独ポルシェAGは2024年1月25日(現地時間)、ブランド初のフル電動SUVとなる新型マカンターボとマカン4を発表した。
今回の全面改良で第2世代に移行するミッドサイズSUVのマカンは、パワートレインのフル電動化を果たすとともに、内外装の刷新や新しいオペレーティングシステムとAR技術によるポルシェドライバーエクスペリエンスの進化などを実施して、次世代SUVとしての新たな基準を打ち立てたことが特徴である。
第3世代の新型ポルシェ・パナメーラが日本での予約受注をスタート
最新のプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)に搭載する注目のパワートレインは、フロントとリアのアクスルに配する最新世代の永久励磁型PSM電気モーターと、アンダーボディに設置する総電力量100kWh(使用可能な電力量は最大95kWh)のリチウムイオンバッテリー、800Vの電動アーキテクチャーで構成。システム総出力はマカンターボが470kW(639ps)/1130Nm、マカン4が300kW(408ps)/650Nmを発生する。性能面では、マカンターボが0→100km/h加速3.3秒、最高速度260km/hを、マカン4が同5.1秒、220km/hを成し遂げた。
一方、充電については急速充電(DC)性能で最大270kWを確保。21分以内で10%から80%までの充電を完了する。また、400Vの充電ステーションではバッテリー内の高電圧スイッチにより400Vの2つのバッテリーに効果的に分割することでバンク充電が可能。これにより、HVブースターを追加することなく、効率的な最大135kWの充電を成し遂げた。家庭用充電器では、最大11kWのAC充電に対応している。さらに、走行中には電気モーターを介して最大240kWのエネルギーを回生。オンボードACチャージャー、高電圧ヒーター、DC/DCコンバーターの3つのコンポーネントを組み合わせたインテグレーテッドパワーボックス(IPB)も、軽量化と省スペース化を果たしながら電動化されたマカンの効率性に貢献する。肝心の航続距離については、欧州WLTPモードでマカンターボが最大591km、マカン4が最大613kmを実現した。
前後のモーターで構成する4WDは、パワーエレクトロニクスを介してほぼリアルタイムにコントロール。電子制御ポルシェトラクションマネージメント(ePTM)は、従来の4WDシステムの約5倍の速さで作動し、10ミリ秒以内にスリップに対応する。また、4WDの配分は選択されたドライビングプログラムによって制御。リアアクスルの電子制御式ディファレンシャルロックであるポルシェトルクベクトリングプラス(PTV Plus)も、トラクション、走行安定性、横方向のダイナミクスに貢献している。一方、シャシー面ではポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)電子制御ダンピングコントロールを組み込んだ専用セッティングのエアサスペンション仕様を設定。PASMには2バルブ技術を採用したダンパーも配備し、より広範なダンパーマップにより快適性とパフォーマンスの間の範囲を広げて、ドライビングプログラムの違いをさらに明確化する。また、マカンとしては初めて最大操舵角5度のリアアクスルステアリングをオプションで用意。市街地走行や駐車時に11.1mというコンパクトな回転径を実現するとともに、高速走行時の卓越した走行安定性を成し遂げた。
エクステリアに関しては、よりシャープなプロポーションとクーペのようなボディラインに、ポルシェデザインのDNAを高度に融合させて、ダイナミックかつ圧倒的な存在感を放つSUVスタイルを具現化したことがトピック。各部のデザインにもこだわり、フロントマスクは4灯のLEDデイタイムランニングライトを備えたフラットなアッパーライトユニットや、左右を膨らませたフェンダー、大きな開口部を配した厚みのあるバンパーなどを採用して、精悍で印象深い顔を演出。オプション設定のマトリックスLEDテクノロジーを採用したメインヘッドライトモジュールは、フロントエンドのやや低い位置に配置する。一方でサイドビューは、従来モデル比で86mm長い2893mmのホイールベースに短い前後のオーバーハング、流麗なルーフ造形、シャープなキャラクターラインと力強いショルダー部などによって、スポーティかつスタイリッシュなプロポーションを具現化。特徴的なサイドブレードを備えたフレームレスガラスタイプのドアを組み込んだことも、新型の訴求点である。シューズはマカンターボにスタッガードフィットメントの新造形22インチアルミホイールを、マカン4に21インチアルミホイールを装着した。そしてリアセクションは、ポルシェの特徴であるフライラインにフラットなリアウィンドウを配し、合わせて彫刻的な3Dライトストリップや新造形のバンパーおよびディフューザーを組み込んで、存在感あふれる後ろ姿を創出した。マカンターボについては、クレストなどに新メタリックカラーの「ターボナイト(Turbonite)」を採用している。
