現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 一億総リアスポ装着時代が到来!? 驚きのリアスポイラーの世界

ここから本文です

一億総リアスポ装着時代が到来!? 驚きのリアスポイラーの世界

掲載 83
一億総リアスポ装着時代が到来!? 驚きのリアスポイラーの世界

 かつてはスポーツモデルの象徴だったリアスポイラーが、現在では形を変えたり、小型化したりして、セダンやSUVなどでもボディ後端に羽が付いているモデルが増えた。

 本来、ハイスピード領域でなければ(空力調整の)意味をなさないと思われる装備だが、これらのスポイラーはいったい何のためにあるのか、考察していきたい。

一億総リアスポ装着時代が到来!? 驚きのリアスポイラーの世界

文/フォッケウルフ
写真/ホンダ、トヨタ、スバル、日産

■エアロパーツの目的と印象的だったスポイラー

 エアロパーツといえば、かつてはスポーツカーのような走行性能を重視したクルマにとっての必須アイテムとされてきた。エアロパーツには、[1]空気の流れを整えて空気抵抗の軽減を図る。[2]揚力を抑えて操縦安定性を高める。[3]冷却性能を向上させる。[4]デザイン的なアクセントをプラスする、といった役割がある。

 エアロパーツは車両のフロントや、サイド、リアなどに装着され、それぞれの部位で効果をもたらすわけだが、今どきはスポーツカーほどに走行性能が求められない車種でも装着されることが増えた。

 言わずもがな、自動車メーカーが純正アイテムとして採用しているわけだから、開発時から先述したような何かしらの効果を狙っていると考えられる。そもそもクルマに装着されているパーツは、そのほとんどがなにかしらの機能を有しており、それらすべてのパーツが連携することで、車両としての性能が発揮されたり、キャラクターが作り上げられている。

 過去に人々を驚かせた”キャラの濃かった”リアスポイラーといえば(笑)、まずは1993年登場の先代型スープラの姿が浮かぶ。抑揚のあるダイナマイトボディに、まるでドアの取手のような巨大なスポイラーをまとった姿は非常にインパクトがあり、ある意味、曲線版のフェラーリF40のような趣があった。

80型スープラはリアスポありきのデザインに見える。リアスポイラーレスのグレードもあったが、どこか中途半端な感じ?

 スポーツカー以外では、1997年のステージアRSなども思い出深い。オーテック仕様のモデルとはいえ、大型ステーションワゴンでありながらルーフの後端にウイングを付けた姿はかなり戦闘的な印象だった。

 戦闘的といえば、ミニバンなのに1999年の初代ステップワゴンに設定されていたものは、ルーフサイドガーニッシュと一体化しており、まるで変形ロボットの一部のようで穏やかなイメージのミニバンらしからぬ装備だった。まだ当時はミニバンブームも始まったばかりで、メーカーとしても模索していたのかもしれない。

 リアスポイラーの独特さという意味では、やはりスポーツカーになってしまうが、初代NSXにとどめを刺される。大きめのリアスポが付いてるどころか、もはやスポイラーがボディと一部と化しているあの形状には、世界中のスポーツカーの開発者が強い衝撃を受けたに違いない。

NSXの場合、リアスポイラーというかもはやボディの一部。ボディ全体がスポイラーになっていると言ってもいいかもしれない

■主張を抑えた高級車のリアスポの意味

 クルマが走行している時は、ボディに沿ってフロントからリアに向けて空気が流れていく。これが、クルマの後端やルーフから離れていく際に、回転する力を持った空気の「渦」を生み出す。

 この渦が気流の乱れや、クルマを進行方向と反対方向に引っ張る力、いわゆる負圧を生み、速度を低下させたり、風切り音などの不快なノイズの原因になったり、燃費性能や操縦安定性に影響を及ぼすことになる。

