経済産業省は減税を目指すが複雑な税制が足かせに
自動車諸税の負担が日本のユーザーにのしかかっている。自動車税制の改正を求めて活動しているJAFによれば、アメリカに比べて日本の自動車税は約23倍となっているという。消費税(海外では付加価値税とも呼ぶ)を考慮しても、日本の自動車諸税はアメリカの約4.8倍、フランスの倍以上、ドイツの約1.5倍になっているという調査結果もある。さらに、自動車税のほかに自動車重量税など複雑な税制となっており、その合計でアメリカと比較すると約32倍とさらに負担が大きいことが実感できる。そもそもシンプルではないことも自動車諸税の負担をわかりづらく、そして大きくしているといった面もある。
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自動車のみならず日本の産業を盛り上げることを担う経済産業省は、そうした自動車諸税の負担を軽減することで、自動車産業が衰退しないように考えているが、総務省と財務省というダブルの壁にぶつかっている。
日本の自動車諸税が複雑なのは、ひと言で税金といっても自動車税は都道府県税、軽自動車税は市町村税、自動車重量税は国税といった具合に、納める先が異なっていることも影響している。
また、燃料にかかる揮発油税も国税と地方税が含まれている。このように、自動車諸税については、かなりの部分が地方税であり、そこを管轄する総務省が自動車関連の減税については反発していることで、負担が軽くなる気配がないというのが現状だ。
とはいえ、自動車税についていえば負担が軽くなっているという面もある。基本的な税額はずっと変わっていないため、バブル以前まで遡ると現在よりもユーザーの負担は大きかった。また、以前はボディの大きさよって3ナンバーとなったクルマについては排気量が小さくても年額81,500円となっていた。もし当時の税制であれば、たとえばスズキ・スイフトスポーツは、その税額になっていたのだ(現在は34,500円)。
その意味では自動車税の大幅減税は実施されたことがある。現在の、排気量のみを基準とする自動車税に変わったのは1989年だが、そこには外圧があった。いまもアメリカからは自動車産業における貿易赤字の解消についてプレッシャーを与えられているが、当時の自動車税改正の背景には外圧の影響があった。
総務省&財務省は、自動車業界と経済産業省による自動車諸税減税の動きについては門を開ける気配はないが、そこにアメリカからの外圧が加われば……。減税の入り口が開くことを期待したい。
もっとも税金というのは、全体としての税収を確保するため、自動車諸税を減税したかわりの負担が生まれることも容易に想像できる。個人レベルでいえば税制が変わることで、税負担が軽くなるのか重くなるのかはわからないという面もあるだろう。
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