LAショー初日のプレスカンファレンスで、次のスケジュールを気にしつつ確認しただけでは理解ができなかった新型マツダ3のエクステリアデザイン。正直、多少の懐疑的な気持ちを携えながら、カースタイリング誌編集長の松永は、納得ゆく答えを得るためにデザイン部門の重役とチーフデザイナーに直撃インタビューを敢行!そして、その答えはオフィシャルムービーの中にあった。松永の目頭をアツくさせた、その動画とは?
昨日のレポートでは、マツダ3のデザインには申し訳ないがまだ懐疑的だった…。そんな釈然としないまま、翌日のプレスデーに。かのマツダ3のデザインを「まだまだ、じっくり見るまでは何とも言えない」と書いてしまった手前、本日は常務執行役員デザイン・ブランドスタイル担当の前田育男さんとチーフデザイナーの土田康剛さんにそれぞれ話を伺った。
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ボディサイドに流れるキャラクターラインというのは、マジックでもある。ボデイが分厚かったりしても適所に入れれば細く見える。ボリュームが足りなくても、なんとか補った印象をつくってくれる。重心だって低く見せられる。それを最大限利用したのが、クリス・バングルさん時代のBMWだったのだ。
それに共感して、多くのメーカーがキャラクターラインをより印象的に用いることを考えた。
ところが今回のマツダ3にはその要素が一切なくなった。となれば、何の構えもない状態。言ってみれば「あしたのジョー」の矢吹丈が最終回に両手をぶらんと下ろした、ノーガード戦法のようなもの。このクルマで本当に勝ち目があるのか? と思ってしまったのだ。ちょっとくらい薄いラインでも入れて、色気を出してもいいのではないだろうか。きっと誰からも怒られないはず、とも思った。
果たして事前発表されたスタジオでは、のっぺりとした印象が強かった。また、それはLAショーの会場にいっても、残念ながら一緒だった。
(これは、やっちまったんではないか…)内心そんなことを考えた。ショー会場ではきっといいはず、なんて期待もあったのだ……。
そして前田さんとのインタビュー。詳細は12月26日売のカースタイリング19に譲るが(宣伝ですみません)、「野外でこそ見て欲しい」とのこと。
要はものを映したりその環境で走ったりすることで、微妙なリフレクションの移ろいを感じやすい、とのことだった。だから、スタジオやこうしたショー会場など、わりと淡々とした場所での展示には向かないという。
その真意を土田さんが教えてくれた。土田さんは開発に当たって「借景」という言葉をよく使ったという。「借景というとあまりにも日本的で、ベタなので使わないようにしているのですが…」との前置きで、風景が車のボディにどのように映るのか、走った時にどう流れていくのかを徹底して考えたのだという。そのためには、ありえないような面構成も用いたという。
そして生まれたのがこのボディ。と言ってもピンとこない。そうすると、ある裏話を語ってくれた。
新型Mazda3のデザインに関する回答は、動画の中にある
マツダ3のために今回製作したプロモーションビデオについて、当初はCGでもできるのではないかと考えていた。現在ではCADデータをベースに3Dデータの車を野外風景の中で走らせることができるのだ。もちろんリフレクションも活かされる。ところが、なんとも釈然としない。こんな程度ではないはずだ。とばかり、実際の新型マツダ3で野外での撮影を敢行したのだという。
ロケ地はヨーロッパのとある場所。CGは一切なし。今回は、単に背景がいいだけではいけない。ボディに映り込むこっち側の見えない風景も重要なのだと、思案を重ねての場所探しだったという。
そして土田さんがこんなことを言った。
「私たちも、ずっとリフレクションを考えてつくってきたはずなのですが、本当に野外を走って、こんな風に見えるんだ! と感動したんです」と、本当に嬉しそうに言った。
そしてここでは、そのプロモーションビデオをご覧いただきたい(下の再生ボタンをクリック!)。こんな話を聞いた後では、涙もろくなった自分はほろっと目を潤ませてしまった。(やったね! なんて思って…) できれば、くれぐれもボディの写り込みに着目してください。そうすれば、3ドアのサイドウインドウを小さくしてまで、リヤピラーを太くしたことの一つの答えがわかるのでは、と思ったりもする。
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こういう真似は恥ずかしいと思う。