2019年1月、航続距離が100km伸びて500kmとなる日産リーフのハイパフォーマンス版が発表されるもようです。
となると、航続距離400kmの標準グレードのリーフを手放す人も増えてきて、中古車市場の流通量が増えることが予想されます。
変わった!? それとも変わってない!? ベスト&ワースト マイナーチェンジ【2018】
中古のEVとなれば、やはり一番気になるのは、携帯電話のバッテリーと同じように、バッテリーの劣化です。
さらに下取り価格が安くなっていないのかも心配です。ハイブリッド車と比べてどうなのでしょうか? そうした中古EV事情をモータージャーナリストの萩原文博氏が解説します。
文/萩原文博
写真/ベストカー編集部
■中古EVは、今が買い時と言えるのか?
2代目となる現行型の日産リーフが、登場して1年が経過した。2019年1月には航続距離が500kmとなるハイパフォーマンス版が登場する予定になっている。
また国産車だけでなく、輸入車の電動化が進み、2018年はジャガーからピュアEV(電気自動車)のジャガーI-PACEが登場。2019年にはアウディe-tronが登場する予定といわれている。
ピュアEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)が増加すると、気になるのが急速充電器だが、高速道路のSA/PAをはじめ、日産、三菱の自動車ディーラー。そしてコンビニの駐車場などにも設置され、現在充電スタンド数は普通充電器が約1万4900カ所。急速が約7500カ所とかなり普及しており、不便を感じるシーンは少なくなっている。
さらにさまざまなサイトでは急速充電器の出力まで掲載されているので、EVのインフラはかなり充実しているように感じる。
それでは、もうEVは買いだ!と言ってもいいのだろうか。今回はインフラが普及したEVを買うべきか、まだ買わないほうがいいのかを改めて検証してみたいと思う。
■ハイブリッド車は走行距離が少ない=中古車価格が高いということはない!
まず、リーフをはじめとしたEVを購入するときに気になるのが、搭載しているシステムバッテリーの劣化だ。
以前、筆者は同様にバッテリーを搭載しているハイブリッド車の中古車について、中古車業界の人に話を聞いたことがあるので、まずこの点から触れたい。
現在、中古車流通の中心となっているのがオークションである。そのオークション会場で、年式は進んでいるものの走行距離の非常に少ない(例えば、2回目の車検サイクルの5年落ちで走行距離が1万km程度)プリウスやアクアといったハイブリッド車が入札されず余っているという現象があるのだ。
これまでのガソリン車なら、年式が進んでいるにもかかわらず、走行距離が少ないと高品質車として、価格が高くなる傾向がある。
しかし、ハイブリッド車では様相が異なっている。その理由はバッテリーだ。年式が進んでいるにも関わらず走行距離が少ないということはハイブリッドシステムのバッテリーが放電させてしまっているケースが多いということになる。
これはやはりハイブリッドシステムにとっても決してよいことではないし、どのような影響があるのか分からないので、販売店は手を出しづらいということになるそうだ。
■仕入れたEVを自分のところでは整備できない中古車販売店
中古車販売店はオークションで仕入れたクルマをメンテナンスして、店頭に並べて販売する。しかし、電子化が進み、専用の機器が必要なハイブリッド車は自分のところでメンテナンスすることもできず、販売したクルマで万が一トラブルが起きても自分のところでは何もすることができない。
そういった理由でハイブリッド車の低走行中古車は販売店が避ける傾向にあるのだ。
このことを踏まえれば、モーターだけで走行するリーフとはじめとしてEVはハイブリッド車以上に整備や点検を自社で行うのが難しくなり、メーカー販売店に頼らざる終えなくなるのだ。
最近の中古車販売店は価格帯にもよるが、100万~200万円という価格帯では、だいたい1台の利益は数万円程度という薄利多売のビジネスになっている。
■ガソリン車、HV、EVの1年落ち、3年落ち、5年落ちの残価率を徹底調査!
