現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ポルシェマニアが最後に行き着く!? 「911スピードスター」とは?

ここから本文です

ポルシェマニアが最後に行き着く!? 「911スピードスター」とは?

掲載 更新 23
ポルシェマニアが最後に行き着く!? 「911スピードスター」とは?

■北米向けに生まれたポルシェ「スピードスター」

 2020年7月に開催された「オープン・ロード・ザ・ヨーロピアン・サマー・オークション」で、オーガナイザーのRMサザビーズは驚くべきロットを実現してみせた。

数百万から数億円!? 『サーキットの狼』に登場のスーパーカーの値段は?

 それはポルシェ「911」のファンにとっては特別な響きを持つ、3つの世代の「スピードスター」を一堂に出品すること。オークショネアの価値は、いかに魅力的な出品物を揃えるかにあるかともいわれるが、その意味では彼らの仕事は超一流のオート・オークショネアといえる。

 まずはスピードスターというネーミングをポルシェが使った最初のモデル、1954年デビューの「356スピードスター」の解説から始めよう。いわば簡単な歴史の復習だ。

 ポルシェにとって1950年代から、そのもっとも大きな、そして重要な市場は、現在もそうであるようにアメリカ合衆国である。当時の「356」はアメリカン・スポーツよりもコンパクトでパフォーマンスに優れ、レースでも常勝マシンとして高い評価を得ていたから、さらに高性能なモデルを望むカスタマーからの声は常に大きなものだった。

 そこでポルシェが用意したのが、レース向けの軽量モデルであり、また街中では人の目を魅了する魅力的なスタイルを持つモデルだった。

 これまでのモデルより低くデザインされたフロントウインドウ、はめ込み式のサイドウインドウ、オプションのハンドクラフト製ソフトトップ等々で、カブリオレ比70kgの軽量化を実現したニューモデルには、「スピードスター」の名が与えられた。

 リアには最高出力55psの1.5リッター水平対向4気筒エンジンが搭載された。

 1957年まで生産が継続された356スピードスターは、トータルで4854台が生産された。それらはもちろんポルシェのファンにとって貴重なコレクターズアイテムとなっている。

 そしてこのスピードスターの名前が復活したのは、実に1980年代を迎えてからのことになる。

■3世代の「911スピードスター」、気になる落札価格は?

 1987年のIAA(フランクフルト・ショー)に出品されたコンセプトカー、「911スピードスター・クラブスポーツ・スタディ」で、スピードスターの名前が復活した。このコンセプトカーは、フロントウインドウすら装備されない1シーターモデルだった。

 そしてその1年後、ポルシェは当時の930型911をベースに、プロダクション仕様の「911カレラ3.2スピードスター」を発表。当時のカブリオレと比較しても、その車高の低さが印象的なモデルだが、実際にスペックを比較するとスピードスターはカブリオレ比で80mmも車高が低い。

 1988年から1989年までの間に販売された911カレラ3.2スピードスターは、RMサザビーズの調べでは2104台となっている。出品車はそのうち139台しか存在しない右ハンドル仕様で、当初のデリバリー先であるイギリスに輸出されたのは、わずかに64台と記録されている。

 またこの世代のスピードスターには、ダイナミックな前後フェンダーを持つターボルックと、エレガントなナローボディーがあるが、後者はわずか171台。出品車は1989年式のターボルックだ。

 それに続く2代目の911スピードスターは、1992年に誕生した「911カレラ2スピードスター」。いわゆる964世代の911をベースに開発されたモデルである。

 964型911でのメカニズム上の大きな話題は、AWD機構を持つカレラ4と、ティプトロニックの初採用だが、純粋に走りを楽しむスピードスターには、軽量化のためそのAWDは採用されてはいない。

 デビューは1992年。空冷時代最後のスピードスターとして970台が生産されたが、残念ながら今回は姿を現さなかった。

 2010年のパリ・サロンで、第4世代のスピードスターが正式に発表される。ベースはもちろん997型911。生産は2010年から2011年にかけておこなわれ、わずかに356台が生産されたにすぎない。

