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やっぱりMTは最高 BMW M2 ホンダ・シビック・タイプR マツダ・ロードスター スポーツカーの大切なパートナー 後編

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やっぱりMTは最高 BMW M2 ホンダ・シビック・タイプR マツダ・ロードスター スポーツカーの大切なパートナー 後編

指先でコクコクとテンポ良くギアを選べる

3台のシフトフィールを比較していこう。G87型BMW M2の6速MTは、このブランドらしい印象を与える。シフトレバーの動きにはバネのような弾性が伴い、適度な重み付けがあり、ストロークが長い。

【画像】MTは最高 BMW M2 ホンダ・シビック・タイプR マツダ・ロードスター 最新FL5型タイプRも 全106枚

ギアを動かすリンケージは、高剛性な様子。エンジンの回転数を伸ばしつつ、次のギアを迅速に選べる。僅かなノイズを放ち、たるんだ印象はまったくない。

クラッチペダルを2回踏み、少しの力を込めて左腕を動かし、リズミカルな操作に没頭できる。筆者が慣れ親しんできた、これまでのBMWのMTと変わらない。

FK8型ホンダ・シビック・タイプRの6速MTは、バネが効いたような手応えは少ない一方、メカニカルなカッシリ感がある。登場は2017年で、更に先代のFK2型に搭載されていた2.0L 4気筒ターボエンジンとトランスミッションを、改良して登用している。

フライホイールは軽量化され、ファイナルギアはショート化。2020年に追加された、英国仕様のタイプR GTとリミテッド・エディションでは、シフトフィールの向上を目的に、90gのカウンターウエイト付きシフトノブを獲得している。

今回ご登場願ったイエローのシビック・タイプRは、リミテッド・エディション。既に3万km以上を走っており、真新しいM2やロードスターとは異なる状態にあった。それでも、MTは最高だと思わせてくれた。

シフトレバーのストロークは、M2より短い。弾性が少なく軽く倒せる。指先でコクコクとテンポ良くギアを選びたいなら、シビック・タイプRの6速MTは好適だろう。

走行中に生き物のように震えるシフトレバー

レバーをスロットから抜き、Hゲートを通過させ、ワンテンポおいて次のスロットへ導く。僅かにずれるような感触も伴うが、不満なく滑らか。迅速な変速を求めても、引っかかったり弾かれることはない。ペダルを踏むタイミングに、囚われる必要もない。

マツダMX-5(ロードスター)の6速MTは、シビック・タイプRより更にストロークが短く、引き金を引くような鋭さがある。小ぶりなボディサイズとバランスが取れている。

大きく膨らんだトランスミッション・トンネル頂部の、理想的な場所に配されたシフトレバーは、走行中には生き物のように震える。段差を超えると垂直方向に揺れ、エンジンの回転数が高まるに連れ、小刻みな振動が増えていく。

それが、クルマとの一体感を増している。左腕を通じて、ドライバーとパワートレインが繋がっている印象を強める。

冷間時には、腕全体でシフトレバーを動かす必要があるほど重い。しかしフルードが温まれば、軽く滑らかに動き出す。シフトゲートを通過する際の、ワンテンポ取られるような手応えもM2やシビック・タイプRと比べて小さく、独特の質感がある。

流れるように、シフトレバーが動くわけではない。だが、今のスロットから次のスロットへ入れる勢いが、次のギアを自然に導くような印象がある。

絶妙なカウンターウエイトが仕込まれているからかもしれない。デュアルクラッチATのように、次のギアが予め準備を整えているようにも感じる。

大きくオフセットしたM2のペダル

次は3枚のペダル・レイアウト。これも、ドライビング体験では重要な要素の1つになる。実のところ、今回の3台はベストといえる配置ではない。

ロードスターは足元の空間が狭く、若干オフセットしている。コンパクトなパッケージングが故に、避けられないことではあるだろう。それでも、不満なく扱える。

クラッチペダルの位置は少々高め。オルガン式のアクセルと、吊り下げられたブレーキとの関係はしっかり調整されており、ヒール&トウでのシフトダウンがしやすい。

シビック・タイプRは、ドライバーの正面に3枚のペダルが並んでいる。しかし、ブレーキとアクセルの間隔が離れすぎており、右足を倒しても望んだ通りにブリッピングできない。レブマッチング機能に頼りがちになる。

