■実際「ほとんど」やってない? 踏切通過時の窓開け
教習所では、踏切を通る時に窓を開けるよう指導されますが、実際には踏切でわざわざ窓を開けているクルマは少ないようです。
踏切で窓を開けるのはどういう理由なのでしょうか。また、踏切通過時に窓を開けないと違反になってしまうのでしょうか。
運転免許を取得するために教習所に通った人も多いでしょう。教習所での指導内容は「指定自動車教習所の教習の標準」によって統一され、その中には「踏切の通過」が含まれています。
教習や仮免試験を受けるコースにも踏切が設けられ、通過方法について教習を受けます。
この時に習うのが、踏切の手前では一時停止すること、左右を目視して列車が接近していないか確認すること、そして窓を開けて警報音や列車の近づく音などを耳で聞いて確認することです。
一方で、踏切の通過方法について道路交通法第33条では次のように定められています。
「車両等は、踏切を通過しようとするときは、踏切の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない。ただし、信号機の表示する信号に従うときは、踏切の直前で停止しないで進行することができる。」
つまり、法的には踏切の直前で一時停止して安全確認することは必要ですが、窓を開けて音を聞くことまでは求められていません。
そのため、踏切で一時停止しなかった場合には「踏切不停止等違反」として違反点数2点、反則金は普通車の場合9000円の交通違反となることがありますが、窓を開けなかったからといって交通違反にはなりません。
ただし、実は安全のためには窓を開けて音を確認することは重要なのです。
一般的に、踏切を通行しようとするときは、踏切の手前で一時停止して、警報機が鳴っておらず遮断機が上がっていることを確認できれば、そのまま通行するという人が多いのではないでしょうか。
しかし、遮断機や警報機は列車の通過とシステムで制御されていますが、システムの不具合や踏切の老朽化、電気的トラブルなど様々な要因によって、遮断機が正常に作動しないことがあります。
2024年2月、南海電鉄の岸里玉出駅(大阪市西成区)付近の踏切で、列車が通過しているにも関わらず遮断機が上がり、踏切内に進入してきたクルマと接触するという事故がありました。
この事故ではケガ人は発生しませんでしたが、大きな被害が出る恐れもある危険な事故でした。
こうしたケースの場合、左右の見通しが良ければ防げた可能性があるものの、見通しの悪い踏切では、目視で確認するだけでは不十分ということがあります。
窓を開けなくても、列車の走行音が聞こえる場合もありますが、近年のクルマは気密性や静音性が高まっていることや、カーオーディオの使用によって外の音が聞こえにくくなっていることも考えられます。
列車はクルマ以上に急に止まることができないため、クルマのドライバーが遮断機や警報機だけでなく、実際の列車の接近を目視や音で確認することが大切になるのです。
列車との接触は、クルマ側の被害が大きくなる傾向があるだけでなく、列車の脱線など大きな事故に発展する恐れもあるため、踏切の手前では必ず一時停止をした上で、目視での左右確認と窓を開けて音を聞くという3つの手順が大切です。
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みんなのコメント
その条件下では、やはり窓を開ける必要があったのでしょう。