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トヨタ新型「ライズ」とダイハツ新型「ロッキー」は大ヒットする? 国内市場を見据えた小型SUVの実力とは

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トヨタ新型「ライズ」とダイハツ新型「ロッキー」は大ヒットする? 国内市場を見据えた小型SUVの実力とは

■小さいけど存在感はスゴイ! ライズ&ロッキーはどんなクルマ?

 日本では小さなクルマが人気です。軽自動車は新車として売られるクルマの37%から39%を占めており、また、排気量が1リッターから1.5リッターのコンパクトカーも新車販売全体の25%前後に達します。

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 つまり、国内で売られるクルマの60%以上が、5ナンバーサイズに収まる小さなクルマです。

 その一方で、最近はSUVも人気です。SUVは大径タイヤの装着などによってボディの下側が力強く、最低地上高(路面とボディのもっとも低い部分との間隔)に余裕のある車種なら、悪路のデコボコも乗り越えやすいです。

 ボディの上側は5ドアハッチバックやワゴンに似た形状なので、居住性が優れ、荷物の積載性も良好です。SUVはカッコ良さと実用性を上手に両立させて、人気のカテゴリーになりました。

 その意味で注目されるのが、2019年11月に発売されたトヨタ「ライズ」とダイハツ「ロッキー」です。全長が4m以下に収まるコンパクトSUVで、エンジンは1リッター直列3気筒ターボを搭載します。

 開発と製造はダイハツが受け持ち、トヨタにはOEM車として供給されています。従ってロッキーとライズは、基本的には同じクルマです。

「コンパクトカー×SUV=ロッキー/ライズ」ですから、人気カテゴリーの方程式にピッタリでしょう。

 ボディサイズはコンパクトで、全長は3995mm、全幅は1695mm、全高は1620mmです。しかも外観が水平基調でボンネットも視野に入るため(最近はボンネットの見えないクルマが増えました)、ボディの四隅も分かりやすいです。荷室の左右に小さな縦長のウインドウが備わり、後方視界も良好です。

 最小回転半径は、前輪駆動の2WD、4WDともに、16インチタイヤ装着車が4.9mで17インチでも5.0mに収まります。コンパクトなボディと相まって、混雑した街中でも運転しやすいです。

 ボディは小さいですが、外観の存在感は強いです。フロントマスクは、ロッキー/ライズともに、グリルを大きくデザインしました。前輪駆動をベースにしたシティ派SUVでありながら、外観はオフロードモデル風です。野性的なトヨタ「RAV4」をコンパクトにしたような印象も受けます。

 全長が4mを下まわる割に、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2525mmと長く、4輪がボディの四隅に踏ん張る安定感が特徴です。ホイールベースが長いために、ボディがホイールから前後に張り出すオーバーハングは短く、悪路を走っても下まわりを擦りにくいです。この形状もSUVらしさを強めました。

 運転するとどうでしょうか。1リッター直列3気筒ターボは、自然吸気エンジンに置き換えると、1.5リッターと同等の性能を発揮します。排気量が1リッターと小さいこともあり、ターボのクセは少し強いです。2000回転から3000回転付近でアクセルペダルを緩く踏み増すと、少し時間を置いてから、加速力が強まります。

 また、アクセルペダルを深めに踏むと、3気筒を意識させる若干粗いエンジンノイズが響きます。購入するときは、このあたりを販売店の試乗車で確認するとよいでしょう。市街地を普通に走ってもチェックできます。

 峠道などでは、元気の良い走りを楽しめます。4000回転付近から速度上昇が活発になり、吹き上がりも良いです。車両重量は2WDが970kgから980kg、4WDは1040kgから1050kgと比較的軽いので、パワー不足を感じる機会は少ないでしょう。

 走行安定性は、ボディが軽いこともあり、全高が1600mmを超えるSUVとしては良好です。機敏に曲がる性格ではありませんが、反応の鈍さを感じさせず、ボディが唐突に傾くことがないから安心感も伴います。ハンドルを左右に切り返す場面でも、不安を感じません。

 気になったのは操舵感です。カーブを曲がっているときは、どのクルマでも直進状態に戻ろうとする力がハンドルに加わりますが、ロッキー&ライズはこのセルフ・アライニング・トルクが少し弱いです。急なカーブでハンドルをたくさん回したときなど、違和感が生じるかもしれません。

 乗り心地は低速域で少し硬く、速度が上昇するに連れて快適になりますが、16インチタイヤと17インチでも印象が少し異なります。

 16インチは柔軟な乗り心地ですが、細かな上下方向の揺れが持続する印象を受けました。17インチは少し硬めですが、引き締まり感が伴います。17インチは、少し機敏な操舵感も含めて、クルマ好きのユーザーに歓迎されそうです。

