BMW初のMPVであり、同ブランド初のFFとして登場し、大きな話題となった2シリーズアクティブツアラーが、ついに2世代モデル登場に向けたカウントダウン。本国で新型の情報が公開された。
SUVのような広がりを見せてはいないものの、独自のポジションを獲得し、新たなBMWファンの獲得に成功した2アクティブツアラーは、どんな未来を描くのか。新型の特徴やモデルライン、強化されるPHVシリーズまで含め、新2シリーズアクティブツアラーの情報を纏めてお届けする。
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文/大音 安弘、写真/BMW
【画像ギャラリー】年明け欧州デビューへ!BMWのMPV「2シリーズアクティブツアラー」
■世界初公開された2代目MPVはキープコンセプト
BMWは、2021年10月6日(現地時間)、第2世代となる新型2シリーズアクティブツアラーをオンラインにて世界初公開した。
ドイツよりオンライン発表された新型2シリーズアクティブツアラー
同車は、2014年に発表されたBMW初のMPVであり、同時にBMWブランドとして初のFF車であった。しかもクーペとカブリオレで構成されたコンパクトスペシャルティな2シリーズの仲間でありながら、ボディの関連性がないことに加え、キャラクターもまったく異なるという、異端的な存在だ。
しかし、手頃なサイズと広い車内空間を両立させることで、若いファミリー層などの新たなBMWファンの獲得にも繋がった。そんなBMWにとって革命的であった2シリーズアクティブツアラーの第2世代が、ついに姿を現したのだ。
■BMWの新デザイン言語を取り入れたエクステリア
エクステリアのデザインは、現行型同様にトールスタイルを継承するが、新世代デザインを取り入れることで、よりスポーティな雰囲気に仕上げられている。これは同じFF車である1シリーズとの共通性の高さも感じさせ、特にアイコニックな段付きデザインのキドニーグリルのマスクが印象的だ。
ただ、アクティブツアラーでは、グリルを大型化させることで、より逞しい顔つきに仕立てられている。この新マスクはBMWのSUVともイメージが重なるところがあり、同車のクロスオーバーモデルとしてのポジションを主張しているのだろう。
リアスタイルには現行型の面影を残すものの、テールランプはすっきりとしたアーモンド形に変更。ただ、ブレーキランプデザインに、L字型を取り入れることでBMWらしさもしっかりと主張。また、エキゾーストパイプが隠されたのも新型の特徴のひとつといえよう。
最大の関心事のひとつとなるボディサイズは、全長が+32mmの4386mm、全幅が+24mmの1824mm、全高が+21mmの1576mmとわずかに拡大。ホイールベースは、現行型同様の2670mmとなるが、トレッドを拡大させることでハンドリングの向上を図っているという(※欧州発表値による比較データ)。
現行型のイメージも残すスタイルは、ボディサイドやウィンドウデザインに、新1シリーズとの共通性も垣間見れる
■激変のコックピットスタイル
最新BMWのテイストを取り入れたエクステリアと比較にならないほど、劇的な変化を遂げているのが、コックピットデザインだ。フードレスデザインのメーターパネル、メーターと連続したデザインとなるインフォメーションディスプレイ、フローティングデザインのセンターコンソール、小ぶりのシフトレバースイッチなどを備え、がらりと未来的なスタイルへと進化された。
これは新型EVのBMW iXに採用されるコックピットとイメージが重なる。ここまで最新のスタイルを取り入れた背景には、機能の大幅な進化に加え、華やかなBMWのなかでは地味キャラといえるMPVシリーズのイメージを払しょくする狙いもあるのだろう。
BMW iXを彷彿させるコックピットデザイン。BMWカーブドディスプレイを採用するのは、iXとi4に続く3車種目で、エンジン車としては初となる
シートレイアウトは、現行型同様に5人乗りとし、長距離移動での快適性を格段に向上させているという。ラゲッジスペースも拡大され、最も広いグレードでは、470~最大1455L(※欧州参考値)を確保している。また、後席シートバックを調整することで、5名乗車を維持したまま90Lの容量拡大を図る機能も加わった。
トールスタイルを活かした使い勝手に優れるラゲッジスペースを確保。リアシートは3分割の可倒式だ
■パワーユニットは、3気筒ガソリンと4気筒ディーゼルに
パワーユニットは、3タイプのガソリン仕様と1タイプのディーゼル仕様を設定。ガソリン車のエントリーとなる218iには、136psの1.5L直列3気筒ターボエンジンを搭載。上位に位置する220iも1.5L 直列3気筒ターボエンジンを搭載するが、48Vマイルドハイブリッド仕様となり、システム出力は170psに強化。
最上位の223iでは、2.0L直列4気筒ターボにアップデートしたうえで、48Vマイルドハイブリッドシステムを追加。その結果、システム出力は218psまで高められた。いずれもトランスミッションは、7速DCTを組み合わせる。
根強いファンを持つクリーンディーゼル仕様の218dには、2.0L直列4気筒ターボエンジンとなり、最高出力150ps、最大トルク360Nmを発揮。技術面のハイライトは、低摩擦ピストンと効率を高めた2ステージターボにある。こちらもトランスミッションは、7速DCTだ。
ガソリン仕様は、すべて1.5L直列3気筒化。さらに上位モデルは、マイルドハイブリッド化される
■2タイプが用意されるPHVにも注目!
なんと新型2シリーズアクティブツアラーには、2種類のPHVが用意される。それが「225e xDrive」と「230e xDrive」だ。 BMWの第5世代のe Driveテクノロジーを採用した初のPHVで、充電容量と航続距離の両面で現行型を大きく上回る性能を実現しているという。
システムは、1.5L直列3気筒ターボエンジンと高出力モーターを組み合わせたもので、xDriveの名が示すように、いずれも後輪をモーターのみで駆動する4WD車となる。搭載されるリチウムイオン電池の容量は、16.3kWhに増加。200V普通充電を7.4kW対応まで強化したことで、約2.5時間で0~100%まで充電可能に。
もちろん家庭用の200Vコンセントでも、8時間以内に充電を完了できるという。EVのみの航続距離は、WLTPサイクルで最大80kmに達するため、ちょっとしたドライブでもEV走行のみで行うことができるようだ。
充電性能と航続距離が進化し、よりEVライクに使えるPHVとなるようだ
2グレードのスペックの違いだが、225eは、136psのエンジンと109psのモーターを組み合わせることで、システム出力は245psに。高性能仕様となる230eは、150psのエンジンと245psのモーターを組み合わせることで、なんとシステム出力は320psに。見た目からは想像できない、刺激的な走りも期待できそうだ。
先に述べたトレッドの拡大などで走行性能を高めた狙いも、PHVの高性能化を加味したものなのだろう。
BMWでは、新型の発売時期を欧州で2022年2月と公表。PHVは、少し遅れて2022年夏を予定する。現時点での日本導入は未定だが、2022年内の導入を期待したい。
BMW初のFFモデルとなった2シリーズアクティブツアラーは、デビュー時にBMWとしては薄味の走りも含め、賛否を呼んだが、ほかのMPVにはない安定感ある走りと使い勝手のよさなどが評価された。新型は、それを大きく超えるモデルに成長しているのは、間違いない。
新型はTHE BMWといえる味を持つMPVに化けるのだろうか……。その味わいにも注目だ。
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