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【かつてはよく見かけたのに…】めっきり見なくなったクルマや仕様や装備たち 6選

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【かつてはよく見かけたのに…】めっきり見なくなったクルマや仕様や装備たち 6選

 クルマは移動の手段であると同時に趣味性が大きく反映されるため、当然ながら流行り廃りは日常茶飯事だ。

 クルマ界には絶滅危惧種と呼ばれるものも存在するように栄枯盛衰を繰り返している。

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 本企画では、クルマの販売にまつわる最近クルマ界減ってきているものを集めてみた。

 なかには、懐具合と直結するものもあるので要チェックだ。

文:渡辺陽一郎/写真:SUZUKI、DAIHATSU、MITSUBISHI、TOYOTA、MAZDA、HONDA

【画像ギャラリー】21世紀になって激減した女性をターゲットにしたクルマ

女性仕様車

 1980年代から1990年代に掛けて、女性向けの特別仕様車が活発に設定された。

 先駆けは軽自動車で、1982年に三菱ミニカエコノがマリエを設定している。1985年にスズキ2代目アルトが麻美スペシャルを用意すると(CMにタレントの小林麻美を起用してこの名称が付いた)、女性仕様車が人気を高めた。

モデル、歌手、女優として活躍し1980年代で大人気だった小林麻美さんをCMキャラクターに抜擢し、アルトに麻美スペシャルを設定し話題になった

 麻美スペシャルでは内外装をパステル調などでカラフルに仕上げ、装備を変えながら数世代にわたり設定された。スカートを履いた状態でも乗り降りしやすい回転ドライバーズシートなども考案されている。

 これが注目され、コンパクトカーにも同様の女性仕様車が用意された。特別仕様車だけでなくカタロググレードもある。

今はあって当たり前で重宝するバイザー裏に装着されたバニティミラーは元々は女性仕様車に設定されたものが一般化した装備のひとつ

 1986年に登場したトヨタ2代目カローラIIライムは、世界初のデュアルスライドシートを採用した。運転席を前方にスライドさせると、カーブを描くように着座位置が高まり、小柄な女性ドライバーも良好な視界を得られる。収納設備も助手席の下側など、豊富に装着した。

 しかしこのような女性仕様車は、1990年代の中盤以降になると人気を失った。理由を女性の商品企画担当者に尋ねると、次のようにコメントしている。

現行モデルのアルトラパンには女性をターゲットにして素材、デザインにこだわったオプションが多数用意されている

「当時の商品企画は男性が中心に行った。女性に意見を求めても、最終的な判断は男性目線になる。そのために色彩の選び方など、女性仕様車でありながら、女性の受け取り方と少し異なる面があった。また可愛らしさの基準も変わった。当時は洋服とクルマをパステルカラーで合わせるのもアリだったが、今はもっと落ち着いた感じになっている」。

 今は女性仕様車という表現は聞かれないが、スズキアルトラパンやダイハツミラトコットのターゲットユーザーは女性だ。

 ミラトコットの開発では女性が商品企画に深く係わり、可愛らしさなどを加えるのではなく、シンプルな「素の魅力」にこだわった。女性仕様車はなくなったが、女性向けの商品開発は進化を続けている。

ダイハツはいつの時代も女性をターゲットにした軽自動車をラインナップしていて、現行モデルでは2018年にデビューしたミラトコットがその役割を担っている

名ばかりのベースグレード

 以前は販売構成比が5%以下の低価格グレードが設定されたが、今は少数になった。営業車などで使う法人ユーザー比率の高い車種は、価格の上限が決められていることもあって安全/快適装備を省いたグレードも用意するが、以前に比べると少ない。

かつてクラウンにも廉価グレードが存在したが、ロイヤルとアスリートを統合した現行では、グレードを整理し、あからさまな廉価グレードは存在しない

 また上級セダンなどでは、以前は売れないのにわざわざ低価格グレードを追加することもあった。開発者に理由を尋ねると、「購入するグレードが一番安い仕様だと、お客様が上級車種を買う満足感を得られないから」という。要は「自分よりも下がいる」と思いたいわけだ。話を聞いた時は嫌な気分になった。

 そのような名ばかりのベースグレードが今は減っている。

 理由は2つあり、まずは一番安いグレードでも、抵抗感を持つユーザーが減ったことだ。使い方や予算に応じて素直に選ぶから、価格が最も安いグレードでも気にしない。

 2つ目はメーカーと販売会社の合理化だ。2019年の国内販売台数は約520万台で1990年の67%にとどまるが、車種の数はあまり減っていない。セダンやクーペは減ったが、SUVや軽自動車が増えたからだ。

 つまり多品種少量生産だから、販売に貢献できないグレードは省きたい。マイナーチェンジで一番安いグレードを廃止する車種も多い。

アクアはJC08モード燃費が38.0km/L(ほかのグレードは34.4km/L)のLをラインナップ。装備を簡素化して車重を1060kgに抑えて燃費をアピールするためだけの最廉価グレードだ。ただし購入する人はほとんどいない特殊モデル

一部改良で燃費を向上させるクルマ

 以前は一部改良やマイナーチェンジで燃費数値を向上させることが多く、特に凄かったのは、エコカー減税がクルマ選びに大きな影響を与えた2010~2014年頃の軽自動車だ。

 例えばスズキMRワゴンであれば、2011年1月発売時点では、ノーマルエンジンの10.15モード燃費が25.5km/Lであった。それが2011年3月のアイドリングストップ追加で27.0km/Lに向上。2012年2月にはMRワゴンエコを加えて、JC08モード燃費が27.2km/L(10.15モードは30.0km/L)に達した。