 電子制御式4WDは、185mmの最低地上高と相まって、雪道や悪路で本領を発揮します。また舗装されたカーブを曲がるときも、メリットを感じました。カーブを曲がりながら、少しずつアクセルペダルを踏み増すと、後輪にも駆動力が加わって前輪だけを駆動する2WDよりも安定性が優れています。

 また横滑り防止装置のスイッチを長く押してキャンセルさせると、前後輪にほぼ同程度の駆動力が伝わります。あえて空転させながら、強引に脱出するときなどの使い勝手を向上させるのです。

■ライズ/ロッキーはデザイン以外にも違う点が存在

 ライズ/ロッキーの内装もチェックしてみましょう。インパネなどの質感は、とくに高いわけではありませんが、不満も感じません。

 メーターは見やすく、エアコンのスイッチが高い位置に装着されて扱いやすいです。シフトレバーは前後方向に動かすタイプで、オーソドックスではありますが馴染みやすいです。

 前席は座り心地を含めて満足できますが、後席はユーザーによって少し狭く感じるでしょう。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシひとつ半くらいです。

 ホンダ「ヴェゼル」はライズ/ロッキーよりもボディが少し大きいですが、後席の膝先空間も握りコブシふたつ半です。ファミリーユーザーがライズ&ロッキーを買うときには、後席に注意が必要です。

 それでも、全長4.2mを超えるマツダのSUVに比べると、ライズ/ロッキーの後席は車格のわりに広く設定されています。後席の足元空間は「CX-30」と同程度で、「CX-3」よりも広いため、全長が4m以下のSUVとしては、空間効率が優れた部類に入るでしょう。床の位置は、最低地上高を十分に確保しながら低めに抑えたので、乗降性も良好です。

 ライズ/ロッキーのボディサイズは、トヨタ「ヴィッツ」やホンダ「フィット」と同程度で運転しやすく、SUVらしい外観や悪路走破力も備えています。最低地上高に余裕を持たせてSUVらしさが濃厚なので、駆動方式は4WDがオススメです。

 筆者(渡辺陽一郎)が推奨するライズ/ロッキーのグレードは、価格が安い順に、「ロッキー4WD X(208万6700円)」、「ライズ4WD G(213万3700円)」、「ロッキー4WD G(222万4200円)」、「ライズ4WD Z(228万2200円)」です。

 ライズとロッキーの両方に、「X」と「G」というグレードが設定されていますが、同じグレード名なのに、装備と価格は大きく違います。

 ロッキーXに近いのはライズGで、両車ともに衝突被害軽減ブレーキ(緊急自動ブレーキ)を作動させるスマートアシスト、TFTカラー液晶ディスプレイ、16インチアルミホイールなどを標準装着しています。

 上級グレードではロッキーGとライズZの装備が似ており、全車速追従型クルーズコントロール、LEDフォグランプなどが備わり、アルミホイールのサイズは17インチに拡大されます。

 いずれの組み合わせともに、ライズはロッキーに比べて5万円前後高めの設定です。ライズでは細かな装備が充実していますが、価格差に見合うほどの内容ではありません。つまり価格の割安感を競えばロッキーが勝ります。

 ただし値引きやローンの金利、残価設定ローンの残価率などによって損得勘定が逆転することもあるので、購入時にはライズとロッキーを商談して比べるとよいでしょう。

 またライズとロッキーは基本的に同じクルマですが、トヨタとダイハツではターゲットとなるユーザー層が違います。

 トヨタブランドのライズは、先代RAV4や「ヴォクシー&ノア」など、トヨタの小型/普通車からダウンサイジングするユーザーが多く想定されます。

 レンタカーなどの需要もあるため、最廉価のXは、スマートアシストなどを装着していません。装備を簡素化して、2WDの価格を唯一170万円以下に抑えました。

 一方のロッキーは、トヨタ製のOEM車を除くとダイハツブランドの最上級車種なので、軽自動車から上級移行するユーザーも視野に入れて開発しました。いまの軽自動車は内外装の質が高いので、ロッキーはさらに上質にしなければなりません。

 そこで、ライズには設定されないレザー調シート表皮などを備えた「プレミアム」という独自の最上級グレードがロッキーには用意されています(4WDの価格は242万2200円)。

 ライズとロッキーは、市場戦略に基づいて複数のグレードを用意しているのです。それだけ国内市場に力を入れたSUVともいえるでしょう。

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