ホンダが6日にマイナーチェンジを実施した「グレイス」。今回の改良では、内外装デザインの変更に加え、安全装備の充実や燃費向上が図られた。そこで新しくなったグレイスの立ち位置を、同クラスのライバル車と比較しながら探ってみたい。
グレイスは、5ナンバーサイズのコンパクトなボディに、1.5リッターハイブリッドまたは1.5リッターガソリンエンジンを搭載した3ボックスセダン。価格帯は176万9040円~256万9320円で、ライバルには「トヨタ カローラアクシオ」を筆頭に、サイズはやや異なるがプレミオやアリオンの1.5リッターモデルあたりが入ってくる。
このクラスでセダンを選ぶユーザーが、クルマに期待するのは、ベーシック+αの付加価値だろう。存在感あるスタイリングや快適装備、装備の充実ぶりが十分な得点に達しているかが重要だ。
■“新しさ”を強くアピールするスタイリング
そうした視点でグレイスを眺めると、今回のマイナーチェンジでスタイリングを大きく変えてきた点はポイントが高い。グレイスは従来も上質感があると評判だったが、デビューから2年半での今回のマイナーチェンジでは、フロントグリルやヘッドライトの意匠に手を入れたことで新しくなったことがわかるレベルまでスタイリングを変えてきた。その点では、カローラアクシオは前回のスタイリングを刷新したマイナーチェンジから2年3ヶ月、プレミオ/アリオンの場合は丸1年が経っており、グレイスは“新しさ”を強くアピールするスタイリングがこれからこのクラスのセダンの購入を検討しているユーザーに対してひとつの訴求ポイントとなるだろう。
■Apple CarPlay対応とホンダセンシングの搭載がグレイスの武器
今回のグレイスの改良の目玉は、装備の充実だ。目玉のひとつは「ホンダセンシング」の搭載。従来も自動ブレーキを備えたシティブレーキアクティブシステム(低速域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能)を設定していたが、新たに歩行者との衝突予防を支援するステアリング制御などが加わったホンダセンシングへと進化。この衝突を回避するステアリング制御機能は、カローラアクシオやプレミオ/アリオンには備わっていない。
もうひとつの注目装備がApple CarPlayへの対応だ。これはスマートフォンの音楽再生や充電といった従来の機能よりも、さらにスマートフォンとの連携を深められるもの。もちろん独自の充実した機能を持つホンダ インターナビ+リンクアップフリーといった機能に加えて使うことができる。iPhoneなどでのメッセージのやりとりが多い場合や、ガジェット好きの家族とクルマを共用する場合など、なにかとメリットが大きいだろう。
■燃費の向上幅はミニマム
さて次に燃費についてだが、今回のグレイスの改良ではパワートレインの改善も行われ、ハイブリッド車は34.8km/L(ハイブリッドDX/ハイブリッドLX・FF車)を達成した。これは従来モデル比では+0.4km/Lの向上でマイナーチェンジとしては納得のレベルだが、伸び幅はそれほど大きくない。その理由のひとつとして考えられるのは、最大のライバルであるカローラアクシオ・ハイブリッドの燃費が33.8km/Lで、従来よりその数値を上回っていたから。なお、ガソリン車の方も今回のマイナーチェンジで従来の21.8km/Lから22.0km/L(FF車)へと0.2km/L向上した。
グレイスの価格は176万9040円~256万9320円で、アクシオのビジネス向けモデルを除いた価格(158万4655円~220万7127円)や、プレミオ(190万8655円~268万6255円)、アリオン(189万7855円~267万5455円)などと競合する。
安全装備やインフォテインメントシステムを中心に機能を充実させたグレイスの今回のマイナーチェンジは、より幅広い層に魅力をアピールできる商品改良といえそうだ。
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