スーパーGTのGT300クラスに参戦するTeam LeMans。彼らは昨年、元F1ドライバーのロベルト・メリを迎え入れたが、今年もヨーロッパから強力な助っ人を獲得した。
彼の名はマティア・オセラドーレ。イタリア人のベテランエンジニアだ。かつてはF3のプレマ・パワーチームで働き、最近ではF2のMPモータースポーツでフェリペ・ドルゴビッチと共にタイトルを獲得した逸材が、6号車DOBOT Audi R8 LMSのチーフエンジニアを務めることになったのだ。
■ドルゴビッチのF2王者に貢献したエンジニアがTeam LeMansに。強力助っ人加入で「チームの考え方が大きく変わった」とロベルト・メリ
オセラドーレは昨年、長年の友人であるメリの誘いでスーパーGT最終戦が行なわれるもてぎを訪れた。その後チームルマンのオファーを受け、GTの世界に初めて足を踏み入れることになった。
オセラドーレは今年もMPでデニス・ハウガー担当のエンジニアとして働いている。彼はF2シーズンの合間を縫って来日し、開幕戦岡山ではチームと共に仕事をしたが、今後サーキットに帯同するのはあと2戦になるという。その他のレースについては、リモートでセットアップやレース戦略に関わっていく。
メリとオセラドーレの出会いは2011年、プレマF3時代にさかのぼる。この年、メリはチームに8年ぶりのタイトルをもたらした。ふたりの関係はメリが上位カテゴリーにステップアップしてからも続き、定期的に連絡を取り合っていたという。
「私は彼のレースエンジニアとして、プレマにとっての久々のタイトルを共に勝ち取った」
オセラドーレは回想する。
「それから彼はDTMに行き、その後F1に行ったことで別々の道を歩むことになったが、それでも常に連絡を取り合っていた」
「昨年、彼は私にこの選手権(スーパーGT)を見てほしいと言ってきた。しかし私はMPモータースポーツで働いていて年間14レースもあって忙しい……最優先はF2だったんだ。ただシーズン終盤、モンツァからアブダビにかけて2ヵ月半のインターバルが空いたので、その間にもてぎでのレースに出向いたんだ」
「雰囲気も良かったし、サーキットにいる人々から、何から何まで素晴らしかった。ヨーロッパとは色々違っていて、仕事の雰囲気は少しリラックスしている印象だったけど、良い環境だと思った」
「色々と話し合った結果、『喜んで』という返事をした。私はF2があるので毎戦は行けないし、家族もいるのであまり長く家を空けたくないというのもあったが、行けないレースに関してはリモートで参加することになった」
「レース前にブリーフィングを行ない、F2のない週にはイベント中にもブリーフィングをしつつ、レース後にデブリーフィングをする。データに目を通してレポートを送ったり、チームと話したりしている。うまくいっていると思う」
■「日本人との仕事はやりやすい」
メリも、オセラドーレが加入したことでチームが大きく変わったと話している。昨年、メリと片山義章のコンビが記録した入賞は第5戦鈴鹿の5位のみであり、課題も多くあったという。
そんな中で迎えた開幕戦岡山は、天候にも翻弄されて計画通りには進まないレースとなった。しかし第2戦富士はメリが最初の2スティントで力強い走りを見せ、表彰台争いに加わった。給油でのトラブルもありタイムをロスしたものの、6号車は7位でフィニッシュして今季初ポイントをゲットした。
開幕戦でチームに帯同したオセラドーレが次に現場へやってくるのは、8月の第4戦富士になるという。オセラドーレは、ヨーロッパで培ったノウハウを持ち込むことにチームが寛容だったのは嬉しい驚きであったと語った。
「彼らは大きなステップを踏み出し、チームの働き方を改善してレベルを高めることができていると思う。チームは私の言ったことに全て従ってくれた。そしてテストではパフォーマンスを発揮することができ、私は嬉しく思う」
「日本人と仕事をするという点では、とてもやりやすく感じる。というのも、普通(ヨーロッパ)は新しいチームに行くと、周りは少し懐疑的な態度で、『今までこのやり方でやってきたのに、なぜ変えるんだ?』という感じなんだ。しかしこのチームは私が取り入れようとしている改革に対してとても寛容だ」
そんなオセラドーレもメリ同様に、今季の目標は控え目に見積もっている。
「目標はコンスタントにポイントを獲得すること。そうすれば選手権のトップ5に入ることができる。トップチームになるには、まだ長い道のりがあるだろう」
■F2とスーパーGTの違い
また前述の通り、オセラドーレにとっては日本のレースだけでなく、GTレースも初めての経験となる。これは技術面、レースウィークのマネジメントの両面でシングルシーターとは異なってくるという。
まずひとつは、F2のようにお互いをライバル視するふたりのドライバーをマネジメントする必要がないという点だ。「ここにあるのは1台のマシンだけで、ドライバーは協力して戦う。マシンを良くすることに集中できる」とオセラドーレは言う。
しかしその一方で、マシンが1台しかないことは、スーパーGTの走行時間やテスト機会も相まってデータ不足に繋がる。幅広い種類があるタイヤの選択にも頭を悩ませることになるだろう。
「F2は1シーズンで14レースあり、公式テストも9日間あるので、走行できる時間はもっとある。対してここ(スーパーGT)は相当少ない」
「タイヤに関しても難しい。冬のテストでは使えないようなものから、実にたくさんの種類のタイヤがあって、そこから選ばないといけないからね。正しいものを選ぶのは大変だ。F2には2種類のコンパウンドしかなく、そのどちらも使うことになるからよりシンプルだ」
またセットアップという面でも、F2とスーパーGTは対照的だととオセラドーレは言う。
「F2の車両は空力の影響が大きいので、フロントウイングのフラップや車高を変えるとかなりの違いが出る。このマシン(スーパーGT車両)だとリヤウイングしか調整できないし、基本的には毎回同じ角度で走るので、メカニカル面での作業が多くなる。F2とは逆なんだ」
■スーパーGTの盛り上がりはF1や全盛期のDTMに次ぐレベル?
このように様々な違いに戸惑いながらも、アウディR8 LMS GT3の性能を最大限に引き出すため尽力しているオセラドーレ。スーパーGTに携わりはじめてからまだ日が浅いが、それでもGT300クラスの競争力の高さには特に感銘を受けたようだ。
「正直なところ、ここに来るまではスーパーGTのことをよく知らなかったんだ」
「でもサーキットに訪れる観客の数に感動した。本当に素晴らしいし、これはヨーロッパでもF1か、全盛期のDTMくらいでしか見られないものだ」
「今年のGT300にはロベルトはもちろんのこと、DTM王者のブルーノ・スペングラーもいて、レベルも高い。チーム間のライバル関係はF2ほどギラついてはいないかもしれないが、我々はF2チームのレベルになることを目標に取り組んでいる」
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