空力性能も重視し、アダプティブリアスポイラー、フロントエアインテークのアクティブクーリングフラップ、完全に密閉されたアンダーボディのフレキシブルカバーなどで構成するポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)を採用。さらに、ヘッドライトモジュール下にはエアカーテンを、リア部には横方向のティアオフエッジとルーバー付きディフューザーを配備して、空力効率を高める。空気抵抗係数(Cd値)は、クラストップレベルの0.25を実現した。ボディサイズは従来比で58~103mm長く、15mm幅広く、2mm低い全長4784×全幅1938×全高1622mmに設定。車重は2330~2405kgに仕立てている。
内包するインテリアは、ポルシェドライバーエクスペリエンスを新しいオペレーティングシステムやAR技術によって最大限に進化させたことが訴求点である。インパネには曲面デザインの12.6インチ自立型インストルメントクラスターと10.9インチセンターディスプレイを配した、最大3つの画面を備える最新世代のディスプレイと操作コンセプトを採用。また、オプションの10.9インチディスプレイを介して、走行中の助手席乗員によるインフォテインメントシステムの情報の閲覧、設定の調整、ビデオコンテンツのストリーミング再生を可能とする。さらに、AR(拡張現実)技術によるヘッドアップディスプレイも装備。ナビゲーションの矢印などの仮想エレメントは視覚的にシームレスに現実世界と統合され、87インチディスプレイのサイズに相当する画像がドライバーの10m前方に表示される。一方でインフォテインメントシステムについては、Android Automotive OSをベースに設定。標準装備のポルシェコミュニケーションマネジメント(PCM)はコンピューティング性能をアップデートし、たとえば“Hey Porsche”音声アシスタントは充電ステーションを含むルートを瞬時に提案する。また、新しいポルシェアプリセンターではサードパーティプロバイダーの人気アプリに直接アクセスし、マカンに直接インストールできる機能を加えた。
キャビン空間自体は、前2席が従来よりも28mm低く、後部座席は15mm低くなり、足元スペースが増加。また、コクピットの幅は一体化したブラックパネルによって強調され、合わせてセンターコンソールのせり上がるデザインによって、車高が低くパフォーマンス重視のポジションという印象を高める。さらに、大きなウィンドウが室内空間に明るさと開放感を付与。最新のデジタルユーザーインターフェースに加えて、吹き出し口やエアコンのスイッチ類など、アナログのコントロールエレメントも用意した。そして、コクピットとドアのトリムストリップにはLEDライトストリップを配し、アンビエント照明やコミュニケーションライトとして機能。状況に応じて、挨拶、充電プロセス、ドライバーアシスタンスシステムとの連携など、情報や警告も提供する。内装材の一部に環境に配慮した材料を使用した点も、新型マカンのアピールポイントである。
ラゲッジルームに関しては、電動化によってフロントにも設置し(呼称はフランク)、容量は84リットルを確保。一方でリアのラゲッジは後席使用時で540リットル、後席格納時で最大1348リットルを実現する。また、最大牽引性能は2000kgを成し遂げた。
なお、ポルシェ ジャパンは新型マカンの予約受注開始日および価格、仕様等を決まり次第、アナウンスすると予告。すでに“Macan Electric Model”と題した専用サイトを開設し、「マカンターボ エレクトリック(Macan Turbo Electric)」と「マカン4 エレクトリック(Macan4 Electric)」を価格未定で掲載しているので、それほど遠くない時期に日本での予約受注も始まると思われる。
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