現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > あのストリート系カスタムは米国レースから!? ホンダ「RS750D」は200km/h超のフラットトラッカー

ここから本文です

あのストリート系カスタムは米国レースから!? ホンダ「RS750D」は200km/h超のフラットトラッカー

掲載 9
あのストリート系カスタムは米国レースから!? ホンダ「RS750D」は200km/h超のフラットトラッカー

ホンダが米国車を超えた時代

 ホンダ「RS750D」は、1984年からアメリカ国内のレースで活躍したレース専用マシンです。ゼッケンが付いているのでレースマシンだと分かりますが、「そういえば、こういうカスタムバイクあったな」と思う人も少なくないでしょう。

【画像】ホンダ「RS750D」(1984年型)の詳細を画像で見る(12枚)

 低い車体姿勢で、ロードレーサーのようなカウリングはありません。一方、オフロード用にしてはサスペンションが短いので、どんなレースのためのバイクなのか不思議に思うかもしれません。

「RS750D」が活躍した「フラットトラック」という競技は、アメリカで最も歴史ある大人気のレースです。日本ではあまり馴染みがないので簡単に説明すると、競馬場のような左回りのオーバルコースをグルグル何周も走ります。バイク版「インディ500」的な、とも言えますが「RS750D」が走るコースは1周約1.6kmで路面はアスファルトではなく土です。

 そこを200km/hオーバーのスピードで走るので、路面コンディションがシビアです。凸凹が無いようにカチカチに固められて、モトクロスと違って雨が降って路面が緩んだらレース中止です。

 単純なコースですが、ロードレースのような完全グリップ走行では速く走れませんし、派手なスライドもタイムをロスします。「パワーがあってスライドコントロールしやすい」そんなバイクの性能が求められます。

 車両規則で空気抵抗軽減効果があるカウルは禁止されており、当時も今も、フラットトラックのバイクはほぼ同じスタイルの車両で行なわれています。クラシックらしさも感じさせるこの形が、ファンの人にはたまらない魅力となっています。

 さて、1970年代は日本メーカーが北米の二輪市場に進出する際に、宣伝活動としてレースへの参加を積極的に行なっていました。

 フラットトラックは伝統的に米国車が強かったのですが、日本メーカーがチャンピオンを獲得し、アメリカのホンダも1979年に参戦することになります。

 しかし世界GPを席巻したホンダでも、フラットトラック用にそのまま使えるマシンは無く、イチから制作することになります。

 最初に制作されたのは「GL500」(1977年)用の縦置きVツインエンジンを90度横に回して搭載した、常識破りのマシンでした。

 改造に次ぐ改造を重ね、ホンダ本社のサポートを受けつつ「NS750」と名付けられ、その後も試行錯誤の開発とレースが続きます。

 参戦3年目の1982年には初優勝したものの、「NS750」は性能の限界に達しており、新型マシンの開発が進んでいました。

 当時の車両規則でエンジンは排気量750ccまでの2気筒となっており、待望の新型車は発売されたばかりのクルーザー「NV750カスタム」(1982年)や「XLV750R」(1983年)のVツインエンジンがベースでした。

 しかし面影があるのは挟み角45度Vツインの全体的な雰囲気だけです。水冷から空冷に、SOHC3バルブは4バルブに、後ろシリンダーは前後逆転し前方排気へ、さらに吸排気をストレートにするため車体に対して捻られた構造で、キャブレターも排気管も車体外側へ大きくはみ出しています。

 それらの効果により、「NS750」で課題だった後輪の路面への食いつきが向上し、滑りのコントロールを容易にするトルクのあるエンジンに仕上がりました。ここで開発されたグリップさせやすい、あるいはライダーがコントロールしやすいエンジン特性の知見は、現在のバイク設計にも寄与していると思われます。

 車体はホンダ独自のプロリンクを使用していますが、他のカテゴリーのバイクに比べるとかなり剛性が低く、しなやかなフレームでした。

 ホンダ本社によって制作されたフラットトラック専用マシン「RS750D」は、1983年のシーズンに投入されました。米国車と激しい争いを繰り広げながら、1984年から4年連続でのチャンピオン獲得をホンダにもたらしました。

「RS750D」によるホンダのファクトリーレース活動は1988年で終了しましたが、ファクトリー撤退後も一部の「RS750D」レーサーは参戦を続け、1990年代後半まで活躍が続きました。

 現在のアメリカのフラットトラックは車両規則などが変更されて、日本車や欧州車など多くのメーカーが参戦しており、ホンダは「XL750トランザルプ」(2023年)のエンジンを使用したマシンで走っています。

「RS750D」のイメージに近い市販車としては、1986年に発売された「FTR250」や、2000年に発売された「FTR」、2011年に発売されたロードスポーツモデル「VT750S」などです。独特のトリコロールカラーは、ホンダのレーシングイメージをクールに伝えています。

■ホンダ「RS750D」(1984年型)主要諸元エンジン種類:空冷4ストローク45度V型2気筒SOHC4バルブ総排気量:768.55cc最高出力:100.5PS/8500rpm