 リアに搭載されたエンジンは、最高出力で408psを発揮する3.8リッター水平対向6気筒自然吸気エンジンである。コンパクトなフロントウインドウとキャビン背後のダブルバブルのトノカバーは、もはやこの時代にはスピードスターに欠かすことのできないキャラクターとなった。

 出品車は新車から、わずかに1100kmを走行したのみのモデル。356台中、303番目のシリアルナンバーが打刻されている。ブラックレザーのインテリアと、カレラホワイトのエクステリアの組み合わせも実に見事だ。

 最後に紹介するのは、先代911、すなわち991型911をベースとするスピードスターである。スピードスターが、各世代の911のラストモデル的な役割を果たすことは、すでにこれまでの経験からファンにはお馴染みのスケジュールだったが、その正式発表が後継車の992型の誕生以後におこなわれたのはさすがに驚かされた次第だ。

 ベースを「GT3」とする最新のスピードスターは、4リッターの水平対向6気筒NAエンジンを搭載し、最高出力は502ps。最高速は310km/hに達するスーパーマシンだ。

 出品車はアルバートブルーのボディカラーを纏った、実にスポーティでエレガントな仕様。ちなみに全モデルの生産台数は、ポルシェ博士がオーストリアで最初にロードスターを作った年を祝して、1948台とされる。

●歴代スピードスターの落札価格は?

 それでは実際のオークションの結果はどうだったのか。事前にRMサザビーズが発表していた予想落札価格は、930型が10万-12万ユーロ(邦貨換算1230万円-1476万円)、997型が25万-30万ユーロ(同3075万円-3690万円)、991型は30万-38万ユーロ(同3690万円-4674万円)というものだったが、このなかで売買が成立したのは11万5500ユーロ(同1415万円)で落札された1988年式の930型911カレラ3.2スピードスターのみであった。