そんなビジネスでわざわざ、ディーラーに持ち込んで整備をして、自分たちの利益を削る人がそんなにいるのだろうか。決して多くはないはずだ。それを証明するのが、次の表組だ。
この表組は、フィットやノートの一般的なガソリン車をはじめ、ハイブリッド車で人気のアクア、プリウスの新車からの残価率を実際に販売されている中古車物件から算出したものである。抽出条件は走行距離が年間1万km、修復歴なしの2点。
まず、基準となるコンパクトカーの人気モデル、ホンダフィットで残価率の推移を見てみよう。フィット13G Fパッケージは新車価格が142万円。1年落ちで80.8~95.6%(114.8万~135.8万円)、3年落ちで66~76.1%(93.8万~108万円)、5年落ちで52.6~62%(74.7万~88.0万円)となっており、まさに人気の高いクルマらしい高い残価率をキープしている。
※フィットの中古車はこちら!
一方の日産ノートのガソリン車は1年落ちで73.4~79.1%(129.8万~139.8万円)、3年落ちで54.2%(95.9万円)、5年落ちで33.8~38.4%(59.8万~68.0万円)と、この残価率の推移がベンチマークとなる数字。これ以上ならば残価率が高い=人気車。数字がこれ以下になると、残価率が低い=不人気車ということができる。
ノートをコンパクトカー販売台数ナンバー1に押し上げた原動力となったe-POWER。標準グレードのXで見てみると、新車価格202万1760円から、1年落ちで69.1~88.9%(139.9万~179.8万円)と1台が70%を切っているものの、上限は88.9%で残価率が高く、人気が高いことがわかる。
※ノートの中古車はこちら!
さらにハイブリッドコンパクトカーのアクア。1年落ちは、ほぼフィットと同じ、79.3~97.8%(149.8万~184.6万円)だが、3年落ちでは43.9~72.6%(82.9万~137万円)、5年落ちでは36.9~62.9%(69.8万~118.8万円)と年式が進むに連れて残価率の幅が拡大していく。
※アクアの中古車はこちら!
これはやはり、ハイブリッド車特有のコンディションに不安があるということの表れではないだろうか。
■中古リーフの残価率は?
それでは、本命のEVの中古車の残価率を見てみたい。まずは日産リーフ。昨年登場した現行型リーフは最も流通台数の多いGグレードで残価率を算出した。
そうすると、1年落ちの2017年式で67.1~79.1%(267.8万~315.9万円)とベンチマークとしたノートのガソリン車を下回っている。
※現行リーフの中古車はこちら!
続いて2010年10月に登場した初代リーフ。こちらの2017年式はXの30kWh。2013年式は24kWhで残価率を算出した。それは条件に合うクルマが非常に少ないからだ。
初代リーフの2017年式の残価率はほぼノートのガソリン車と同じ水準にとどまっているが、5年落ちの2013年式となると、わずか32.7%(113.4万円)と水準を下回る結果となった。
ここで初代リーフの歴史をおさらいしておこう。初代リーフは2010年12月にデビュー。当初は109ps/28.6kgmのモーターに24kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は200kmだった。
2012年11月のマイナーチェンジでモーターが109psの最高出力は変わらないものの、最大トルクが25.9kgmにダウンしたものの、航続距離は228kmに伸びた。
発売当初は随所にコストダウンの跡が見られたが、このマイナーチェンジで80kg軽量化とともに、サスペンションや電動パワーステアリングのセッティングが見直されている。また廉価グレードのSが追加され、ラゲッジ容量が330Lから370Lに増えた。
さらに2015年12月に行われたマイナーチェンジではバッテリー容量が30kWh、航続距離が280kmのモデルが追加されている。
初代リーフの中古車価格をさらに深掘りしていくと、2012年11月~2015年11月までのいわゆる中期モデルは30万円台~90万円。2012年11月~2015年11月までの中期モデルは60万~180万円、2015年12月~2017年9月までの後期モデルは110万~200万円(30kWh)。価格の幅が大きいのは後述するが、やはりバッテリーの状態。安いからといってうかつに手を出してはいけないのだ。
※初代リーフの中古車はこちら![usedcar-search carname="リーフ" limit="2"]
■BMW i3とテスラの中古車価格は?