 こうした空気の乱れを整えるのが、リアスポイラーの役割だが、昨今は「それで効果が得られるの?」と思わせるような、さりげなさ過ぎる造形ながら、スポイラーとしての効果をもたらすものがある。

 たとえば、トランクの後端がスポイラーと融合したような造形となっているものだ。先ごろ発表されたトヨタの新型クラウン(クロスオーバー)やMIRAI、レクサスLS、ESといった、美しさとか優雅さを押し出した高級車には、こうした造形が用いられることが多い。

よーく見てみて欲しい。ルーフの後端が若干盛り上がっているのがわかるだろうか。空力に効く形状なのだろうかそれとも……

 おそらく、フォルムの美しさや全体の統一感を演出するうえでは、たとえサイズが小さくて主張を抑えたリアスポイラーであっても異物感を抱かせる。それを鑑みて採用しているのだろう。そもそも過度にスポーティさを演出する必要もないし、なにより高級車なので、こうした造形にするための手間とコストをかけられる。

■最新スポーツのリアスポはデザイン性も重視

 完全にトランクと融合しているわけではないが、さりげないデザインでありながら空力性能を追求しているのが、トヨタGR86とスバルBRZだ。両車に採用されたダックテールスポイラーは、機能はもとより、リアエンドのデザイン性も巧みに表現し、リヤスタイルに独特の個性をアピールしている。

BRZのリアスポイラー、やはりちょっとだけせり上がっているだけだが、ちゃんと別パーツになっているということは交換も考えられているのだろうか?

 もちろん、性能に関しても申し分なく、ルーフから流れてくる空気を車体の後方へ効率的に流す形状とすることで車体底面の空気が吸い出され、ダウンフォースを生み出し、車両を安定させる効果をもたらすという。

 本来、スポーツカーであれば、パフォーマンスの高さをアピールするべく、大きめのスポイラー、あるいはウイングを装着するのが定石だが、GR86とBRZはあえてそれをせず、外装全体で空気の流れをコントロールすることで空力性能を追求。

 スポーツカーのリアスポイラーとしては主張がやや抑え気味だが、機能に裏付けられた意味のある造形だと言えるだろう。先代型と同じく、スポーツカー文化の復権を狙って若いユーザー層にアピールしたクルマではあるが、大人が乗るにしても好感が持てるデザインになっているのもポイントが高い。

 リアスポイラーを含め、エアロパーツはクルマにスポーティな雰囲気を演出するアイテムとして認識されている。しかし、走行性能の向上にも確かな効果をもたらすというのが、さまざまな車で採用されている最たる理由である。

 形状は車種によってさまざまで、どんな造形がカッコいいかは主観の問題なので言及は避けるが、これみよがしに機能を主張するより、さりげなく、それでいてしっかりと効果を得られるというのが近年のトレンド。「デキる」感じがして、好印象なんじゃないだろうか。

