人気車種が高く売れるとは限らない
将来的に残価率の高いクルマを見極めるのは難しい。基本的には人気車が有利だが、数年後に売却する時に同じ型式の車種が大量に流通していると、中古車価格が値崩れを生じて高く売りにくくなる。
そうなると発売から4年以上を経過したクルマは、人気車でも高値で売れるとは限らない。仮に購入して3年後に売却しても、その車種の発売からは7年以上を経過している。同じ型式の中古車が大量に溜まっていたり、すでに次期型に切り換わって古くなっている可能性も高いからだ。
今回は3年後、残価設定率の高いであろうクルマを5車種挙げてみたい。
1)軽自動車:ホンダN-BOX
上述の点を考えると、軽自動車ではN-BOXが注目される。2017年に発売された設計の新しい車種で、緊急自動ブレーキと運転支援の機能は、軽自動車のなかではもっとも進んでいる。居住性や乗り心地も優れ、3~5年後でも価値は十分に高いだろう。
その一方で、今のホンダの国内販売はN-BOXに頼りきっているから、値引きなどの購入条件は相応に好転してきた。
また軽自動車の場合、薄利多売の商品だから、古くなっても20万円を超えるような値引き販売はできない。いい換えれば設計の古い車種はメリットが乏しいため、設計の新しい車種を選びたい。その意味でもN-BOXは推奨できる。
好条件なのは上級シリーズのカスタムで、購入後3年以内に手放すなら、標準ボディよりも明らかに有利だ。
2)コンパクトカー:トヨタ・ルーミー&タンク
5ナンバーサイズに収まるコンパクトカーは、全般的に設計が古くなった。ノートはe-POWERの追加によって売れ行きを伸ばしたが、ノート自体の発売は2012年。車両の基本設計という意味では、6年以上も前のクルマになる。
その意味で推奨されるのはトヨタルーミー&タンクだ。動力性能、安定性、乗り心地など走りに関しては不満を残すが、全高が1700mmを超えるボディによって車内は広い。後席を畳めば自転車なども積みやすく、後席側のドアはスライド式だから乗降性も良い。2列シートのコンパクトカーといったつくりのトヨタ車だから、売れ行きは好調だ。
しかも発売されたのは2016年だから、新型車とはいえないが、コンパクトカーのなかでは設計が新しい。従って有利な条件で売却できる。とくにフロントマスクの存在感が強いルーミーのカスタムを選びたい。
3)ハイブリッド:トヨタC-HRハイブリッド
ハイブリッドといえばトヨタ・プリウスが代表車種だが、現行型は人気が伸び悩む。そこでマイナーチェンジを実施してフロントマスクのデザインを変更したが、変わり映えが乏しい。4灯式LEDヘッドランプを装着するトヨタ・プリウスPHVと同様の顔つきにすべきだった。これでは改良版でも売却時の好条件は期待しにくい。
またコンパクトなトヨタ・アクアは2011年のデビューだから設計が古い。日産ノートe-POWERも同様だ。話題のハイブリッドには、意外に現実的な選択肢が乏しい。
そこで注目されるのがトヨタ・C-HRハイブリッドになる。発売は2016年12月で、今では約2年を経過するが、設計の古さは感じない。グレード構成を見直して購入しやすくなった。後方視界が劣悪だから縦列駐車などを試し、不都合を感じなければ選ぶ価値が高い。
4)ミニバン:日産セレナ
ミニバンは日本向けのカテゴリーとあって、フルモデルチェンジを行うサイクルが全般的に長い。いい換えれば基本設計の古いクルマが多く、トヨタ・エスティマは約13年、日産エルグランドも8年を経過した。その意味で、比較的人気が高く、設計も新しい車種が日産セレナだ。
とくに2018年に追加されたe-POWERは、低燃費でスムースな加速が得られ、技術的なイメージも高い。エアロパーツを備えたハイウェイスターで、プロパイロット装着車が有利な条件で売却できる。
5)セダン:トヨタ・クラウン
セダンは全般的に人気が低調だ。新型車は相応に発売されているが、海外向けの車種が目立つ。そのなかで注目されるのが、2018年に発売されたトヨタ・クラウンだ。高価格車だが、ブランド力はきわめて強い。現行型は従来型に比べてボディスタイルが大幅に変わり、ロイヤルサルーンを廃止するなど人気の面で心配な要素もあるが、トヨタ・クラウンだから注目度は高く売却時の条件も優れた部類に入る。直列4気筒2.5リッターのハイブリッドを搭載するRSを推奨したい。
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