M2は、この3台では1番並びが良くない。MTを強くは想定しなかったであろうプラットフォームをベースに構築され、足元へ苦労しながら3枚のペダルとフットレストを配置したような雰囲気がある。

大きく右側へオフセットし、クラッチペダルがドライバーの中心線上にある。ブレーキペダルは、本来ならアクセルが位置して欲しい場所に来ている。M2で8速ATを選ぼうと考えたくなる理由になり得る。

ただし、実際に運転へ没頭し始めると、さほど気にならなかったことも事実。筆者の期待には及ばなかった程度だ。

今後の展開を想像する力が求められる

やはり、MTがドライビング体験を豊かにする要素であることは明らか。特にシビック・タイプRのクラッチとシフトレバーは、クルマとの一体感を強めてくれる。名脇役として、主役の4気筒エンジンを引き立てている。

BMW M2はシフトレバーが重く弾性があり、ストロークは長いものの、結果として大きな充足感を生んでいる。クラッチペダルの重さも、高性能なMモデルだという個性を表現している。力を込めて素早く丁寧に扱うことで、期待以上の喜びに興じれる。

それでも、1番の記憶を残したのはロードスターの6速MTだった。183psしか発揮しないエンジンから、素晴らしい楽しさを引き出せる。シンプルな後輪駆動のシャシーはシリアスすぎず、程々のグリップ力で運転へ惹き込む。

エンジンの回転数と、6段あるギアのベストを、ドライバーが選ぶ。シャシーのバランスを感じ取りながらコーナーへ侵入し、出口が近づいたらリアアクスルへパワーを伝える。頭と身体で、クルマの挙動を予想し操る。進行方向の道を読み取りながら。

理想的なMTのスポーツカーの運転には、今後の展開を想像する力が求められる。今回の3台で、その努力を最も投じる価値があるのは、マツダ・ロードスターといえそうだ。

マニュアルスポーツカー 3台のスペック

マツダMX-5(ロードスター) 2.0 エクスクルーシブライン(英国仕様)

英国価格:2万9765ポンド(約520万円)
全長:3915mm
全幅:1735mm
全高:1230mm
最高速度:218km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:14.5km/L
CO2排出量:155g/km
車両重量:1051kg
パワートレイン: 直列4気筒1998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:183ps/7000rpm
最大トルク:20.8kg-m/4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル/後輪駆動

BMW M2 クーペ(英国仕様)

英国価格:6万6090ポンド(約1156万円)
全長:4580mm
全幅:1887mm
全高:1402mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.3秒
燃費:9.9-10.3km/L
CO2排出量:220-228g/km
車両重量:1700kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:460ps/6250rpm
最大トルク:56.0kg-m/2650-5870rpm
ギアボックス:6速マニュアル/後輪駆動

ホンダ・シビック・タイプR リミテッド・エディション(FK8型/2017~2021年/英国仕様)

英国価格:3万9995ポンド(新車時)
全長:4560mm
全幅:1875mm
全高:1435mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:11.9km/L
CO2排出量:191g/km
車両重量:1358kg
パワートレイン:直列4気筒1996ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:320ps/6500rpm
最大トルク:40.7kg-m/2500-4500rpm
ギアボックス:6速マニュアル/前輪駆動

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みんなのコメント

4件
  • ペダルレイアウトってMT車を操るには結構重要だと思うけど、結構やっつけ仕事な車が多い。
    高額なくせして変なペダルレイアウトの車は、ユーザーを舐めてるとしか思えない。
  • まぁiceが有る内の楽しみだから 楽しめるヒトは どーぞ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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