■約60年愛されてきた国民的オフロード車「212」、初のフルモデルチェンジを発表
中国の自動車メーカー「BAW」は、長い歴史を持つオフロード車「BJ212」の初となるフルモデルチェンジを発表しました。いったいどのようなクルマなのでしょうか。
「BJ212」は1965年、中国人民解放軍用の軍用車両として誕生しました。
解放軍はそれまで旧・ソビエト連邦の「GAZ」が製造した「GAZ-67」や「GAZ-69」を採用していましたが、中ソ関係は悪化の一途を辿り、新たな国産の軍用車が求められていくようになりました。
そうして1961年に誕生したのが、「北京汽車製造廠」の「BJ210」です。
満を持して開発されたBJ210ですが、ドアはなく、また車体が小さいこともあってすぐさま新モデルが必要とされました。
4ドアモデルの「BJ211」を経て、1965年にはのちに「国民的オフロード車」として名を馳せることになる「BJ212」が産声を上げました。
BJ212はバリエーションの追加や細かなマイナーチェンジを幾度となく経験し、中国人民解放軍の足として長らく活躍、2000年代初頭に後継モデル「BJ2022」へバトンを渡して軍用車としての第一線より退きました。
一方、民間に販売される市販モデルは基本的なシャシーをそのままに、現在でも販売されています。
BJ212は現在も「BAW(北京汽車製造廠)」によって製造されており、「212 狙撃手」が2023年モデルとして販売されています。
エンジンは排ガス規制「国6」を満たすために三菱製4K22型2.4リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載、最高出力283 hp・最大トルク320 Nmを誇ります。
全グレードともに6速MTで、本格的なオフロード走行を楽しめるクルマとして9.99万元(約217.5万円)から販売されています。
ちなみに、BJ212を製造する「BAW」は「BAIC(北京汽車集団)」と源流こそ一緒なものの、現在は資本関係の無い別会社となっています。
どちらも1958年に設立された中国人民解放軍の自動車工場に端を発しており、一時期は両者とも資本関係にありましたが、2016年にBAICは保有するBAWの株の売却、これを以ってBAWは国営メーカーの傘から外れることになりました。
北京に本拠地を置くBAICは中国で6番目の規模を誇る中国メーカーであり、EVの開発にも積極的です。
一方でBAWはBAIC傘下より離脱後、山東省へ本拠地を移転、生産規模の少ない中小メーカーとして認識されています。
そんな「212」ですが、2024年6月に初のフルモデルチェンジが発表され、59年続いた初代モデルから2代目へと移行しました。
2024年モデルとして発表された新型212はまったく新しい5ドアボディを採用、サイズは全長4705 mm x 全幅1895 mm x 全高1936 mm、ホイールベース2860 mmとなります。
先代の最新モデルと比較すると、全長とホイールベースはそれぞれは345 mmと240 mm延長され、全幅は5 mm拡大、全高は4 mm低くなっています。
エクステリアは初代212の象徴的な「丸目2灯・3本線グリル」のフロントマスクを継承しつつも、現代的な黒樹脂フェンダーとバンパーを採用、全体的なシルエットもより角ばった印象です。
パワートレインはかつて三菱自動車が株式を保有していた「DAE(ハルビン東安)」の製造するN20TG型2.0リッター直列4気筒ターボエンジンで、最高出力は248 hpを誇ります。
DAE自体は三菱自動車のエンジン「4G1」や「4G9」シリーズを製造していた過去を持ち、この新しいN20TGエンジンも三菱の血を引いていると言えるでしょう。
本格的なオフロード走行に必要な各種要素も兼ね備えています。
ラダーフレーム構造なのはもちろんのこと、駆動はパートタイム4WD、そしてリアサスペンションは5リンク式サスペンションを採用しています。
アプローチアングルとデパーチャアングルはそれぞれ40度と36度となります。
現時点で新型212は純ガソリンのみとなりますが、発表会では将来的なハイブリッドモデルの投入も予告されました。
また、同じプラットフォームを用いた3ドアモデルや、ピックアップトラックも投入を予定しているとのこと。
新しくなった212ですが、その最大のライバルは関係を断絶したBAICのBJ40です。
BJ40は2014年にBAICが発売したオフロード車で、2023年には2代目モデルへと移行しました。
BJ40は14万元(約305万円)ほどで手に入る、安価で信頼性のあるオフロード車として若者を中心に人気を博しています。
現在は2.0リッターターボを搭載する2代目モデルに加え、2.3リッターターボと2.0リッターディーゼルターボが選べる初代モデルも併売している形となります。
BAWの初代212はその9.99万元(約217.5万円)という破格の安さが武器でしたが、一方で設計は1960年代のままという古臭さが否めませんでした。
2代目へフルモデルチェンジしたことでより現代的な見た目と装備を得たわけですが、価格は初代よりも高くなることが予想されます。
また、BAW自体は大きな自動車メーカーではなく、クルマ自体の質や信頼性は決して良いとは言えません。
そのため、クオリティで上を行くライバルたちと対等に戦うには、BAWは価格と勝負するしかないでしょう。
新型212の価格はまだ発表されていませんが、発売は年内を予定しており、近日中には明らかとなるでしょう。
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みんなのコメント
今日も釣られる運命か。。。
クライスラージープだし