■謎のSUV…ホンダ「UR-V」、どんなクルマ?
ホンダは「WR-V」「XR-V」「ZR-V」「HR-V(ヴェゼル)」「BR-V」「CR-V」といった多様なSUVを世界中で販売しています。
その中でも「UR-V」は中国でしか売られていないモデルです。
いったいどんなクルマなのでしょうか。
ホンダは1995年、初となる自社設計のクロスオーバーSUV「CR-V」を発売しました。
CR-Vが登場する以前のホンダのSUVはどれも他社がOEMとして製造していたものであり、またボディサイズも非常に大柄でした。
そんな中、6代目「シビック(EK型)」をベースとするCR-Vは日常使いはもちろんのこと、当時増えていたライトなアウトドア層にも響く商品設計をおこなったことで、大ヒットを記録。
トヨタ「RAV4」とともに同時期に登場、現在までにこの2車種はライバルとして世界的なクロスオーバーSUV人気を牽引する存在となっています。
その後、「R-V」の名を冠するモデルとして1998年には直線的なフォルムを特徴とする「HR-V」を日本で発売しました。
また、2010年代後半にはコンパクトSUV「BR-V」「WR-V」を東南アジア向けに投入し、SUVのラインナップ拡充を推し進めています。
2023年には「ZR-V」も日本に投入され、日本におけるヴェゼルとCR-Vの間を埋めるミドルSUVとして人気を博しています。
中国市場においてもホンダは多様なSUVラインナップを展開しています。
その中でもUR-Vは中国でしか売られていないラージSUVで、密かな人気となっています。
UR-Vは2017年、同じく中国専売SUV「アヴァンシア」の姉妹車として登場しました。
そのアヴァンシアもかつて日本で1999年に発売されたステーションワゴンで、2016年にSUVとしてその名前が復活した形です。
ホンダは中国にて東風汽車との「東風ホンダ」、広州汽車との「広汽ホンダ」の2つの合弁会社を展開していますが、UR-Vは東風ホンダ、アヴァンシアは広汽ホンダが展開するモデルとなります。
UR-Vがベースとするアヴァンシアは、2015年まで販売されていた「クロスツアー(当初はアコード クロスツアー)」の後継車種として登場しました。
そのため、SUVでありながらルーフを低く抑えたスポーティなフォルムを特徴としており、その姿は最低地上高を上げたステーションワゴンとも形容できます。
現在販売されているモデルではアヴァンシアが小ぶりなグリルを持つのに対し、UR-Vではバンパー下部まで拡大されたハニカム構造のグリルが特徴的なフロントマスクとなっています。
パワートレインはどちらも「240 TURBO」と名付けられたL15C型1.5リッター直列4気筒VTECターボエンジンと、「370 TURBO」のK20C型2リッター直列4気筒VTECターボエンジンの2種類を用意。
UR-Vは全長4856mm×全幅1942mm×全高1670mm、ホイールベースが2820mmとなり、車格的にCR-Vよりも上に位置する形です。
UR-Vが登場した当初、最初の1年は毎月平均4500台前後を売り上げており、東風ホンダのラインナップの中では4、5番目に売れているモデルでした。
ですが、2023年後半に入るとその台数は毎月1000台以下へと落ち込み、あまり良い状況とは言えません。
ホンダはUR-Vの2度目となるマイナーチェンジを2023年6月に実施しましたが、UR-V自体が発売8年目の古いモデルとなるためか、販売状況における劇的な改善には至っていません。
一方で広汽ホンダの姉妹車であるアヴァンシアは現在でも毎月平均1700台前後を販売しているので、広汽ホンダと東風ホンダの市場におけるシェアの違いも影響していると言えるでしょう。
参考までに、2024年7月において広汽ホンダは3万1085台、東風ホンダは2万402台を販売、その差は1万台ほど開いている状況です。
UR-Vはサイズこそ大きめのSUVですが、スポーティなフォルムを優先した低いルーフがSUVとしての利便性を阻害している印象です。
初登場からもかなりの年数が経っており、雨後の筍のように誕生している中国メーカーの競合車種に対して厳しい戦いを強いられています。
一方、ホンダは中国向けBEV(電気自動車)を拡充している段階にあり、2024年後半からはCR-Vよりも少し大きい「イェ(火へんに華) S7/P7」を発売します。
すでに大型純電動SUVコンセプト「e:N SUV 序」も発表しており、その量産モデルを含む計10モデルを2027年までに中国に投入する計画です。
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