続いて輸入車を見てみたい。まだ輸入車の中古EVはBMW i3が40台、テスラモデルSが20台と流通台数が少ないため、参考程度と考えてほしい。
BMW i3レンジエクステンダーは1年落ちの2017年式で60.2%(329万円)、3年落ちの2015年式では49%(267.8万円)。
そして1227万円のテスラモデルS100Dは、1年落ちで80.9%(993万円)。テスラモデルSの1年落ちは平均水準級といえるが、BMW i3は大幅に下回っている。こうした数字から考えられるのは、中古EVはまだ人気がなく、価格は割安ということがわかる。
※BMW i3の中古車はこちら!
※テスラの中古車はこちら!
■EVは中古車で購入したほうがお得なのか?
今回、調査した結果、EVは中古車価格や下取り価格が安く、中古車購入においても不安が残ることがわかった。
新車でEVを購入して手放すと驚くような安い買い取り価格が提示される可能性も高いため、新車でEVを購入した人は乗り潰す気持ちで所有しつづけるほうがよいだろう。
EVを新車で購入するときは、国や自治体の補助金の交付を受けることができる。これをCEV補助金と言われるのだが、その金額はリーフやテスラで40万円。BMW i3は39万円。VW e−ゴルフは約30万円となっている。
しかし、この補助金を交付されると、一定期間保有しなければならない義務が発生するのだ。
一般社団法人次世代自動車振興センターのホームページによると、補助金を受けて取得したクリーンエネルギー自動車は、原則として、定められた期間(3年ないし4年)は保有することが義務づけられます、と書かれている。
しかも、無断で売却できないように、定期的に補助金を交付した車両の保有状況を調査するとも書かれているのである。
すなわち、補助金でEVを購入すると、簡単には手放すことができなくなるということだ。もし、手放す場合は次世代自動車振興センターに届けを出して、補助金を返納しないといけなくなるというのだ。
しかし、EVを中古車で購入する場合は、こうした補助金を利用することはないので、購入して、もし満足できない場合は簡単に手放すこともできるので、まずEVを試すのならば、中古車のほうが得策かもしれない。
■中古EVで気になるのはバッテリーの寿命!
中古EVにとって、最も気になるのがバッテリーの劣化だろう。現行リーフのバッテリーの寿命は、8年/16万kmの容量保証を行っている。これはその期間内に明確なバッテリーの劣化が見られれば新品バッテリーへと交換するもの。
それならば、幾分か安心感はありそうだ。もちろんその保証期間をすぎれば基本的にバッテリー交換は有料になる。
バッテリーの寿命は、充電の仕方や使う頻度によって変わるといわれている。やはり、急速充電を頻繁に使用しているバッテリーよりは家庭用200Vで充電しているバッテリーのほうが寿命は長いといわれている。
さらに週末に買い物程度しか乗られていないクルマより、毎日乗られて充電されているバッテリーのほうがコンディションはよいとされている。
しかし残念ながら、店頭に並んでいる中古EVは、前オーナーがどのように充電していたかはわからない。このポイントが中古EVの難しいところといえる。
リーフの場合、システムバッテリーは12個のバッテリーの集合体となっており、ディーラー系販売店が扱っている中古車に関しては、バッテリーの容量がチェックされている。
これが9個になると、走行距離は半分にまで落ち込むと言われている。その際、バッテリーの交換料金は新品で60万円必要となる。
オーナーの声では、10万kmを超えてもまったくバッテリーに問題はないという書き込みが多く見られるが、やはり内燃機関以上にEVは充電方法や使用頻度によってバッテリーの性能差は大きいと考えられる。
結論としては、中古EVは価格の安さが魅力だが、その反面、バッテリーの劣化に不安が残るのでバッテリーの劣化が起きていないか、チェックすることが必要。ディーラー系販売店で、しっかりメンテナンスを受けたクルマを選びたい。
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