mmあるだけあって、前後方向にゆとりがある。シートの座り心地に、まったく不満はない。
さて、一般道を走り出せば、素のパナメーラでも素晴らしく有能なことへ感心する。ドラマチックとはいえないが、0-100km/h加速4.8秒の動力性能を備える。シームレスな変速で、当然のように滑らかに疾走する。
V6ツインターボは心地良いサウンドを奏で、オプションのスポーツエグゾーストのバルブを開けば、ドライな音質が雰囲気を高める。標準のマフラーは、排気ガス規制の影響で薄味だから、追加したいアイテムだ。
パワーデリバリーは線形的。外界との隔離性も非常に高い。
しっかりポルシェらしい雰囲気
アップデート後のパナメーラで再確認したのが、しっかりポルシェらしい雰囲気を感じ取れること。SUVのカイエンでも、911と共通した心象がある。彼らなら、トラックもポルシェっぽく作れるかもしれない。
その特徴を醸し出している要素の1つが、サスペンション。上質な乗り心地を実現しつつ、路面との接続性を体感させるという、秀抜なバランスに仕立てられている。
エアサスペンションでも、メルセデス・ベンツの魔法の絨毯的な質感とはまったく違う。それでいて、路面からの入力をしっかりなだめ、ボディの動きは抑制され、見事に角が取れている。
以前から、AUTOCARではパナメーラのエアサスは高く評価してきた。正直なところ、アップデート前後の違いは、直接乗り比べなければわからない。見違えて進化したとはいえないようだが、優秀なことに変わりはない。
ステアリングフィールも、ポルシェらしさを生んでいる要素。特有の重み付けがあり、明瞭な感覚が手のひらへ伝わってくる。今回の試乗はスペインのワインディングだったが、フロントタイヤのグリップ状態を、手に取るように理解できた。
後輪駆動でも、路面が濡れていても、トラクションは揺るぎない。多くのドライバーは四輪駆動を選ぶと思うが、頻繁に雪が降るような地域に住んでいない限り、その必要性は低いように思う。
毎日のクルマ移動が楽しくなる
最後にお値段。英国では、7万9500ポンド(約1503万円)からに設定された。例によってオプションが多彩に用意され、予算次第で、ご希望通りのパナメーラに仕上げられる。
もし自分なら、とコンフィギュレーターでコーディネートしていたら、理想の内容では10万ポンド(約1890円)を超えていた。それでも、アウディS7やBMW 840iと、大きな価格差があるわけではない。
確かに、インテリアの質感は若干落ちたかもしれない。しかし、全体を俯瞰すれば、問題視するほどのことではないだろう。それ以外のすべては、素晴らしく機能している。パナメーラなら、毎日のクルマ移動が楽しくなるに違いない。
ポルシェ・パナメーラ(欧州仕様)のスペック
英国価格:7万9500ポンド(約1503万円)
全長:5049mm
全幅:1937mm
全高:1423mm
最高速度:271km/h
0-100km/h加速:4.8秒(スポーツクロノ・パッケージ)
燃費:9.5-10.4km/L
CO2排出量:219-239g/km
車両重量:1885kg
パワートレイン:V型6気筒2894cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:354ps/5400-6700rpm
最大トルク:54.9kg-m/1900-4800rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)
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みんなのコメント
やはりイマイチらしい