暑い日が続いていますが、夏が終われば、行楽シーズンがやってきます。観光やトレッキングなどの行楽を楽しむため、高地や山間部へとクルマで出かけると、さっきまで晴れていたのに突然濃霧に…なんてことがよくあります。ひどいときには数10m先の視界が確保できないことも。
運転中、突然濃霧に遭遇した場合の対処方法や気を付けるべき点などについて、ご紹介します。
行楽ドライブの天敵「突然の霧」に注意!! いきなり真っ白な時にやってはいけないこと
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:写真AC_ spyder2019
写真:Adobe Stock、写真AC
湿気を含んだ暖かい空気が冷えることで発生
霧は、水分を含んだ暖かい空気が冷えて、空気中に含まれていた一部の水蒸気が小さな水滴になり浮遊する現象です。暖かい空気は多くの水蒸気を含むことができますが、冷たい空気は含むことができる水蒸気の量が少ないため、空気が冷えると空気中の水蒸気の一部が水滴となるのです。
水となってしまえばすぐに地上に落ちそうですが、水といっても非常に微細な水滴であるため、空気中を浮遊します。水蒸気は本来透明な気体で見えませんが、水滴で構成される雲や霧は光を遮るので白く目に見え、逆に温度が上がれば、雲や霧は自然と消えていきます。
以上のような霧が発生しやすい条件は、時間帯でいえば温度変化が大きい夜~朝、夕方~夜で、以下のような場所で発生しやすいです。
・空気中の水分が多い海や湖、川に近い地域
・下方から上昇してきた暖かい空気が冷やされやすい低い高地や山間部
・霧が滞留しやすい盆地
季節としては、内陸部は秋に、北日本や高地は夏に発生しやすくなります。これからの行楽シーズン、山へドライブに出かけるときは遭遇する確率が高くなるのです。
視界不良と滑りやすいことで、事故が起きやすい
気象庁の定義では、肉眼で見通せる距離が1km未満の場合を「霧」、100m以下の距離しか見通せない場合を「濃霧」と表現します。濃霧になると、クルマの運転に支障をきたすので、「濃霧注意報」が発令されることがあります。
濃霧での走行は、視界不良に加えて路面が濡れているために、大事故になる可能性が高まります。対向車と衝突する事故、路肩に停車しているクルマに気づかず追突する事故、あるいは自転車や歩行者を巻き込んだ事故など、濃霧が発生した時の死亡事故は通常の事故の2.5倍と報告されています。特に、正面衝突の割合が高いのが特徴です。
視界が悪いのに無理して走行するのは大変危険です。走行中に濃霧が発生したら、視界が確保されるまで運転をやめて待機するのが最善の対応です。ただし、路肩のような道路脇でなく、待避所や駐車場、PAなど安全な場所を選ぶことが大切です。
濃霧の走行では、視界不良と路面が滑りやすいので、死亡事故の割合が高い。無理せず、待機することが最善の対応(PHOTO:写真AC_ ぺんぼう)
走行するならば、速度を落として車間を十分に
しかし、霧はいつ晴れるかわかりませんし、場合によっては、注意しながら走行して安全な場所まで移動しなければいけないこともあります。やむを得ず走行する場合は、次のような点に留意することが大切です。
・速度を落として、車間距離を十分とる
走行中に霧が出てきて視界が悪くなった場合、自車や対向車の車線逸脱、人や自転車の不意の飛び出し、前走車の急停止など、気づくのが起これるため事故のリスクが高まります。そのためには、事故が回避できるように車速を落とす、十分な車間距離を確保することが大切です。特に、スピードが出やすい高速走行では、車速と車間距離に一般路以上に注意しなければいけません。
・ヘッドライトは、ハイビームでなくロービームに
視界が悪くなるとヘッドライトをハイビームにしがちですが、濃霧の中ではこれは逆効果です。ライトの光が霧で乱反射してかえって視界が低下してしまいます。またハイビーム走行は、歩行者や対向車も眩惑させて危険なので、不必要にハイビームを使用することは避けなければいけません。ちなみに、不必要にハイビームを使うと減光等義務違反になります。
・フォグランプの点灯
自車にフォグランプが装備されている場合は、フォグランプを点灯しましょう。フォグランプは、視界を確保するとともに、対向車に自車の存在を知らせることになり、事故回避に有効です。フォグランプは、法規で白色または淡黄色と決まられており、比較的、近距離前方下部の広い範囲の視認性が確保できるようになっています。
・車線両サイドのラインを意識して運転
前方が見えにくくなると、目印がなくなり、自分が車道のどの位置を走行しているか認識しづらくなります。センターラインや路肩・路側帯の白線などを意識して走行すると、車線を逸脱することがなく安全です。
運転支援は使わないで!!
近年は、先進運転支援システムのACC(アダプティブクルーズ・コントロール:追従機能付クルーズコントロール)の普及が進んでいますが、濃霧の中ではカメラやレーダーによるセンシング精度が低下して、先行車の正しい情報収集ができなくなります。特にカメラの場合は、基本的に人間と同様に視界が確保できなくなるので、ACCは正常に機能しなくなる可能性があります。
通常は、クルマ側が察知して機能をキャンセルしますが、たとえ機能したとしても走行中に突然機能しなくなるリスクが発生するので、濃霧では絶対に使用しないようにしましょう。運転支援システムは、自己責任での使用が原則で、過信は禁物です。
◆ ◆ ◆
濃霧では、ゆっくり走る安全運転が基本です。ただ、前方数10m先も見えない状況の場合は、安全のため、いったん走行を中断して、退避するようにしてください。そして、天気情報や交通情報を把握した上で、晴れるまで待つ、ルートを変更するなど、最善の対応をとるようにしてください。
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
みんなのコメント
バカな役人の決めた白色は見えないよ