2011年にデビューしたMRワゴンは写真のMRワゴンエコを投入して、最終的にJC08モード燃費を25.5km/Lから27.2km/Lまで進化させた

 同じスズキの先代ワゴンRは、2012年9月の発売時点でノーマルエンジンのJC08モード燃費が28.8km/Lだったが、2013年7月の改良で30.0km/Lに達した。2014年8月のグレード追加で32.4km/Lとなっている。

 このように1年に1回、多ければ1年に2回の変更やグレード追加で、燃費数値を高めていた。当時の開発者や販売店からは「ライバル車との燃費競争で0.5km/Lの差が付けば、販売に与える影響も大きい」という声が聞かれた。

 今は燃費競争が収まり、一部改良で神経質に燃費数値を向上させるクルマも減った。ユーザーからメーカーの発表する燃費数値と実用燃費の格差が大きいと指摘され、WLTCモード燃費の採用もあり、実用を重視してモード燃費は追求しなくなった。

ダイハツミライースは初代ではスズキアルトエコと熾烈な燃費合戦を展開。現行モデルは燃費のよさはそのまま内外装、走りの質感アップにシフト

 エコカー減税は今も残るが、ユーザーの関心は衝突被害軽減ブレーキをはじめとする安全装備に移っている。

 またタイヤの空気圧を極端に高めて転がり抵抗を下げるような燃費重視のセッティングをすれば、車両の総合性能を下げてしまう。

 そして燃費数値は無制限には向上できず限界が訪れる。行き過ぎた燃費競争が不毛だとわかり、一部改良で燃費を向上させるクルマも減った。

大幅値引き車

大幅値引きといえばマツダ車が有名だったがそのマツダ車は現在ワンプライス販売となっている。マツダ3は利幅も小さく販売店も苦戦しているという

 以前は200万円のクルマを30万円以上の値引きで売ることもあったが、今はそのような大幅値引きは行われていない。理由を販売店で尋ねると、以下のような返答だった。

「今はクルマを1台売って得られる粗利が減った。クルマの小売価格の割にメーカーからの卸値が高く、ほとんど儲からないからだ。軽自動車やコンパクトカーに乗り替えるユーザーが増えて、高価格車が売れないことも儲からない理由だ。これでは多額の値引き販売はできない。

 また以前はメーカーから販売会社に販売報償金が頻繁に支払われ、これを原資に値引きを拡大できたが、今は特別な事情がない限り支払われない。こういった事情に加えて、クルマの売れ行きも伸び悩むから、大幅値引きができないのは当然だ」。

 このような状態だから、クルマの販売会社は、レンタカー、カーシェアリング、携帯電話の販売、生命保険の顧客紹介など、いろいろな事業を行っている。

トヨタは早い段階からワンプライス販売に着手していて、トヨタブランドでは崩壊するもレクサスは一貫してワンプライス販売を展開している

メーカーオプション

 最近はメーカーオプションの種類が減った。自由に選べるメーカーオプションが多いと、膨大な組み合わせが生まれ、メーカーと販売会社の受発注も複雑になるからだ。そこでメーカーオプションを減らしたり、複数の装備をまとめて装着するセットオプションが増えた。

 ちなみに新型フィットは、ベーシックやホームなど5種類のグレード(シリーズ)を用意するが、メーカーオプションは少ない。グレードを増やし、メーカーオプションを減らして、組み合わせの総数を抑えている。

 新型フィットでは、ネスとかリュクスといったグレード名とその個性がわかりにくいが、組み合わせの総数を減らす方法としては新しい。

2020年2月から販売を開始するホンダフィットは5タイプを一斉に展開。これはオプションを減らす新たなチャレンジでもあり、今後の動向に注目したい

クロカンSUV

 クルマの世界にも栄枯盛衰がある。

 乗用車では今で言うオフロードSUVはかつてクロカン4WDと呼ばれた。決定打は1991年に登場した2代目パジェロで、ハイラックスサーフ、テラノなども人気でクロカンブームブームを迎えた。

 2代目パジェロは1992年に8万3685台を登録している。1カ月平均で約7000台だから、2019年のフィットやフリードと同等だ。2018年のパジェロは1か月平均で70台前後だったから、当時は100倍も売れていた。

2代目パジェロが最も売れた1992年は月販平均が約7000台という驚異的な人気だった。そのパジェロも2019年で日本での販売を終了してしまった

 しかし悪路向けのボディは高重心で重く、小回り性能も悪い。動力性能、安定性、燃費、取りまわし性、居住性、乗降性などに不満が生じた。価格も後輪駆動をベースにした独自の4WDなどを備えるから割高になる。

 1990年代中盤には、トヨタRAV4やホンダCR-Vのような乗用車のプラットフォームを使う前輪駆動ベースのシティ派SUVが登場して、運転のしやすさ、広い室内、割安な価格などで注目された。悪路走破力はオフロードSUVに負けるが、雪道程度なら十分に対応できるから人気を高めた。

  2000年以降には、後輪駆動ベースの4WDを備えるオフロードSUVは次々と廃止され、2019年にはパジェロも国内販売を終えた。日本で買える国産オフロードSUVは、スズキジムニー&ジムニーシエラ、トヨタランドクルーザー&プラド、レクサスLXのみになる。

デビューから1年以上が経過しても長い納車待ちとなるほどの人気のジムニー。オフロード性能で買っている人は少数派で、ほとんどは手頃なサイズのSUVでオシャレという感覚で買っている。FRベースのオフロード4WDは絶滅はしないものの超少数派となっている

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