こんな記事も読まれています

円急落、38年ぶり一時160円台後半、自動車株は全面安[新聞ウォッチ]
円急落、38年ぶり一時160円台後半、自動車株は全面安[新聞ウォッチ]
レスポンス
夏のカーエアコンで燃費が悪化! 「25度設定」が良い理由は? 押すと燃費が悪くなる“意外なスイッチ”とは?
夏のカーエアコンで燃費が悪化! 「25度設定」が良い理由は? 押すと燃費が悪くなる“意外なスイッチ”とは?
くるまのニュース
バイクのウインカーの謎! クルマみたいに自動で戻らないのはなぜ?
バイクのウインカーの謎! クルマみたいに自動で戻らないのはなぜ?
バイクのニュース
BYD『シール』、欧州ではEVモード80kmの電動SUV設定 9月発売
BYD『シール』、欧州ではEVモード80kmの電動SUV設定 9月発売
レスポンス
日々の暮らしに笑顔をもたらすニューモデル!ホンダ、三代目「フリード」を「エアー」と「クロスター」の2シリーズ構成で発売
日々の暮らしに笑顔をもたらすニューモデル!ホンダ、三代目「フリード」を「エアー」と「クロスター」の2シリーズ構成で発売
LE VOLANT CARSMEET WEB
フェルスタッペン、2025年のレッドブル残留を明言「すでに来年のマシン開発にも取り組んでいる」
フェルスタッペン、2025年のレッドブル残留を明言「すでに来年のマシン開発にも取り組んでいる」
motorsport.com 日本版
ヤマハとJAF、電動ゴルフカートで「移動支援」と「地域活性化」へ 広がる低速モビリティの輪
ヤマハとJAF、電動ゴルフカートで「移動支援」と「地域活性化」へ 広がる低速モビリティの輪
レスポンス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「池田直渡の着眼大局セミナー」第4回 ティアフォーにおける自動運転事業と開発の現場
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「池田直渡の着眼大局セミナー」第4回 ティアフォーにおける自動運転事業と開発の現場
レスポンス
5速MT搭載! 三菱が新型「軽トラック」を発表! ワイルドな「角張りボディ」採用した商用モデル「新型ミニキャブ」に反響続々!
5速MT搭載! 三菱が新型「軽トラック」を発表! ワイルドな「角張りボディ」採用した商用モデル「新型ミニキャブ」に反響続々!
くるまのニュース
日本を代表するハーレー・エンジニアと所ジョージさん 2人の深い関係を示す1台のカスタムバイク
日本を代表するハーレー・エンジニアと所ジョージさん 2人の深い関係を示す1台のカスタムバイク
バイクのニュース
【人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA】過去最高の389社が出展して開催 7月17-19日
【人とくるまのテクノロジー展2024 NAGOYA】過去最高の389社が出展して開催 7月17-19日
レスポンス
BYDの日本導入モデル第3弾で、“e-スポーツセダン”を謳う「シール(SEAL)」が発売
BYDの日本導入モデル第3弾で、“e-スポーツセダン”を謳う「シール(SEAL)」が発売
カー・アンド・ドライバー
ホンダ、新型フリード発売 8年ぶりフルモデルチェンジ 6グレード展開で価格は250~343万円
ホンダ、新型フリード発売 8年ぶりフルモデルチェンジ 6グレード展開で価格は250~343万円
日刊自動車新聞
スバルBRZを含め人気モデルがどんどん市場から消えていく・・・ スバルBRZの特別仕様車「ファイナルエディション」登場!
スバルBRZを含め人気モデルがどんどん市場から消えていく・・・ スバルBRZの特別仕様車「ファイナルエディション」登場!
AutoBild Japan
F1参戦250戦目。RBダニエル・リカルド、F1オーストリアGPに特別ヘルメットで挑む「状況を好転させたい」
F1参戦250戦目。RBダニエル・リカルド、F1オーストリアGPに特別ヘルメットで挑む「状況を好転させたい」
motorsport.com 日本版
福岡の大動脈「八木山バイパス」有料化へ秒読み!? 4車線化工事がNEXCOへ移管 2024年度中に「普通車280円」徴収開始へ
福岡の大動脈「八木山バイパス」有料化へ秒読み!? 4車線化工事がNEXCOへ移管 2024年度中に「普通車280円」徴収開始へ
くるまのニュース
トヨタのサブスク[KINTO]がARを使ったスマホアプリの新サービス開始 ほんとに使えるか実際に試してみた!
トヨタのサブスク[KINTO]がARを使ったスマホアプリの新サービス開始 ほんとに使えるか実際に試してみた!
ベストカーWeb
写真で見るニューモデル ホンダ「フリード」
写真で見るニューモデル ホンダ「フリード」
日刊自動車新聞

みんなのコメント

83件
  • 到来?
    また妄想?
  • 今は燃費至上なので大半は整流目的です。
    リアスポは一部だけどディフューザーは付いてない車のほうが少ないし。
    余分な重たいパーツ付けるデメリットより空気抵抗減らすほうがメリットあるんです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村