【取材協力】ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)※2023年12月以前に撮影

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ロイヤルエンフィールド新型「ベア650」の乗り味は? カリフォルニアで歴史を刻んだネオ・スクランブラー
ロイヤルエンフィールド新型「ベア650」の乗り味は? カリフォルニアで歴史を刻んだネオ・スクランブラー
バイクのニュース
プロスペックを掲げたホンダ「VFR400R」 V4サウンドはレーシングスピリットの咆哮!!
プロスペックを掲げたホンダ「VFR400R」 V4サウンドはレーシングスピリットの咆哮!!
バイクのニュース
ディスクブレーキの「フローティングディスク」ってナニ?
ディスクブレーキの「フローティングディスク」ってナニ?
バイクのニュース
デュアルプロジェクターヘッドライトで個性を演出!! ホンダ「XL750 TRANSALP」2025年モデル発表
デュアルプロジェクターヘッドライトで個性を演出!! ホンダ「XL750 TRANSALP」2025年モデル発表
バイクのニュース
ホンダ「スーパーカブC100」マフラーからの白煙対策再確認 同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフ VOL.21
ホンダ「スーパーカブC100」マフラーからの白煙対策再確認 同い年のバイク=スーパーカブと生きるバイクライフ VOL.21
バイクのニュース
人生最後の上がりバイクにしてもいい! カワサキの大型ネイキッドモデル『Z900RS』に試乗するよ~高梨はづきのきおくきろく。~
人生最後の上がりバイクにしてもいい! カワサキの大型ネイキッドモデル『Z900RS』に試乗するよ~高梨はづきのきおくきろく。~
バイクのニュース
日産の「901活動」から生まれた! 7代目 B13型「日産・サニー」とは
日産の「901活動」から生まれた! 7代目 B13型「日産・サニー」とは
バイクのニュース
使うタイミングが難しい!? クイックシフターは、どんなメリットがある?
使うタイミングが難しい!? クイックシフターは、どんなメリットがある?
バイクのニュース
目がバグる! “超幅狭”ボディのトヨタ「スープラ」がスゴイ! “めちゃ速い”1人乗り仕様で182万円! 「GR スープラ Jr. ロードスター」の正体とは
目がバグる! “超幅狭”ボディのトヨタ「スープラ」がスゴイ! “めちゃ速い”1人乗り仕様で182万円! 「GR スープラ Jr. ロードスター」の正体とは
くるまのニュース
北米トヨタが700馬力超のランクル40発表!! マジかこれめっちゃカッコいいぞ!!
北米トヨタが700馬力超のランクル40発表!! マジかこれめっちゃカッコいいぞ!!
ベストカーWeb
6速MT! ホンダ「フィット」に爆速“260馬力”スポーツ仕様あり!「タイプR」超える超高回転“VTECエンジン”搭載! ド迫力の「超ワイドボディ」採用した過激すぎる無限「ダイナマイト」とは
6速MT! ホンダ「フィット」に爆速“260馬力”スポーツ仕様あり!「タイプR」超える超高回転“VTECエンジン”搭載! ド迫力の「超ワイドボディ」採用した過激すぎる無限「ダイナマイト」とは
くるまのニュース
FFスポーツ実験は大成功! ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(1) タイプR誕生前夜
FFスポーツ実験は大成功! ホンダCR-X シビック 2台の「Si」(1) タイプR誕生前夜
AUTOCAR JAPAN
【ドゥカティ新型パニガーレV2/V2S発表】伝統のVツインスーパーバイク新開発の890ccエンジンで新章へ
【ドゥカティ新型パニガーレV2/V2S発表】伝統のVツインスーパーバイク新開発の890ccエンジンで新章へ
モーサイ
ブレンボがEICMA2024で最新技術を世界初公開! MotoGP用NEWブレーキキャリパーも登場
ブレンボがEICMA2024で最新技術を世界初公開! MotoGP用NEWブレーキキャリパーも登場
バイクのニュース
「ドゥカティ史上最軽量の54.5kg!」の890ccV2登場! 最高出力120psで新型パニガーレV2/ストリートファイターV2に搭載
「ドゥカティ史上最軽量の54.5kg!」の890ccV2登場! 最高出力120psで新型パニガーレV2/ストリートファイターV2に搭載
モーサイ
「街中最速」と評される“モタード”がスズキから復活! 新型「DR-Z4SM」は街乗りからサーキットまで楽しめるハイスペックが魅力です
「街中最速」と評される“モタード”がスズキから復活! 新型「DR-Z4SM」は街乗りからサーキットまで楽しめるハイスペックが魅力です
VAGUE
サーキットと公道の二刀流!? スポーツ走行もツーリングもこなす守備範囲の広い「ミドルスーパースポーツ」バイク3選
サーキットと公道の二刀流!? スポーツ走行もツーリングもこなす守備範囲の広い「ミドルスーパースポーツ」バイク3選
VAGUE
装着するだけで確実にタイムアップする「ポルシェ マンタイパフォーマンスキット」が日本上陸!「911 GT3」用は895万9500円です
装着するだけで確実にタイムアップする「ポルシェ マンタイパフォーマンスキット」が日本上陸!「911 GT3」用は895万9500円です
Auto Messe Web

みんなのコメント

9件
  • mot********
    FT400/500を忘れるな
  • ぼよよん
    てか日本のオートレースも、ルーツはアメリカのフラットトラックなんですよ...
    ( ̄▽ ̄;)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村