 997型が24万ユーロ、991型が28万ユーロあたりまで入札されたが、予想落札価格には達することができず、流札となっている。

こんな記事も読まれています

「岡山の環状道路」開通延期へ 24年度延伸を見直し 中国地方屈指の渋滞ポイント改善遠のく
「岡山の環状道路」開通延期へ 24年度延伸を見直し 中国地方屈指の渋滞ポイント改善遠のく
乗りものニュース
BMW『X3』新型のワールドプレミアは7月11日…グッドウッド2024で予定
BMW『X3』新型のワールドプレミアは7月11日…グッドウッド2024で予定
レスポンス
289万円!ホンダ新型「5ドアハッチバック」発表に反響多数!?「中々かっこいい」「こういうの売れそう」の声! スポーティな「RS」もある顔面変わった「シティ」マレーシアで予約開始
289万円!ホンダ新型「5ドアハッチバック」発表に反響多数!?「中々かっこいい」「こういうの売れそう」の声! スポーティな「RS」もある顔面変わった「シティ」マレーシアで予約開始
くるまのニュース
「R36誕生か!?」と話題沸騰! ウワサのスペシャル「GT-R」の実力とは? “R34風デザイン”の高性能車を生み出すワケあり企業の正体
「R36誕生か!?」と話題沸騰! ウワサのスペシャル「GT-R」の実力とは? “R34風デザイン”の高性能車を生み出すワケあり企業の正体
VAGUE
気軽に乗れちゃうハーレーって!? ハーレーダビッドソンの水冷パラレルツインエンジンを搭載した「X500」に、アクティブ女子の指出瑞貴が乗ってみました!
気軽に乗れちゃうハーレーって!? ハーレーダビッドソンの水冷パラレルツインエンジンを搭載した「X500」に、アクティブ女子の指出瑞貴が乗ってみました!
バイクのニュース
効果絶大ってマジ?! 見た目も変わんないけど…ドアスタビライザーで激変するってガチ? 
効果絶大ってマジ?! 見た目も変わんないけど…ドアスタビライザーで激変するってガチ? 
ベストカーWeb
【試乗】BYDの「真打ち」スポーツセダンが日本上陸! 激安「SEAL」の走りを徹底チェックした
【試乗】BYDの「真打ち」スポーツセダンが日本上陸! 激安「SEAL」の走りを徹底チェックした
WEB CARTOP
ベントレーの新型「コンチネンタルGTスピード」がデビュー! グランドツアラーの決定版を再定義
ベントレーの新型「コンチネンタルGTスピード」がデビュー! グランドツアラーの決定版を再定義
LE VOLANT CARSMEET WEB
【SHOEI】「X-Fifteen DAIJIRO」は加藤大治郎選手のレプリカモデル!カラフルなデザインで、2024年9月発売!   
【SHOEI】「X-Fifteen DAIJIRO」は加藤大治郎選手のレプリカモデル!カラフルなデザインで、2024年9月発売!   
モーサイ
「GT-Air3」シリーズに「NILE」が追加! エジプト文明がモチーフ!ちょっとダークにカッコよくデザイン  
「GT-Air3」シリーズに「NILE」が追加! エジプト文明がモチーフ!ちょっとダークにカッコよくデザイン  
モーサイ
バイク用ドラレコ「MiVue M802WD」が手頃な40,700円で発売開始!記録保全や耐候性、搭載性などは高性能!  
バイク用ドラレコ「MiVue M802WD」が手頃な40,700円で発売開始!記録保全や耐候性、搭載性などは高性能!  
モーサイ
フェルスタッペン、パワーユニット交換でグリッド降格の危機? カナダGPで問題のPU再使用不可か
フェルスタッペン、パワーユニット交換でグリッド降格の危機? カナダGPで問題のPU再使用不可か
motorsport.com 日本版
モータージャーナリスト修行中のZ世代クルマ好き女子がトムスの本物フォーミュラカー"FIA-F4"を初体験してきた件
モータージャーナリスト修行中のZ世代クルマ好き女子がトムスの本物フォーミュラカー"FIA-F4"を初体験してきた件
カー・アンド・ドライバー
【宮田莉朋F2密着】無線で黒白旗を伝えられず。ペナルティで表彰台を逃した土曜日/第6戦レビュー前編
【宮田莉朋F2密着】無線で黒白旗を伝えられず。ペナルティで表彰台を逃した土曜日/第6戦レビュー前編
AUTOSPORT web
リカルド15位「新パッケージには足りないものがある」:RB/F1第10戦決勝
リカルド15位「新パッケージには足りないものがある」:RB/F1第10戦決勝
AUTOSPORT web
全長4.1m級の日産「超“コンパクト”GT-R」!? 600馬力の「V6ツインターボ」搭載! 5000万円超えで「市販化」しちゃったヤバすぎモデルとは
全長4.1m級の日産「超“コンパクト”GT-R」!? 600馬力の「V6ツインターボ」搭載! 5000万円超えで「市販化」しちゃったヤバすぎモデルとは
くるまのニュース
495万円からの衝撃、BYDがEVスポーツセダン『シール』日本発売 航続640km、テスラ標的に
495万円からの衝撃、BYDがEVスポーツセダン『シール』日本発売 航続640km、テスラ標的に
レスポンス
1000台限定・導入記念特別価格を見逃すな!「BYDシール」日本での正規販売開始、”e-スポーツセダン”ジャンル確立を目指す
1000台限定・導入記念特別価格を見逃すな!「BYDシール」日本での正規販売開始、”e-スポーツセダン”ジャンル確立を目指す
LE VOLANT CARSMEET WEB

みんなのコメント

23件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1943.02614.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

315.03780.0万円

中古車を検索
911 カブリオレの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1943.02614.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

315.03780.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村