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並みのスポーツハッチとは違うぜ──ルノーの新型メガーヌRSに試乗した

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並みのスポーツハッチとは違うぜ──ルノーの新型メガーヌRSに試乗した

ルノーのCセグメントカー、メガーヌ。そのMeganeというフランス語の綴りから、1990年代半ばに初代が出た頃、「メガネ」と読んだジャーナリストがいたとか、いないとか(笑)。そのメガーヌの4代目にして、メガーヌRSの3代目に当たるクルマが、日本の路上を走り始めた。

RSはポルシェでいえばRenn Sport=レーシングスポーツだが、ルノーの場合はRenault Sport=ルノー直属のスポーツ&レース部門の名称となるのは、ご存知のとおり。そのRSの2文字を使うだけあって、このメガーヌRS、半端なクルマではない。ちなみにプライスは440万円。

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これまでメガーヌRSというと、ボディは3ドアというイメージだったが、新型は5ドアで、いっけんこれまでより落ち着いたクルマのような印象を与える。とはいえ、RS専用ボディは前後フェンダーが同じメガーヌのGTよりフロントで60mm、リアで45mm広げられて、全幅は1875mmに達する。

そこに積まれるエンジンは、日産とのアライアンスによる1.8リッター4気筒直噴ターボ、すなわちオリジナルは日産のユニットで、実はミドエンジンスポーツのアルピーヌA110に積まれているものと、基本は共通する。

それは1798ccから279㎰のパワーと390Nm/39.8kgmのトルクを生み出すが、意外にもA110の252psと320Nm/32.6kgmよりかなりチューンが高い。メガーヌRSの場合、それで6段DCTを介して前輪を駆動、1480kgと決して軽くない車重を0-100km/h 5.8秒で加速させるという。

だが、それにも増してルノースポールが気合を入れたのが、サスペンションを含むシャシーのセッティングだ。メガーヌの脚はフロントがストラット、リアがトーションビームという、基本形式は至ってシンプルなものだが、その煮詰め方が尋常ではない。

フランスをはじめとするヨーロッパの道やサーキットはもちろんのこと、RSユーザーがヨーロッパの一般的な国にも増して多いという日本市場も意識して、箱根周辺を含む日本のワインディングやサーキットにもプロトタイプを持ち込んで、ハンドリングを煮詰めたという。

そのキーポイントのひとつが、新採用の4コントロールと呼ばれる4WSだ。これは、低速では前輪と逆位相に最大2.7度、高速では同位相に最大1.0度、後輪をステアするもので、低速では俊敏な回頭性を、高速では安定したコーナリングをもたらす。逆位相から同位相へは通常はおよそ60km/hで切り替わるが、走行モードをレースに設定すると100km/hまで逆位相をキープする。

さらに、フロント荷重を最適な状態にコントロールするというダブルアクシスストラットを採用すると同時に、RSデフと称するトルクベクタリングを用いて、アンダーステア軽減を狙う。

一方、乗り心地を快適にする工夫も忘れていない。4輪のダンパーの内側にハイドローリックコンプレッションコントロール、すなわち小型のダンパーをビルトインし、ダンパーがフルストロークしたときの衝撃を和らげ、同時にタイヤの接地性を上げる。ちなみにこのダンパー、日本のカヤバ製だという。

とまぁ、解説するべきことが多々あるクルマだが、このへんで走り出そう。アルカンターラ張りのフロントシートはサイドサポートが深く、しっかり身体をホールドするが、クッションが適度に柔らかいところがフランス車らしい。リアシートはとくに広い方ではないが、2人の大人が楽に座っていられる。

試乗の舞台は箱根、起点の大観山からタイトコーナーの続く芦ノ湖&箱根スカイラインに向かうが、印象的なのはやはりコーナリングだった。ドライブモードセレクトのRSドライブをまずはスポーツに設定、この状態だと4コントロールは60km/hで逆相から同相に切り替わるが、それでも実によく曲がる。

適度な手応えのステアリングを切り込むと、RSのノーズは即座に、しかも自然な感じで向きを変え、クルマ全体が素早くコーナリング態勢に入っていく。ステアリングはもともとクイックだが、4コントロールの後輪逆相操舵がそれをさらに強調し、なるほど並みのスポーツハッチとは違うぜ、という印象。

しかもそれでいて、ボディの動きはどっしり安定していて、まったく危なげがない。そこでRSドライブをレースモードに変更。そうすると4コントロールの逆相から同相への切り替わりポイントが100km/hに跳ね上がり、ESCの作動も解除される。と同時に、エンジンの反応が一段と鋭くなる。

と、RSの挙動はさらにクイックなものに変わり、ステアリングを切り込むと即座にコーナリングに移って、スポーツ状態にも増して素早くコーナーの連続を駆け抜けていく。それでも、フロントがアウトに膨らむ兆候は感じられず、意図的にスロットルを閉じない限り、テールがアウトに流れる気配もない。

さすがニュルブルクリンクのFWD=前輪駆動車最速を狙うクルマだけあって、安定感が半端ではないのだ。そこには電子制御RSデフ、セカンダリーダンパーを内蔵したカヤバ製ダンパー、245/35R19のBSポテンザS001、それにブレンボのキャリパーを備えるブレーキなども、大いに貢献しているはずだ。

もうひとつ際立っていたのが、それだけのコーナリングポテンシャルを与えられているにもかかわらず、乗り心地に粗さがないことだ。もちろんサスペンションは硬めだが、前記のダンパーの効果もあるのだろう、不整路面で強い突き上げを食らうこともなく、日常使用に充分耐えうる快適さを保っている。

一方、エンジンはパワフルで実用域から不足のないトルクを発生、レスポンスも素早く、7000rpmから始まるレッドゾーン入口まで一気に吹け上がるのも好ましい。と同時にスポーティに走る場合、ラリーカーのような固定式のパドルでマニュアル操作する6段DCTとの相性も良好ではある。

ただしこのエンジン、ドライバーのハートに突き刺さってくるような、官能的な刺激は持ち合わせていない。

ドライビングに熱くなれるクルマを求めるユーザーにとって、メガーヌRSに物足りないところがあるとすれば、そこではないかという気がした。が、エンジンにどこまで官能性を求めるかには個人差があるので、現状で充分刺激的と感じるドライバーもいるはずだ。

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